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『へんないきもの』早川いくを 「100回『えー!?』って言っちゃう本」と、明るく

このnoteは、本の内容をまだその本を読んでない人に対してカッコよく語っている設定で書いています。なのでこの文章のままあなたも、お友達、後輩、恋人に語れます。 ぜひ文学をダシにしてカッコよく生きてください。

『へんないきもの』早川いくを

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○以下会話例

■衝撃が多い

 「生き物に関する本か。そうだな、そしたら早川いくをの『へんないきもの』がオススメかな。この本はだいぶ前に出版されて大ヒットして続編も出てるくらいだから、タイトルだけでも聞いたことある人は多いと思う。実際に中を読むと「こりゃヒットするわ」って納得できるほどの面白さなんだ。

『へんないきもの』は、キンチャクガニとか多脚タコとかヨツコブツノゼミとか、地球上のあまり知られていない不思議な生き物を、リアルなイラスト付きで紹介する本なんだ。そしてこの本の魅力は何といっても記憶に残る絵なんだよ。

『へんないきもの』は大きく分けて2種類の「へんないきもの」が登場するんだ。1種類は生態が変な生き物。もう1種類は見た目が変な生き物。

生態が変な生き物は、例えばハサミを打ちつけて破裂音を出して小魚を失神させるテッポウエビ。このエビは「破裂音で獲物をとる」という生態が変なだけで、描かれてる姿は普通の可愛いエビなんだ。

一方で、スマイルガニとかクマムシとかコモリガエルとか、ビジュアルが強烈な「へんないきもの」達は、絵を見た瞬間に「へんないきもの」だって納得しちゃうんだ。僕はこっちのタイプの「へんないきもの」達に心を掴まれた。ページをめくって白黒で書かれた絵を見る度に「え?」って手が止まってしまうんだよね。多分今まで読んできた本の中で一番「えー!?」って言った本だと思う。

全部で70種くらいの変な生き物を紹介してるけど、文章が軽くてジョークを交えて書かれてるから、70種類ぜんぶ衝撃的な生態と見た目をしてることもあって「本当にいるの?」って疑ってしまうくらい。

■先生に隠れてまで読みたい本

僕がこの『へんないきもの』に出会ったのは中学2年生の時なんだ。授業中に斜め前の席の友達がこっそり本を読んでるのに気づいて、その友達は普段本を読むような人じゃなかったから「本を読まないあの子が、先生に隠れてまで読みたい本ってなんだろう」ってすごい気になったんだ。授業が終わってすぐに何を読んでたのか聞いたら、この『へんないきもの』だったんだよ。

「へんないきもの」というキャッチーなタイトルと綺麗な黄緑色の表紙に惹かれてそのまま貸してもらったんだ。次の授業中に同じように隠れて本を開いたら、すごい衝撃的で、その時の授業のノート一文字も取れなかった。

当時の僕は、中学2年生という特有の時期も相まって「僕は世の中の大抵のことは理解してる」って壮大な勘違いをしていたんだ。だから本を読む時は、「ここに書かれていることのどのくらいを既に知っていたか」を計算してたんだよ。嫌な読み方だよね。そんな僕だったから、「普段本を読まないあの子が読んでた本だから、半分くらいは知ってる生き物が書かれてるかな」って馬鹿にしてたんだ。でもいざ読み始めると、いくらページをめくっても知ってる生き物なんて出てこなくて、毎回「えー!?」「こんなのいるの!?」って驚きながら読んでいった。この本のおかげで僕はまだまだ知らないことがあるって知れたよね。無知の知。

■何度も再生

僕が『へんないきもの』の中で一番心つかまれた生き物はプラナリア。プラナリアって知ってる?僕はこの本を読んで初めてプラナリアという生き物を知って「え、こんなの成り立つの!?」って衝撃を受けた。そしてこの感動を誰かに伝えたくて隣の席の子に「プラナリアっていうめちゃくちゃな生き物がいるんだよ」って興奮気味に言ったら「知ってるよ」って冷静に返されて、すごいショックだった。

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プラナリアは淡水に生息する扁形(へんけい)動物で、より目がかわいい生き物なんだ。この生き物「へんな」部分は、驚異の再生能力を持つことなんだよ。プラナリアはどんなに細かく切り刻まれても再生するんだ。

例えばプラナリアを刃物で10個の断片に切断すると、その10個の断片それぞれが完全な個体に再生して、10体のプラナリアになるんだ。衝撃的だよね。切り落とされた部分がその状態のまま生命維持をする訳ではなくて、ちゃんと頭部ができてかわいい目も出てくるんだよ。そして驚くことに学習した記憶もそれぞれに引き継がれるんだよ。どういう仕組み?

トカゲの尻尾とか、鹿の角とか、個体の一部が再生するのは何となく理解できるけど、切断してバラバラになった破片が、それぞれ違う個体として命を持つということが信じられないよね。

そしてこの不思議なプラナリアは、アマゾンの奥地とか、海底3000mの深さに住んでいる訳ではなくて、日本全土の綺麗な河川の石にある裏に張り付いているんだ。こんなへんないきものが、そんな身近にいることがさらに驚きたよね。

実際に切断して再生するまでの観察動画がYoutubeにあったから、見てみて。

『へんないきもの』は、生き物たちの多様性を知れて、地球に興味を持てる良書だから、是非一回目を通してみて。」



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