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自分で簡単に出来る「妊娠中ケア&産後のケア」~骨盤を中心としたセルフエクササイズと日常生活のアドバイス~

目次
〇はじめに

〇妊娠中のセルフケアについて
 ①安産のためのトレーニング
 ②妊娠中の腰痛の原因とセルフケア
 ③妊娠中の頭痛の原因とセルフケア

〇産後のセルフケアについて

 ①産後は骨盤矯正をするベストタイミング
 ②産後の腰痛
 ③産後の肩こり・頭痛
 ④産後の膝・足首の痛み
 ⑤手首の腱鞘炎
 ⑥尿もれ・恥骨の痛み
 ⑦産後の下半身太り・お腹の緩み
 ⑧妊娠前の体重に戻すポイント
 ⑨骨盤のゆがみをなくすために見直したい生活習慣



はじめに
私は、2002年1月に埼玉県さいたま市に骨盤矯正専門の整体院「ライフ快療院」を開院しました。

ライフ快療院という名前は、「命・生命・生活」という意味の“ライフ”と「快適な療法で痛みやコリを改善したい」という想いの“快療”を併せて付けました。
 
私が、産後骨盤矯正を本格的に取り入れたのは、2010年7月に我が家に双子が産まれたことがきっかけです。


これを機に、私自身も、子育てに関わるようになり、子育てをしているお母さん達と接する機会が増えました。


そして、仕事や家事をしながら育児を頑張っている多くの女性が、骨盤の歪みが原因の腰痛、肩こり、下半身太りなどで、悩んでいることを知りました。

私の開発した「かじた式骨盤矯正法」で、その悩みを解消し、元気で明るく、しかもキレイになるお手伝いをしたいという想いが強くなり「産後の骨盤矯正」に、より力を入れるようにしました。

おかげさまで、現在、来院者の90%は女性で、そのうち70%の方が「マタニティソフトカイロコース」と「産後骨盤矯正コース」を利用されています。


当院では、「ずっと通わせない」をモットーに初回の問診に時間をかけて、身体の状態をしっかり確認し、関節だけでなく筋肉のバランスを調整するオリジナルで開発した「かじた式骨盤矯正法」で施術を行っています。

さらに、コリや痛みを根本から改善し、その状態を維持する為に、一人一人に合ったエクササイズ指導や日常生活のアドバイスも行っています。
 
また、私が主宰する「かじた式骨盤整体スクール」は、全国の整骨院や整体院の先生やエステサロンのセラピストの方など、多くの「プロ」先生方に受講していただいています。

今回、この記事を書いたのは、一人でも多くの方々に、「妊娠期のケア」や「産後ケア」の重要性を知って欲しかったからです。


腰痛や肩こりを抱え、身体がつらい状態だと心もつらくなり、育児に対してストレスを感じてしまいます。


まずは、自分が健康で元気でないと、家族も元気になれせん。

これを読んでいただき、実際にエクササイズなどに取り組んでいただくことで、元気で明るい毎日を過ごして欲しいと考えています。
 
それでは、私が常日頃、お客様にアドバイスをしていることなどを中心に解説していきます。

なお、ご紹介する内容は私の著書「30歳からの産後骨盤ケア」から抜粋しています。


妊娠中のセルフケアについて


①安産のためのトレーニング

それでは、ここから安産のためのトレーニング及び妊娠中の頭痛・腰痛をセルフケアする方法についていくつかご紹介していきます。
 
・安産のためのトレーニングその1「歩く」
 妊娠中はどうしても、運動不足から、筋力が落ちたり、今までと違う姿勢になるため、身体の一部分だけ使いすぎたりと、筋力のバランスが崩れてしまいます。

要するに、骨盤がゆがんだ状態になります。
だからといって、妊娠中に激しい運動をする事は出来ませんし、マタニティヨガやスイミングなどをするには、時間やお金がかかります。
そこで、もっともかんたんで、手軽な方法として「歩く事」をおすすめします。

