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人生大喜利とシャトルラン

僕あ弱くてしゃあねえのなんので、純粋に能力値が低くて失敗続きの人生のくせして、ちょっとのヘマが僕の精神衛生に与える悪影響がバカほどでけえ。


こいつは由々しい!



何かちょっとした失敗でも、何かしら躓く度に、ああ俺の人生は〇〇(←ここになんかすごくネガティブな言葉が入る)なんだなっていう気持ちになる。
それでまあ心の安定を取ろうと頑張っているのだが、失敗は次から次へとこの身を襲い(っつうか他でもないこの身が引き起こし)、その都度僕のネガティブな人生大喜利は加速している。


他人に迷惑をかけた日には「人生とは罪滅ぼしである」と己に説き、

また、

モノを壊したり、無駄にしたりした日には「人生とは損失である」と、

また、

認めたくない過失を働いた日には「人生とは言い訳である」と、

また、

何もしなさすぎて空虚だった日には「人生とは空洞である」とした。


結局てめえの命ってなあ何にあたるんだい!!と、自分自身に問い詰めたい気持ちも山々だが、兎角、そういうのがある。


いやしかしこれは失敗と罪に塗れた人生で、

取り分け、人前で必要ねえ言動行動をぶち撒けてその場の言動行動コードを有耶無耶にしてきた罪の数とその重さたるや!


けっきょく最後には僕だけが恥をかいて終わるんだ、誰も喜ばないしむしろ迷惑をかける、そんで恥だけが永遠に僕の墓標にひっそりと残り続けるんだ、カスだ!!とは思うのだが、

が、

かく恥はかく恥、嗚呼恥の多い生涯を歩んでいる(現在進行形)わけで…😢


取り敢えず、僕はその度に「人生とは恥を晒すことである」として、毎度の大喜利に決着をつけてきた。



恥。


僕の人生はこいつと共にある。



学生時代、僕はカス体力の代表として、新体力テストでは密かに学年最下位の体力を記録し続けていたのだが、高校生のころ、シャトルラン、あいつ、あいつだ、シャトルラン、シャトルランの時にそれは起こった(厳密には「起こした」)。


いつものようにかなり早い段階でバテ、もたついた走りをしていた僕だが、後の友人談によると、友人各位だけでなく、なんだかギャラリーから観覧していた女子の方々からもありがたいことに応援の眼差しを頂けていたらしく、要は、そのまま頑張って走り切れば、まあ普通に「頑張ったね〜」くらいでこの競技を終えることができる条件がそれなりに整っていたという訳だった。


だが、モタモタ走っている僕は、そんなに素直に頑張って走り切れるだけの精神状態にはなかった。




いや、

だってさ、

だってさ、


足筋(あしすじ)!!!

痛いのなんの!!!!!!


なんなんだ、足筋、なんなんだ、足筋!!
なんなんだ、「走る」という行為、なんなんだ、シャトルラン!!そして走る俺、俺の、足筋!!!


しんどすぎる!!!


小学生の頃、関東旅行、ディズニーランドから近場のホテルに歩いて戻る道のりでめちゃくちゃに歩いて泣くほど足痛かった憶えあるな…😌

うふふ…😌


それどころじゃねえ!!!
シャトルランの足筋痛は違う!!そんなメルヘンも、ノスタルジーも、母の愛も兼ね備えた完全な足の痛みじゃ、ない!!

ただ音に合わせて足を持ち上げ、そいつを地面に叩きつけ、それを繰り返すことでちょっと早く前進する行為を、何分、何十分にもわたりやり続けるだけの、この無為な儀式の終着にある、只管に無為な痛み!!!


痛い!!

しんどい!!


体育館、蒸し暑くなっていく大空間、激化する心拍が胴体を直に揺らす。だんだんと加速していくドレミファソラシド。遠ざかっているようにすら見える床のテープ、その横にはバカみてえに佇むカラーコーン。そして痛み、足の痛み、誰かの声援、ドレミファソラシド、心臓の音にかき消されていく、そして世界には痛みだけが、残る!!無機質に数字を読み上げる女の声はさっきから同じ40代を行き来している気がするが、しかし、それよりも体の痛み!心拍!大きくなっていく不満と、遠ざかっていく思い出、少年の日の思い出!痛み、痛み、体育館、ドレミ、ディズニー、痛み、筋、筋、筋!!!



狂う!!!



と、

そして、

体力の限界を迎え、愚かしくも確かに走り切った僕は、ぜえ、ぜえ、と息切れする世界を他所に、視界の端に映ったバカみてえなカラーコーンを、


ぶち蹴り、


心拍に隠れて渦巻く心の声を、
そのまま、
体育館中の熱帯的空気感を切っ裂くように、

叫ぶ。


「ぶち殺すぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




すん…



僕の周りの空気だけが、

僕に向けられた熱線だけが、



すん…


と、

消える感覚が、



かなりしっかり目に、


した。



足筋はまだ痛む。
ドレミは加速し続ける。


僕だけが恥をかいた。


僕だけが失敗した。







僕だけが死んだ。













人生とは恥を晒すことである。

あわよくばnote一本で食っていきたい〜とか考えてるので是非よろしくお願いします。