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補助金の実施主体と対象について

補助金の実施主体については、国・地方公共団体・民間団体に分けることができます。国は国の政策目的を達成するために補助金を出していますし、地方公共団体は地方公共団体の政策目的を達成するために補助金を出しています。民間団体は、それぞれの団体の役割に応じて補助金を出しています。

それぞれの役割の違いが、出されてくる補助金の特徴にもなりますので、対象者も異なってくることになりますから、複雑になってしまうところでもあります。

そこで、今回は補助金の実施主体と対象者の違い、という視点から国・地方公共団地・民間団体の補助金の特徴をまとめてみました。


1・国の補助金と対象者

国から出されている補助金の多くが営利団体、つまり会社を対象としています。個人事業主を対象としていることもありますが、そんなに多くはないです。

また、非営利団体については対象としていないことが多いですが、NPO法人などは通常の営利団体と同じような課税と納税があれば対象となっていることもあります。

つまり法人として納税していることが条件になっているのですが、これは財源が税金であることが多いことから、仕方がないことかもしれません。

利益が出ない場合は税金を支払わなくてもよいというNPO法人や社団法人・財団法人などの非営利団体、もともと税金面で優遇されている宗教法人などは、そもそも納税面で優遇されているはずなのに、さらに税金が財源となっている補助金も得られるとすると、かなりの不公平感がありますから、対象外となっていることが多いです。



2・地方公共団体の補助金と対象者

地方公共団体の活動には、地域の特性や構成の特徴によって、さまざまなものがあります。都市部では環境の問題があったり、過疎地では人口減少や高齢化の問題があったりしますし、経済の活性化が重要な課題であったり、開発そのものや再開発が課題であったりと、本当にさまざまなものがあります。

そのために複雑になるところなのですが、ここを理解することができれば活用方法が広がるところでもあります。ですから、少しじっくりと見ていきます。

経済の活性化が目的の場合は、営利団体や個人事業主を対象としていることが多いです。このあたりは、国の補助金と同じところですし国と似たような補助金になりがちです。

ただ、経済活性化だけではなく地域課題の解決ということも、地方公共団体は考えなければなりません。ここが、地方公共団体の特徴が表れるところなのです。

この地域課題の解決を目的とした補助金の対象者は、基本的には非営利団体が多いですが、対象を問わないこともありますので、情報のアンテナの感度を高くしていくことが重要なポイントになります。

また、任意団体を対象者としている補助金も多数あります。商店街の活性化のために、空き店舗の活用であったり、住民の安全のための防犯カメラの設置であったり、地域の課題と予算に合わせて、さまざまな取り組みがなされています。

最近では、子ども食堂への補助金を出している地方公共団体は多いですし、応募する人が多いようです。補助額は大きくはありませんが、社会の関心が高い課題を映し出すという一面も、補助金にはあります。



3・民間の補助金と対象者
民間の財団や基金などからも、年間で1000億円ベースといわれる補助金が出されています。大手企業などが母体となっている民間団体では、社会福祉全般的に募集があったりしますが、小さい団体では団体の目的応じて限定的な取り組みが対象となったりします。

また、研究開発なども対象になることもあるので、大学などによっては専門的な機関をおいて情報収集したりしています。

民間団体からの補助金は、その多くが非営利団体を対象者としていて、営利団体は対象外であることが多いのですが、まれに対象を問わないものもありますし、募集条件がころころと変わったりします。

さらには、年に何回も募集されたり、いきなり終了してしまったり、数年間は募集されなかったけど募集が再開したりすることもあるので、アンテナの感度を高くしておく必要があるところです。

実際のところ、民間団体の財源は社会状況に大きく左右されてしまうので、税収という形で安定的に財源を確保できる国や地方公共団体とは異なるところがありますし、税金が財源ではないので議会の議決を経ないで行えるため、民間団体の特徴が見えてくるところです。

