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インドネシアの残業と休日出勤

インドネシアの法定労働時間は「週5日(1日8時間以内)」または「週6日(1日7時間以内)」で、「週40時間以内」と定められています。それでは、残業および休日出勤はどのように決まっているのでしょうか。

インドネシアの残業時間と休日出勤に関する規定

インドネシアの法律では、残業や休日出勤の時間は以下のように規定されています。

平日の残業

・1日4時間以内かつ週18時間以内

休日出勤

【週5日勤務の場合】
・週12時間以内

【週6日勤務の場合】
・  休日出勤:週11時間以内
※祝日に出勤する場合の労働時間は1日9時間以内

※従業員に残業をさせるには、上司から「書面またはデジタルメディアによる残業命令」を出すことと、従業員が同意することが求められます。
※残業に関する規定は、管理職など一部の役職の人には適用されません。

インドネシアの残業代(時間外労働手当)に関する規定

インドネシアの法律では、残業代は以下のように規定されています。

平日

・1時間目:基礎賃金の1.5倍
・2時間目以降:基礎賃金の2倍

休日・祝祭日

【週5日勤務の場合】
・8時間まで:基礎賃金の2倍
・9時間目:基礎賃金の3倍
・10時間~12時間目:基礎賃金の4倍

【週6日勤務の場合】
・7時間まで:基礎賃金の2倍
・8時間目:基礎賃金の3倍
・9時間~11時間目:基礎賃金の4倍

【週6日勤務で残業日が勤務時間最短日に重なる場合】
・5時間まで:基礎賃金の2倍
・6時間目:基礎賃金の3倍
・7時間~9時間目:基礎賃金の4倍

※基礎賃金(時給)は月給の「173分の1」として計算されます。
※1日の残業時間が4時間を超える場合は、雇用主は十分な休憩時間を設ける他、栄養のある食事と飲料(具体的には最低1,400キロカロリー)を提供することが義務とされ、この食事については金銭の提供で代えてはならないとされています。

日本の場合、残業代の基本は「賃金の1.25倍」で、深夜残業は1.5倍、休日出勤は1.35倍以上などと規定されています。いずれにしても、インドネシアの残業代は高く設定されていることがわかりますね。

インドネシア人は残業をするのか

インドネシアにおける残業について、「インドネシア人は残業を嫌がる傾向がある」「残業は特別忙しい時期のみで、ほとんど定時退社だ」という情報を見かけることがあります。

間違いではありませんが、周辺の会社員を見ていると、「残業に対する価値観(認識)が違う」だけで、必ずしも「残業嫌い」というわけでもないように思います。それに、業種や企業、個人によってもかなり差があるようです。

「基本は定時退社だが、必要最小限の残業は許可し、残業代もしっかり支払う」という模範的なスタイルの企業もあれば、「残業はないことになっている(サービス残業が普通になっている)」という企業もあります。コロナ禍においてリモートワークが広まったことで、出社時間・退社時間があいまいになり、「本来の退社時間を過ぎているのにミーティングが入っている」「毎日のように深夜まで仕事をしてしまう」という人もいます。

また、独身のうちは残業代目当てで積極的に残業し、結婚後は家族優先で残業を減らすという人もいるようです。ジャカルタなど都市部では、帰宅ラッシュの時間に退社すると渋滞につかまり大変なので、あえて残業してから帰るという話も聞いたことがあります。このように「残業代まで含めた金額が自分の給料」という認識の人も多く、効率を重視したりコストを削減したりしたい会社側からすると、頭の痛い問題となるかもしれません。

もちろん、就業時間をできるだけ短くしたいという人もいます。そのような人は、「残業が必要になるということは、そもそもの仕事量が自分に合っていないということだ」と感じ、残業を嫌がったり調整を求めてきたりするでしょう。

残業には労使間の合意が必要ということが法律で定められていますから、インドネシア人を雇用する日本人は、日本の常識を持ち込まず、しっかりとコミュニケーションをとる必要があります。

カケモチのインドネシア人スタッフの場合

結論から申し上げれば、カケモチのスタッフは、残業や休日出勤はしません。「充実した仕事時間の前後に十分な家族団らんや自己投資のための時間を確保できることが、スタッフひとりひとりの人生を豊かにする」と考えるからです。
 
それはスタッフたち個人のためでもあり、会社のためでもあります。「人生が豊かだ」と感じている人が集まる会社は、良い雰囲気の、素敵な会社になると信じているのです。
 
インドネシア在住のスタッフは、全員リモートワークです。朝、出社時にSlackで挨拶をして業務開始。夕方は「今日もありがとう」「また明日」と挨拶をして退社します。大体のスタッフの退社時間は18時。18時10分くらいまでには全員の退社の挨拶が確認されます。その後はSlackの通知をオフにしている人も多く、業務時間外に連絡を取ることは、ほとんどありません。
 
とはいえリモートワークなので、サービス残業をしようと思えば、内緒で、簡単にできてしまいます。管理する側が何の工夫もせず、「残業していない」と言い切ることはできません。
 
ですから私たちは、スタッフに無理なく気持ちよく働いてもらうことを、常に意識しています。業務時間に対してやや余裕のある業務量を割り振り、空いた時間を他のスタッフとの電話およびチャットでの雑談や、突発的な業務への対応に充てられるようにすることもその一つ。追加の業務がある場合は締切日や優先順位を先に相談することも欠かせません。

もちろん、どんなことでも気軽に相談してもらえるような雰囲気作りも、重視しています。
 

【参考】
JETRO インドネシア 外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用「現地人の雇用」詳細
・Gajimu.com Upah Lembur(残業代)
・Gajimu.com Waktu Kerja Lembur Menurut Aturan Ketenagakerjaan(雇用規則に則った残業時間について)
Gadjian Perhitungan Lembur Terbaru Berdasarkan UU Cipta Kerja(雇用創出法に基づく最新の残業計算方法)          


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