『歩くだけでいいの?』と思うかもしれませんが、歩くことはとても有効で、しかも、買い物や用事を足すために歩いて行く事が、運動になるので効率的です。

いつも車で移動されている方は、近所のコンビニくらいは歩いて行くように意識するだけでもいいと思います。

いつもよりちょっと多めに歩いてみる。
そう意識して、実践する事が運動不足の解消につながります。
また、歩く事により、基礎体力が維持できるので、産後の育児にも良い影響がでます。

・安産のためのトレーニングその2「四股を踏む」
 出産の痛みを『鼻からスイカが出てくるような痛み』などと、言う方がいます。
これだけの痛みが伴うということは、身体に対してとても負担がかかり、非常に体力を使うということになります。
 
現在70代の方々が産まれた時代は、平均で6人くらいは出産をしていたのではないでしょうか?

ちなみに私の父は10人兄弟、母は5人兄弟です。今の時代では、『大家族』と呼ばれてしまいますよね。
10人も出産をするということは、10回もその痛みに耐え、それこそ生死をかけお腹を痛めて産んでいたのでしょう。体力も相当必要だと思います。


今より栄養状態など悪かったと思うのですが、その体力はどこからきているのでしょう?

1つの要因として考えられるのは、その時代は、自給自足で、女性も農作業=肉体労働をしなくてはならなかったので、昔のお母さん達の基本的な体力が、現在のお母さん達よりあったからと考えられます。
特に下半身の筋肉・骨格がしっかりしていたため、たくさんの子供を産むことができたのではないかと思います。
 
そこで、現在のお母さんたちの下半身の筋力不足を解消するエクササイズ「四股踏み」をおすすめします。

四股とは、お相撲さんが取組前に行っているもので、四股が上手に踏めるようになるまで、ほかの練習はしないとも言われる重要なトレーニングです。

あのお相撲さんの巨体を支え、ブレない軸を作り上げるのです。
下半身の強化を目的とし、特にインナーマッスルである大腰筋を強化できる運動です。
これが、意外と手軽にできるので、妊娠中の方にもお薦めです。


「四股踏みの手順」
1、足を肩幅より広めに開きつま先を外へ向け、背筋を伸ばし、お尻を垂直に下す。足首、膝、股関節の角度が90度になるようにする。この姿勢を腰割の姿勢といいます。
2、左足に体重をかけて、右足を上げる。この時、床を蹴らずに、股関節まわりの筋肉を意識して、ゆっくり上げていきます。また、お尻が後ろに出てしまうと効果が半減するので、気を付けてください。
3、上半身の軸をまっすぐにしたまま、体全体を右に傾けて右足をつま先から下します。お腹に力を入れるとスムーズに下せます。
4、これを、左右5回繰り返します。
 
初めは無理をせず、腰割の姿勢だけから始めてもいいと思います。
腰割が、スムーズにできるようになったら、足を上げる動きを追加してみて下さい。
 
 ②妊娠中の腰痛の原因とセルフケア
妊娠中の腰痛の原因は2つ考えられます。
 
1つ目の原因は女性ホルモン「リラキシン」の影響です。
リラキシンは、妊娠してから出産後2~3日まで分泌されます。
主な働きは、関節を緩めることです。出産時は赤ちゃんが狭い産道を通って出てくるので、骨盤周辺の関節、恥骨結合と、仙腸関節を緩めて、赤ちゃんが通りやすくしています。

しかし、その結果、骨盤周辺の関節が不安定になり、それを支えようと筋肉が硬く緊張します。これが、妊娠中の腰痛、ソケイ部の痛みに関係すると考えられています。

また、リラキシンは、生理前にも分泌されるので、生理前に腰が重だるくなるのも、これと同じメカニズムになります。

2つ目の原因は「姿勢の変化」です。
お腹が大きくなり、重心がつま先に移動することにより、骨盤や腰椎(腰骨)が前傾になり、それを脊柱起立筋(背中の筋肉)で後ろに引っ張り、支えてバランスをとろうとします。その為、絶えず背中が張った状態が続き、背中や腰が痛くなります。
 
