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本当に誠実でありたいなら、物事の「裏側」を知るべき。

久しぶりに、テレ東の「ガイアの夜明け」(5/19放送回)を見た。

コロナ危機の中で奮闘する宅配・物流業界の人々を追ったドキュメンタリー。

とても面白かった。

コロナによる巣ごもり需要で激増した宅配の裏側を支える人たちの奮闘が熱い。

ふだん、あまりよく考えもせず宅配を享受する側の自分にとっては、水面下で宅配業者やドライバーがどんな苦労をしているかを知って頭が下がる思いだった。

番組中でも取り上げられているけど、いまやタクシーまでUber Eats的なことをしている。

コロナによる事態はそれほどのっぴきならないということだ。

そんな危機の中でも、工夫して生き抜こうとする人たちのエネルギーを本当に尊敬する。

とくに、番組中で一番大きく取り上げられていた「PickGo」という宅配プラットフォームサービスは面白いなと思った。

ドライバー不足によってますます重労働化していく宅配業界にとって、ドライバーを増やし一人一人の負担を軽減しながら、雇用創出もでき地域経済を回せるPickGoのような仕組みはまさに宅配業界・消費者・被雇用者三方よしの秀逸なサービスだと思う。

まさに宅配版Uber。

大阪府と連携して地域活性にも取り組むみたいですね。

たしかに地域経済圏を回していくには、小回りの利く流通インフラを築くのが欠かせなさそう。詳しいことは経済の専門家じゃないのでわからないですが、今後ますます広がりを見せていくのでは。

また、このサービスを提供しているCBCloud株式会社の社長さんのエピソードも熱い。

やっぱり自分自身の原体験や覚悟をもとに起業した人って、芯の通ったサービスを展開するよなあ。

こういう生き方してみたいもんだぜ。

あとは、これも番組内で紹介されていたOKIPPAという置き配用バッグも、「再配達」という宅配業界の闇を解決するグッドアイデアだなーと思った。

正直、対面で渡されなければならない宅配物ってほとんどない。

たまに、雨の日に本とかが玄関先に置かれてて「本が濡れるだろうが!ふぁっく!」ってなることもありますが、こういうバッグがインフラ化すればその心配もなくなる。

これで盗難リスクさえ心配ないことを実証できれば、間違いなく日本の宅配シーンの常識が変わっていくだろうと思う。

「あー、コロナ禍の中でも必死に働く人たちかっけえなあ。おれもがんばろ……。」

そう思えるだけでも十分価値ある番組なのだが、それ以上に思うことがある。

それは、「本当に誠実に何かを知ろうとするならば、物事の表側だけでなく裏側も知らなければならない」ということ。

今回ならば、ふだん自分たちの生活を多少なりとも支えてくれる通販サービスの裏側には、非常に大きな社会構造、そしてそこに息づく人たちの生活や思いが渦巻いているということだ。

自分がした1つの注文を起点に、そういった複雑なシステムが動いているのだ。何気なしに行った再配達が、誰かの生活に負担を来しているかもしれないのだ。

ただでさえ生活していく中で気を揉むことが多いのに、そんなことにまで気を配っていられないというのも正論だ。

別に、常に周りに感謝していなければだめ、なんていう偽善者ぶった傲慢な意見を主張したいわけではない。

ただ、何かを語るときに、都合のいい側面だけを取り上げ知ったような気になるのはとても危険だと再認識したから、それを書き留めておきたい。

とくにこんな時代だと、物事のある側面だけを誇張したり意図的に切り取ったりする論調が幅を利かせがちだ。

そういうとき想像力が足りないと、簡単に極端な意見に絡めとられる。自分も感化されやすい質だから気を付けないと、と思っている。

とくに自分の好きな領域、興味のある分野ほど冷静になることが難しいと思う。思い入れが強いほど、物事をメタ的に見て価値判断することが難しくなる。自分も、好きなアーティストが批判されていたら、その正誤を確かめる前にまず「ムッ」と思う。

だが、そこでムキになって反発していては結局同じ穴のムジナだ。

そういうときこそ、「なぜこの人はこんな主張をするのか?」「その原因を作り出したものは何なのか?」に思い馳せなければならない。

例えばそのうえで、好きなアーティスト側に非があると分かったならば、それを受け入れなければならない。

それが、思い入れているものに対する、真の意味で誠実な態度だと思う。

もちろん、この程度の知識を得たからといって「表側も裏側も十分知った」とは口が裂けても言えないし、番組では語られていないまだまだ闇の深い現状があるのだとは思うが、それは後々少しずつ知っていけばいいと思う。

古代ギリシャから連綿と継承されている無知の知というスタンスさえ持っておけば、いつだって学習する伸びしろはある。

まだまだ、知らないことだらけだ。

だから、面白い。



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