分散コンピューティングはコロナに対抗できるか?

 コロナウイルスのことが分かるにつれて感染の防止に役立っていますが、まだ分からないことが多すぎるのではないかと思います。守るだけではなくて攻めも考えなければなりません。それは特効薬を作ることです。私の専門外ですが創薬の話です。

膨大な計算能力が必要な創薬

 新しい薬を開発するには膨大な計算が必要だそうです。もうなくなってしまいましたが、理化学研究所が持っていた「京」というスーパーコンピュターがありました。今は後継である「富岳」が開発されています。これらの膨大な計算能力は様々な分野で使われていますが、創薬という分野においても重要な役割を果たします。簡単に行ってしまえば、尋常ではない複雑なパズルを解いています。そして、その結果を検証するにも膨大な計算が必要です。世界中の研究機関が研究をしていますが、時間もお金もたりません。しかしそれを待っている時間はもうありません。

計算能力を寄付するということ

 では薬を作るための協力を世界中でできないのか?と考えるのは自然の事です。お金がある人は寄付をしてもいいでしょう。研究施設がある人は解放してもよいでしょう。私のように何ももっていない人間(笑)でも計算能力を寄付することができます。それは分散コンピューティングという技術です。みなさんが今この記事を見ているパソコンやスマホ、個々の性能はバラバラですが、共通して計算する能力をもっています。例えばトイレに行ってる間や食事をしているとき。あなたがデバイスを使ってないときの計算能力を寄付できるのです。膨大な計算を切り刻んで小さな計算にして、世界中のパソコンに送り、計算をしてもらって結果を受け取ります。1台の計算能力は高くありませんが、世界中のデバイスをつなぐとかなり大きな計算量になります。

 この分散コンピューティングプロジェクトは分野によってたくさんありますが、タンパク質の解析を目的にしたFolding@homeというプロジェクトが新型コロナウイルスの解析協力をすると表明しました。

  参加はとても簡単です。ホームページからソフトウェアをダウンロードしてインストールするだけです。あなたは何もせずとも、デバイスが暇なときに勝手に計算してくれます。

 スーパーコンピューター「京」の計算能力は10PFLOPS(ペタフロップス)、1秒で10,000,000,000,000,000回(=1京回)の計算ができます。Folding@homeは80PFLOPS以上あると言われています。単純に京の8倍です。世界中のデバイスを合わせると、これほどの計算ができるのです。

寄付とは何かを再考する

 人類はテクノロジーにより複雑な課題を克服し、よりよい世界にしてきました。その弊害がある側面もあるでしょう。しかし今は持てるあらゆるリソースを投入して難局を乗り切らなければなりません。興味のある方は是非Folding@homeにもご参加ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?