どちらの原因も、妊娠中には仕方のないものなので、原因を取り除くことはできませんが、少しでも、楽になるように、腰痛のセルフケアを3つご紹介します。
 
1、日常の姿勢で気を付けたいこと
 
アイロンや、掃除機などをかける時は、なるべく背中を丸めないようにしましょう。
椅子に座っている時も必ず背筋はまっすぐに伸ばすようにしましょう。背もたれを使うときは椅子に深く腰掛け、背中が曲がらないようにしましょう。座った時にお尻の穴に力を入れて座ると、骨盤が立って背中を伸ばしやすくなります。


2、壁立ち
壁に背中を向けて「踵、ふくらはぎ、お尻、肩甲骨、後頭部」がつくように立ち、20秒~30秒程その姿勢をキープします。その時、腰と壁の間に手のひらを入れてみましょう。
その間が手の厚みと同じくらいが理想なので、かなり間が空いているようなら、お腹を壁に押し付けるようなイメージで下腹部に力を入れてみてください。
これを1日に1回~3回行います。そうすることで、良い姿勢を保つことが出来て、腰への負担が軽減されます。

⑥壁立ち



3、猫のポーズ
床に四つん這いになり、猫が伸びをするように、背中を弓なりにします。これは、腰椎と骨盤のストレッチになり、これをすると骨盤の内圧が下がります。
10回を1セットとして、1日3セット程度するとよいでしょう。


 ③妊娠中の頭痛の原因とセルフケア
 妊娠中に起こる頭痛の原因3つとその対処法をご紹介します。 

まず1つ目の原因として、「エストロゲン」というホルモンが大量に分泌されることにより、頭痛を引き起こしてしまうというものです。

このエストロゲンの働きは、妊娠を持続させるために子宮を大きくし、乳房の中に通っている乳腺を発達させて母乳を作る準備を促します。
ですから、非常に大切なホルモンの1つです。しかし、大量に分泌された時に、ホルモンバランスが乱れて、脳の血管が拡張し、ズキズキと脈を打つような頭痛を引き起こしてしまいます。
 
⇒この場合の対処法は、痛みのある部分を冷やし、安静にすることです。冷やすときは、保冷剤やアイス枕のようなものより、ビニール袋または氷嚢に氷とひとつまみの塩と水を入れたもので冷やすと、冷やしすぎにならないのでお薦めです。
 
2つ目は、「筋肉のコリ」や「首・肩のコリ」からくるものです。

このタイプのものは「緊張型頭痛」と言われるものです。
普段、肩こりをしない方でも、妊娠中は身体や心の変化にストレスを感じたり、不安感を抱きやすくなることから、身体が緊張状態になり、肩や首まわりがこってしまう事があります。
その結果、血行が悪くなり、頭痛が起きるのです。
 
⇒この場合の対処法は、入浴やシャワーなどで、肩や首まわりを温めることです。そうすることにより、血液の循環がよくなり、筋肉の緊張が解消され、頭痛も治まります。
 
最後の3つ目は、「脱水状態」からくる頭痛です。
妊娠中は、子宮内に羊水を貯めなければならないので、通常より水分が必要になります。
しかし、つわりなどの影響で、いつものような食事がとれず、食事からの水分補給ができにくくなるため、脱水症状になってしまいます。
 
⇒この場合の対処法は、積極的に水分を補給することです。中でも常温のお水がお勧めです。
お茶やコーヒーにはカフェインが含まれていますし、利尿作用もあります。スポーツドリンクなどは、糖分、塩分が入っているため、これらの飲み物よりは、お水がいいです。
ただ、つわりがひどい時は、お水に限らず、飲めるものを飲むようにしましょう。

