見出し画像

「たたみかけてものを買わないこと」

 家計簿の予算をいつもオーバーしてしまうと悩んでいる方は、ものを買うときの「習慣」を見直してみるとよいかもしれません。
 羽仁もと子著作集 第9巻『家事家計篇』には、「買いものについて」という章があります。初版は昭和2年ですが、今にも通じる「買いものの心得」があります。
 前回の「買わないとお決めなさい」に続く2回目は、「たたみかけてものを買わないこと」をご紹介します。羽仁もと子は、モノがなくなりかけたときにこそ、“工夫”することをすすめています。  

たたみかけてものを買わない

 何でもなくならないうち、なくならないうちと、たたみかけてものを買うのは不経済だと経験のある人はみないっています。なくなるまで気がつかずにいてよいというのとはちがいます。たとえば子供用または食後用の菓子などでも、なくなるころに工夫して、そのつぎ目を、あるときは有り合せのかきもちとか、あるときは、いも類など廉価なもので間に合わせるようにすると、一カ月の終わりまたは一年の終わりにいって、たたみかけて買いものをしたのにくらべると、大したちがいが出て来るのです。

 砂糖などの必需品は、一日でも二日でも全然きらしておくわけにはいきませんが、前のがなくなった日には、次のはすでに買ってあっても、仮にないつもりで、砂糖のあまりいらない種類の食物を調理するとかいうようなふうにすると、やはり前の菓子の場合と同理になります。身のまわりのものにしても、新しいものを用いる前にはこの心得を応用することができます。

羽仁もと子著作集 第9巻『家事家計篇』第九章「買いものについて」より抜粋

 この話のポイントは、「なくなるころに工夫する」です。ストックをきらさないようにという気持ちでモノを買うのではなく、ストックがない時でも、次を買うまでの間をなんとか乗り切れるテクニックがあると、気持ちもラクに、そして常にたたみかけて買うことも減るのではないでしょうか。それは、身の回りのものに関しても同じであると、羽仁もと子は語っています。食材以外にも、消耗品や衣類、家具を買うときなどにも応用できる考え方です。モノはあれば安心ですが、そのことにとらわれ過ぎるのも、本末転倒ですね。
 羽仁もと子の「買いものについて」シリーズ、次回は、9月22日に公開予定です。

羽仁もと子とは、どんな人?
 1873年、青森県生まれ。1897年、報知新聞社に校正係として入社。その後、日本初の女性記者として、洞察力と情感にあるれる記事を書く。同じ新聞社で、新進気鋭の記者だった吉一と結婚。1903年4月3日、2人は「婦人之友」の前身「家庭之友」を創刊。創刊号の発売前日には長女が誕生し、自分たちの家庭が直面する疑問や課題を誌面に取り上げ、読者に呼びかけ響き合っていった。


この記事が参加している募集

#お金について考える

37,530件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?