現在のような社会状況では、民間団体が補助金に使える資金も減少していると推察されるので、社会経済が盛り上がりを見せてくる時期までは、大きな財団からの補助金募集が、例年通りの募集があるのかないのか、規模が維持されるのか縮小されるのか、というところかもしれません。



4・任意団体の注意点
地方公共団体や民間団体で対象となる任意団体とは、町内会や商店街、ボランティアサークルなどのことになります。

ただ、これらの団体が無条件で対象者になるということではなく、団体の構成人数は3~5人以上で、活動期間は1~3年以上となっていることが多いです。

また、民主的な運営がなされていることを証明するために、会の運営規則や総会・理事会の議事録などが必要ですし、しっかりとした活動がなされていることを証明するために活動状況がわかる資料などの提出を求められることが多いです。

じつは、この資料集めが大変で、この段階で申請を諦めてしまう方が多いのですが、逆に言えば、しっかりとした団体運営をしていれば簡単に資料が用意できますし、採択される可能性が高いということになります。もし、任意団体での活動をされていたらラッキーです。明日から、さっそく会員規則や議事録の作成にとりかかりましょう。

あと、当たり前のことですが反社会的勢力ではないことが必要になります。誓約書を求められた際には、サインをしてください。

まとめると、数人が集まっている活動で民主的な運営が行われていること、実際の活動内容や活動期間があること、ということが証明できることが必要になってきます。ここが、簡単なようでいて難しいところでもあります。



5・公的機関間の補助金
意外なところでは、国から都道府県や市区町村へ、都道府県から市区町村へ、という流れの補助金もあります。逆の流れは、見たことはないのですが……。

これは国や都道府県などの財政規模が大きい公的機関が、地域の実情に合わせて実施したほうがよいというような政策目的を実現させるため、財政規模が小さくて政策を実現する予算がなくて取り組みができないような公的機関に出す補助金です。

例えば、害獣駆除対策は、最近多くなってきている印象があります。市区町村の農業従事者の比率や事業形態などの詳細な状況を把握していないと効果的な対策はできませんが、その対策を行う予算が市区町村にはないケースも多いことから、都道府県が市区町村に害獣駆除対策をした経費を補助するというようなものがあったりします。

災害時の復旧の際なども活用されていますし、災害対策として準備されていることも多いですが、国から地方公共団体に出す場合は法律に基づきますから国会の承認が必要ですし、都道府県から市区町村であれば条例に基づきますから、都道府県議会の承認が必要となります。

税金を払っている一納税者の立場からすると、ものすごく面倒くさいことをしているという印象がありますが、予算を組んで議会の承認を経て税金を使う以上は、不正使用や不当流用がないようにしなければならないので、仕方がないところではあります。

また、実際に使い勝手が悪いところもあるようで、東日本大震災の際などは高台に逃げる道を多くしたいと考えて復興計画を策定しても、元の道に戻すのでなければ補助金が出ないというようなケースがあったように聞き及んでいます。

まぁ、政治が素早く丁寧に対応することができれば、法律や条令を改正して使いやすくすればいいだけなので、政治の質という問題ともいえるのかもしれませんが……。


以上、今回は補助金の実施主体と対象者について、ちょっとだけ深く見ていきました。

いかがでしたでしょうか?

難しかったでしょうか?
わかりやすかったでしょうか?

このあたりは、制度自体の複雑さもありますし、私の説明力不足の問題もあると思います。

ただ、いろいろなところが、いろいろな目的で、いろいろな人を対象として補助金を出していることと、申請を考えるときには、誰がどのような目的で出している補助金なのかぐらいは、把握しておいたほうがいいかもしれません。

国に受けがいいこと、都道府県に受けがいいこと、民間団体に受けがいいこと、はそれぞれ異なりますから、申請書の書き方も少し異なってくるところです。

今回の記事が、補助金の申請書の作成する際にお役に立てれば幸いです。


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