◯産後のセルフケアについて
 

①  産後は骨盤矯正をするベストタイミング

最近は、メディアの影響もあり、骨盤矯正の認知度が上がり、産後に骨盤矯正をする方が増えています。

実は、「骨盤矯正」は、男女問わず、年齢も関係なく受けられ、一般的な腰痛や肩こり等にも効果のある施術法で、カイロプラクティックや整体の種類によって様々な方法があります。

産後に骨盤矯正をするメリットは多いので、この時期にするのは特にお薦めです。

 

実は、妊娠中は「リラキシン」と呼ばれるホルモンが大量に分泌されます。
このホルモンは、恥骨結合や仙腸関節などの靭帯を緩ませ、赤ちゃんが産道を通りやすくするためのものです。
靭帯が緩んでいる状態は、出産後もしばらく続くので、骨盤が不安定な状態にあります。



米国カイロプラクティック専門誌によると、産後の女性の「95.655%」が仙腸関節に異常がみられるとの報告があります。

それが原因で、体の痛みやコリなど不調が出る場合もあります。

しかし、裏を返せば、緩んでいることで関節が動きやすいので、緩んでいるうちの方が、正常な状態に戻しやすいことが、「産後6か月以内がベストタイミング」と言われるゆえんです。


腰痛や肩こりなどの症状がない方でも、この時期に正常な状態に戻しておく事は、今後の予防につながりますので、産後の骨盤矯正をお勧めします。
 
また、骨盤周辺の靭帯がゆるむことで、脳がまだ妊娠中と錯覚してしまい、「プロゲステロン」というホルモンを分泌し、水分や脂肪をためようとします。
その為、なかなか妊娠前の体重に戻らないということがあります。
早めに骨盤矯正をして、正常な逆三角形の状態に戻すことは、そういった観点からもメリットがあります。
 
②  産後の腰痛
産後、退院してくると、育児や家事が待ったなしで始まります。

身体がまだ万全じゃない時からたくさんの事をこなしていかなくてはなりません。

可愛いわが子のためにと無理をしてしまい、気が付くと腰痛になってしまう方も多いと思います。

そして、腰痛になってしまっても、赤ちゃんのお世話は変わらずに続きます。


腰を曲げ伸ばしすると痛い、腰が常にズキズキするなど、痛みの出かたも様々ですが、生活に支障がでる程、痛みが強い場合は、ゴムバンドや骨盤ベルトで仙腸関節を固定したほうがいいでしょう。


また、重い荷物を持つなど、腰に負担をかけるのは極力避けましょう。

あまりにも痛みが強い場合は、骨盤矯正を受けることも大切です。

そして、痛みが落ち着いたら、ベルトの使用をやめ、「歩く」ことで仙腸関節周りの筋肉に刺激が入り、徐々に腰痛が改善され、再発防止にもつながります。

もし、妊娠前の体重に戻っていなければ、それはダイレクトに腰への負担となりますので、妊娠前の体重に早く戻すことが必要です。

また、一見、腰痛とは関係のなさそうな「便秘」ですが、便がたまると腸内にガスが発生し、背中や腰の神経を圧迫します。
それが原因で腰痛を引き起こしたり、他の体のトラブルの要因にもなるので、予防・解消を心がけてください。
 
③  産後の肩こり・頭痛
産後、肩や首のコリ、頭痛を感じるようになる方がたくさんいます。
妊娠前や妊娠中はそれ程感じたことが無かった方でも、産後に感じるようになったという方もいます。

それは、骨盤が不安定な状態にあるということと、前かがみ(前傾姿勢)になる事が多いのが原因の一つです。


おむつを替えたり、授乳をする時など、小さな赤ちゃんのお世話をする時は、無意識に前かがみになっています。
頭というのは、結構、重く、体重の10%と言われています。

例えば、体重が50kgの方だと、頭の重さは5kgとなります。
これはボーリングの球なら、女性向けの球で一番重いものになります。
首の上には常にこれがのっているのです。

