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お母さんを孤独にしちゃいけない。(話を聞きましょう。)

産まれて1ヶ月は、どうにも母乳をおっぱいから上手に飲めなかった我が子。産後1週間の入院中、授乳の度に「母乳温め→授乳→寝かしつけ→搾乳→搾乳機洗浄+消毒」をするので結果、ほとんど眠れずに次回の授乳がやってくるという修行の日々を過ごしていると聞いた。それはいかん!と思い、夜中の授乳も一緒に起き、僕が哺乳瓶で授乳+オムツ交換している間に搾乳をして、彼女が寝かしつけている間に洗浄+消毒をするというルーティンを行っていたら、全ての指がボロボロに荒れた。それでも「起きてから寝るまで45分しかかってない!」というのは奇跡的に上手くいった時だけで、いつも1時間以上かかっていた。

それから2ヵ月、我が子はおっぱいからグングン飲めるようになり(成長に泣ける。飲みながらすぐ寝ちゃうけど)、現在はミルクも併用しているが搾乳することはない。だから、僕が一緒に起きたとて、同時並行に進められて時間短縮になることはほぼない。それでも、ビールを飲み過ぎたりしたときには、そのまま寝かせてもらうこともあるものの、一晩に1度は起き上がって一緒に居間に行くようにしている。横に座って(時に寝転がり)、授乳中の彼女と話をするために(オムツも交換するけどね)。

育児をしている人は孤独だ。

我が家の場合で言えば、彼女はこれまでバリバリ仕事をしていた。ここ1年は、ほぼリモートワークになっていたとはいえ、毎日多くの人とメールを交わし、電話で会話をし、時には現場に出て多くの人と直接打合せをすることもあった。それが、昨年11月に産休に入ると、自由が利かない身体で、家に一人きり。北海道の11月は寒く、どうしたって出掛けるのも億劫になる。そのまま12月末に出産を終え、1月3日に退院してきてから、3ヵ月。彼女はほとんどの時間を我が子と過ごしている。この3ヵ月で両親、親戚以外の友達に会った日は数日。育児のことを聞ける友達はいるけれど、多くの時間は一人で心配して、自分で調べて、試しての繰り返し。

言えるものなら、言葉で伝えてあげたいんですけどね、もうちょい待ってて

だから、家で育児を担っている人は、いつも孤独だ。外から見れば「ずっと我が子と一緒に居られてしあわせだね~」「永遠に見てても飽きないんでしょうね~」と見えるかもしれないけれど、産まれたばかりの子は、いくらかわいくとも言葉は通じず、何を考えているかさっぱりわからない。誰よりも笑わせてあげたい我が子は、いつも大泣きし、それがどうしてかもわからない。そんなときの自分の無力さ、不甲斐なさは、味わった人でないと決してわからない。

搾乳機が届かないだけでパニくる彼女

僕だって、たかだか数時間の留守番をしているだけで、こんな文章を書いているけど、入院中に孤独で不安な彼女が1週間を過ごした気持ちなんて理解できているわけがない。出産1週間後、退院するときに彼女が「ネットで注文した搾乳機が、退院するまでに届かない」と半泣きでいうので「じゃあ、買ってきておくよー」と気軽に話して、買ってきたら「買ってきてくれて、ホントにすごく(気持ちが)楽になった」と何度も言われた。何を大袈裟な、と思ったが、そのくらい彼女は「おっぱいを飲ませてげられないこと(実際は我が子がまだ飲めないというだけ)」に不甲斐なさを感じて追い詰められて泣いていたに違いない。搾乳機なんて僕がお店で買ってくれば済むという頭も回らず、搾乳機がないとミルクをあげられない!とパニックになって困り果てるほどに。

あんなに忙しい仕事を毎日こなしていた彼女が、そんなに追い詰められるほど、一人きりで考え、決め続けることは大変なんだと思う。だから、育児を担っている人を一人きりにしてはいけない。そのために周囲の人間が出来ることは話相手になることくらいだ。

まあ、お母さん。初めてのことでしょうけど、落ち着いて

同じようで、毎日違う

家に帰ると、彼女はいつも居なかった時間の我が子の様子を共有してくれる。僕も留守番をしたときは、二人で過ごした時間が、どれくらい大変だったか、我が子がどんな成長を見せてくれたかを話したくなるので、すごく気持ちがわかる。「あのあと、すぐに1時間くらい寝て、起きてギャン泣きして、仕方ないから少しおっぱい飲ませようと思ったけど、もう泣きすぎて飲めなくて、ゆらゆらして、落ち着いたら少しだけ飲めて…」「一人で遊んでたら、ウトウトしてたから、まさか、このまま寝てくれたりしてー!と思って、トントンしてたら、寝れなくて怒って1時間以上、大泣きしちゃって、今寝たとこ…」などなど。自分も聞いてもらいたいと思った経験があるから聞いてあげたいし、毎日聞いていても必ず少しづつ成長はあって、よくわからない新しい問題が浮上して、解決できた喜びがある。毎日聞いているから、微妙な変化にも気が付ける。これを聞かず週末のご機嫌な時だけを一緒に過ごしているだけでは、絶対に気がつけない沢山の変化を感じられることは、すごく、しあわせなことだと思う。育児を、話を聞くことをサボった人には、決してわからない。私たちだけの特権だ。毎日、仕事で我が子と一緒に居られない人でも、帰ってから育児をしている人から、どんなことがあったかを聞くことは必ず出来る。

ははーん、これ、私の手だな(先週、土曜日に発見)

「話し相手になろうという話をnoteで書いている」と彼女に話したら「どんな時が一番、孤独かわかる?」と聞かれたので「夜中におっぱいあげてる時でしょ」と返したら「おおー流石」と言われたので、今晩も起きて、新しい問題の解決策を一緒に考えたりしようと思う。

手を発見したら、おもちゃ沢山与えられたよー

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