銀河鉄道の夜に思う

人には誰しも「心に刺さった言葉」というものがあると思います。あの偉人の名言とか、あの歌詞とか、あの名実況とか。

自分もそういったものがあるのですが、今回は少し違うベクトルで心に刺さった言葉を紹介したいと思います。それは「銀河鉄道の夜」です。

銀河鉄道の夜は宮沢賢治が書いたもので、主人公ジョバンニとカムパネルラが銀河鉄道にのり様々なところを旅するお話です。

しかし、今回どうしても書きたかったことは物語の内容ではなく、「銀河鉄道の夜」という言葉そのものについてです。

最初にこのタイトルを見たとき、とても好きになりました。その後成長してなぜ好きになったかを考えてみると、様々な理由が考えられました。

「銀河鉄道の夜」ぜひ一度声に出して読んでみてください。「ぎんがてつどう」何ともごつごつした音感です。しかし、最後に「夜」が来ることによって、そのごつごつさが様々な変化を起こします。ある人は急にふわっと軽くなるような感覚に陥るかもしれません。その語感と鉄道という非常に重たい印象のものがふわっと軽くなる。ここにこの作品のファンタジーな部分が表れているように思います。

一方で「夜」という言葉にずんと沈むような印象を持つかもしれません。こう解釈をした場合、鉄道という重たいものが夜にずんと沈んでいくという非常に暗いあるいは内省的な話と捉えることができます。ある意味物語の裏側にスポットライトを当てた解釈です。

また、音感だけでなくその文法もまたきれいです。例えば「夜の銀河鉄道」だったらどうでしょうか。何となく「銀河鉄道」にピントが合っており「夜」は環境を表現するだけということになります。言ってみれば「銀河鉄道シリーズ」の夜編という印象になってしまうわけですね。

しかし、これが「銀河鉄道の夜」となると銀河鉄道を舞台とした夜の一幕ということになります。非常にピントが広くあっているわけですね。雰囲気を見事に表現していると思います。

皆さんはどう思われたでしょうか。共感できたか、あるいは全然言ってる意味が分からなかったでしょうか。いずれにしても「銀河鉄道の夜」少し読んでみたくなりませんでしたか?もっとも、このページにたどり着いた人は「銀河鉄道の夜」に興味がある方か、あるいは大好きな方でしょうから余計なお世話かもしれませんが。