前かがみの状態は、重い頭が身体の前に行っているので、それを支えようと首の筋肉と肩から背中の筋肉も前に引っ張られます。この状態が続くと、血流も悪くなり、痛みやコリを感じるようになります。
 
また、産後は赤ちゃんのお世話などで、妊娠前のように気軽に外出することができない事が多くなります。

家にいる時間が長くなると、暇つぶしのため、スマートフォンやタブレットを使用する時間が増えてしまうこともあるでしょう。

そのスマートフォンや、タブレットを使用するときの姿勢が、前傾姿勢で、首が下がっている状態になりやすいので、注意が必要です。

さらに、夢中になってその状態を長時間とり続けてしまい、気が付くと首や肩が痛くなってしまうのです。

前傾姿勢が続くと、首の自然な前弯がなくなり、いわゆる「ストレートネック」の状態になります。

⑦正常な首のカーブ

⑧ストレートネック

ストレートネックになってしまうと、頭痛・肩、首のコリだけでなく血圧にも影響があります。

ロンドン・カレッジ大学のlan J Edward博士の論文によると、「首が動く時、首の筋肉細胞は脳に神経信号を送るが、これは身体が姿勢を変化させた分に応じて適切な血液供給を確実にするためであろう。
しかし、悪い姿勢によって細胞がダメージを受けると、そのシステムは衰弱し、結果として血圧が最適よりも高く、あるいは低くなる。」とあります。


さらに、カイロタイムズ109号(松下先生著)で「首の骨の自然な前弯が失われると、神経系の機能が衰弱し、心臓血管系など様々な機能異常の原因になることが判明しています。」とあります。
 
育児中はどうしても前傾姿勢になってしまう事が多いので、仕方ないところではあるのですが、なるべく同じ姿勢をとり続けないようにしましょう。

スマートフォンを使う時は、時々、休憩を取ることが大切です。
また、「キャットレッチ」を行う事で、首や肩の筋肉がストレッチされてすっきりしますので、是非やってみてください。

⑯キャットレッチ1

⑰キャットレッチ2

⑱キャットレッチ3

⑲キャットレッチ4

  

④  産後の膝・足首の痛み
産後、腰痛や肩こりだけでなく、膝や足首に痛みや違和感が出る人も多くいます。

それは、やはり骨盤の歪みや筋肉のアンバランスが原因で、弱いところをかばって、他の所に負担がかかり、痛みが出てしまうからです。

特に育児をする時、膝の曲げ伸ばしを繰り返し行う動きが多いのです。例えば、おむつを替える時もそうですし、泣き止ませる時や寝かしつけの時など、お母さんは立った状態で、身体を上下左右に揺らして、あやします。これはかなり膝や足首に負担がかかります。

また、体重が妊娠前に戻っていない場合は、腰痛の時と同様に、今までより重い分、負担も大きくなるので、早めに体重を戻すことも大切です。

「大腰筋」を鍛えるエクササイズも効果的です。

⑳大腰筋エクササイズ1

㉑大腰筋エクササイズ2

㉒大腰筋エクササイズ3

㉓大腰筋エクササイズ4



そして、「抱っこひもの使い方」も工夫してみてください。

抱っこひものストラップの位置を変えるだけで、抱っこした感じがとても楽になり、赤ちゃんが軽くなるような感覚になります。
これは膝や足首だけでなく腰や肩の負担が軽減されるので、お勧めです。

⑨抱っこひもの悪い例

⑩抱っこひものいい例


⑤手首の腱鞘炎
産後、手首の腱鞘炎に悩まされている方は、たくさんいます。
育児や家事の作業では、手首を酷使する場面がたくさんあります。

特に首が座る前の赤ちゃんの首を支える時、手のひらに頭を乗せるので、指や手、手首までが緊張した状態になります。
また、ベビーカーを押す動きも手首に負担をかけています。
そして、スマートフォンの使いすぎも、腱鞘炎の原因になります。
 
そもそも腱鞘炎とはなんなのか?というと、腱のトンネル部分である腱鞘が炎症し腫れてしまい、腱のスムーズな通りを邪魔している状態です。

腱鞘炎の方へのアプローチとして、整形外科では、レントゲンを撮り骨に異常がなければ湿布を張って様子を見る、整骨・接骨院では電気治療器をあててマッサージをする。鍼灸院では、針で痛みを緩和するなど、様々です。


当院では、手首の腱鞘炎は、肘から手首にかけての筋肉と頸椎や骨盤の歪みも関係していると考えています。

痛みの発生する経緯として、まず、骨盤が歪み、背骨のバランスが崩れて頭の重さを支える頸椎(首の7つの骨)に負担がかかり、首、肩、手にかけて支配している神経に何らかの影響が出て、これらの筋肉の動きが悪くなります。
そして、ひじと手首をつなぐ上腕部に負担がかかり手首の腱鞘に炎症が出て、痛みが出るのです。

つまり、手首の痛みの原因は手首だけでないということです。
ですから腱鞘炎の根本的な改善には、骨盤矯正や筋肉のバランスを取る事が大切なんです。


セルフケアとして、まず、手首の痛みのある部分をビニール袋にいれた氷水で15分位冷やします。

次に首を前後左右に動かして、無理のない範囲でストレッチをします。
手で頭に横の部分をに圧をかけて抵抗を加えて伸ばすとより効果的です。

そして、肘から手首までの筋肉で、押すとコリコリして痛みのある部分を痛気持ちいいと感じる程度の力でもみほぐします。

最後に、ドラックストアでも売っている「キネシオテープ」で手首を固定するといいでしょう。
 
腱鞘炎は、腱鞘部分の炎症が治まり、元通りのトンネルになれば、痛みから解放される訳ですが、炎症を完全に治めるには、手首を使わないことが近道です。

でも、この時期に使わないということは、不可能ですので、セルフケアをしながら、少しずつ痛みを取っていくようにしています。
  
⑥尿もれ・恥骨の痛み
産後、尿もれや恥骨の痛みを気にしている方が結構います。
ではなぜ、産後、尿もれをしたり、恥骨が痛くなるのかというと、骨盤底筋に関係があります。

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骨盤底筋とは子宮や膀胱などの内臓を下から支える、骨盤の底にあるハンモック状の筋肉で、妊娠中は胎児も支えているので負担がかかります。


そして出産時には、赤ちゃんが通るために、一気に緩みます。
その為、妊娠中から出産の時期に、負担がかかってしまいます。
この骨盤底筋が緩んだままだと、尿もれの原因になります。
 
産後に出る恥骨の痛みは、出産時に恥骨結合に負担がかかった場合に出ることが多いです。
恥骨の痛みがひどい場合は、歩く事や立っている事さえままならなくなってしまいます。


このような時は、医療機関などでしっかりと診断してもらってから、仙腸関節ベルトやトコちゃんベルトなどを使用することをお薦めします。
 
そして、ある程度、痛みが落ち着きましたら、骨盤底筋を刺激すると良いです。
お勧めのエクササイズは、イスに座っている時や立って家事をしている時に、「お尻の穴」を意識して締めるようにしてください。
これを毎日することで、骨盤底筋が安定してきます。
 
⑦産後の下半身太り・お腹の緩み
産後の悩みで多いのが、下半身太りですが、なぜそうなるのでしょうか?
3つの理由を解説していきます。
 
まず、1つ目の理由としては、女性は子供を産み、授乳するということから、男性より多く脂肪を蓄えるようになっています。
特に産後は、母乳を与えるために脂肪を蓄積しています。
それで、妊娠前と同じ生活スタイルに戻っても、なかなか体重が落ちないということになります。
 
2つ目の理由は、出産後は育児や家事などが忙しくて食事の時間が不規則になりがちです。
特に夜遅くに食べてしまう事もあるかもしれません。
もしくは、食べる時間がないからといって、1度にたくさん食べてしまったり、反対に、常に何かを食べていたり。気づかない内に、意外とカロリーを取りすぎてしまいます。
食事の内容も、やはり、時間がないとコンビニ弁当やインスタント食品に頼ってしまい、栄養バランスも悪くなってしまう事もあると思います。
こういった、食生活の事情からも、太りやすい理由が見えてきます。
 
最後の3つ目の理由は、妊娠中にお腹が大きくなってくると、そり腰の状態になり、お腹と背中の筋肉のバランスが崩れてしまいます。
出産後も元に戻らない状態が続くことで、血液の流れが悪くなり、老廃物がとどこおり、脂肪がつきやすくなります。
この場合、特に骨盤周りに脂肪が付きやすくなってしまいます。
 
また、産後、お腹を触ると緩んでいることに驚いた方もいると思います。これは、妊娠中や分娩中に腹直筋の真ん中が割れ(腹直筋離開)、白線が左右に広がってしまったためです。

妊娠中にリラキシンによって、お腹を覆っている腹直筋の中心に走る「白線」という腱が緩んできます。
すると腹直筋が2本に割れ、「腹直筋離開」を引き起こします。
これは胎児の成長にともなってお腹が大きくなるために起こることで、妊娠女性の9割がなるといわれています。

腹直筋は骨盤と胸郭をつなぐ筋肉で、恥骨と胸郭を引き上げます。
この筋肉が弱ると、骨盤底筋が上手く機能しなくなり、胸の張りがなくなったり、坐骨間が広がり、お尻のサイズが上がってしまいます。

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⑬白線広がった


白線を縮めて腹直筋を元に戻すのに、効果的な「腹直筋」のエクササイズがありますので、お腹のゆるみが気になる方は、是非やってみてください。

㉔腹直筋エクササイズ1

㉕腹直筋エクササイズ2

㉖腹直筋エクササイズ3

㉗腹直筋エクササイズ4


⑧妊娠前の体重に戻すポイント
どうすれば、妊娠前の体重や体型に戻せるの?と思われている方が多いのではないでしょうか?

当院の「産後骨盤矯正コース」に通っているお客様の中にも、「妊娠前の体重に戻らず、骨盤の歪みを取ると痩せると聞いてきました。」という方が多いです。
何事も原因があって今の結果があるのですから、前章の「産後の下半身太り」で書いた原因を断ち切れば良いのです。
ポイントは3つあります。
 
まず1つ目のポイントは、身体全体の筋力を妊娠前の状態に早く戻すことです。
妊娠中から出産直後など、安静にしていたために、筋力は落ちています。そのためにまずは、「歩く」ことを始めましょう。
安産のためのトレーニングでもおすすめしていた歩くことですが、やはり産後も、とても効果的です。
また、「テレビ体操」や「ラジオ体操」は10分程度の時間で全身の筋肉を効率よく動かせるので、おすすめです。
 
2つ目のポイントは、食事のコントロールです。
妊娠前の食事の量、質、時間に戻すことが一番のポイントになります。
あとは、一般的に言われていますが、タンパク質、ビタミン、ミネラルは積極的にとるようにして、夕食時には、糖質、脂質の摂取量を少なめにするのが効果的です。

食事制限のダイエットは、たくさんありますが、私個人としては、1つのものだけ食べるとか、何かをまったく食べないというような方法は、あまりお勧めできません。
やはり、全ての栄養をバランス良くとることが、大切だと考えるからです。そして、短期間で結果を出そうとするダイエットもリバウンドをするの可能性が高いので、要注意です。
 
最後の3つ目のポイントは、睡眠時間です。

授乳をしていると、まとまって眠ることが困難になるかと思いますが、やはり、人間の身体の仕組みを考えると、8時間位の睡眠は必要です。

睡眠は人の身体に様々な効果をもたらしますが、体重を戻す為に必要なのは、成長ホルモンの分泌を促すことです。
成長ホルモンには、脂肪を燃焼する働きがあるからです。
成長ホルモンは、ノンレム睡眠時に多く分泌されるので、深い睡眠を取る事が重要になります。
 

⑨骨盤のゆがみをなくすために見直したい生活習慣
骨盤が歪む原因は、人それぞれありますが、妊娠、出産が原因でなるというよりは、妊娠前からあった歪みが、妊娠、出産を機に顕著になったと考えています。

では、妊娠前は何が原因で、骨盤が歪むのかというと、それは「生活習慣」にほかなりません。

ということは、産後に骨盤矯正をして、筋力をつけても、骨盤が歪むような「生活習慣」をしていては、また、骨盤が歪み、腰痛や肩こりがでる可能性があるのです。

そこで、特に気を付けたい8つのポイントをお伝えします。
 
①物を拾う時は中腰で前かがみの姿勢ではなく、膝を曲げて取るようにしましょう。

②洗濯物を干すときは、洗濯物の入っているかご等を、床に置くのではなく、腰をあまり曲げずに取り出せる高さの所におくようにしましょう。

③洗面台で顔を洗うときは、腰から曲げるのではなく、膝を軽く曲げ、股間節から身体を曲げるようにしましょう。

④立っている時は、片足だけに重心を掛けるのではなく、両足でしっかり立つようにしましょう。

⑤荷物を持つときは、左右どちらかを決めて、いつも同じ方に持つのではなく、左右を交代しながらもつようにしましょう。

⑥授乳の時は、赤ちゃんを抱える腕を、左右のどちらかだけでなく、左右同じくらいの時間で、変えるようにしましょう。

⑦床に座るときは、横すわりやぺちゃんこ座りではなく、正座かあぐらにしましょう。
特に、あぐら座りで授乳する時は、お尻に下にクッションを入れと背骨が曲がらなくて安定します。

⑭ぺちゃんこ座り

⑮あぐら座り授乳中

⑧椅子やソファに座るときは、脚を組まずに、腰を深くいれて座るようにしましょう。
 
特に意識して頂きたいのは、バランスよく筋力を使う事と、同じ姿勢を長時間続けないということです。

以上、自分で簡単に出来る「妊娠中ケア&産後のケア」~骨盤を中心としたセルフエクササイズと日常生活のアドバイス~について解説いたしました。

最後までお読み頂きまして、本当にありがとうございました。
私は、約18年間で約50,000例もの施術をさせていただきました。
その経験から感じていることですが、ここ数年で、インナーマッスルである大腰筋や骨盤底筋群の弱い方が増えている事を実感しています。


昔に比べて、「産後のケア」をしないと育児家事に支障が出る方が多くなっていると思います。

昔も今も妊娠、出産は、女性の身体に、大変な負担を強いるものです。
出来たら、妊娠する前から、身体を整えておいてください。


また、妊娠中から意識して身体を動かすように歩くようにした方がいいでしょう。

それが出来なかった方は、産後のできるだけ早い時期に「骨盤矯正」をうけるか、セルフケアやエクササイズで骨盤を正しい状態に戻してください。


今回ご紹介しているエクササイズはどれも現場で結果が出ているものなので、取り組んで頂きましたら、お悩みの改善や健康増進につながると確信しています。
 
皆様が健康で楽しく妊娠〜出産、子育てが出来るように願っています。

ライフ快療院南浦和本店院長
かじた式骨盤整体スクール代表
一般社団法人日本骨盤矯正普及協会代表理事
梶田 了

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