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『もものかんづめ』さくらももこ 「漫画みたいに読める」と、ニコニコしながら

このnoteは、本の内容をまだその本を読んでない人に対してカッコよく語っている設定で書いています。なのでこの文章のままあなたも、お友達、後輩、恋人に語れます。 ぜひ文学をダシにしてカッコよく生きてください。

『もものかんづめ』さくらももこ

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○以下会話

■読者が苦手な人に最適な本

 「読書が苦手な人におすすめの本か。そうだな、そしたらさくらももこの『もものかんづめ』がおすすめかな。さくらももこは『ちびまる子ちゃん』で有名だけど、エッセイもたくさん出していて全部面白いんだよ。

僕の姉がさくらももこ大好きで、部屋の本棚に『ちびまる子ちゃん』全巻と、エッセイ全作があったから、小学生の頃から読んでたんだよね。『ちびまる子ちゃん』はもちろん面白いんだけど、エッセイもまるで漫画を読んでるみたいにスラスラと読めて面白いんだ。多分有名な作家さんの中でもトップレベルで読みやすい文章なんじゃないかな。

「爆笑する」ってほど面白い訳ではないんだけど、ちょうど良いレベルで安心してクスッ笑えるんだよね。『もものかんづめ』を読むと、なんでアニメ『ちびまる子ちゃん』が、何十年も国民に愛されているのか分かるような気がするんだよ。

『もものかんづめ』は、『ちびまる子ちゃん』と同じように、さくらももこの過去の体験を元に書いてるから、あくまで「日常」の枠から出ないんだ。海賊王を目指したり、鬼と闘ったり、ひみつ道具を使ったりはしないで、水虫を嫌がったり、思春期に妄想したり、健康ランドに行ったりと、「ど日常」の出来事が綴られているんだよ。だけど、その日常の中に、ポケットに飴玉が入ってるような、小さな笑いと幸せを見つけて描いていて、その「手の届く幸せ」が読者に安心感を与えるんだよね。だから、家族が最も集まる日曜日の夕方に、何十年も放送されるんだろうね。

■「現代の清少納言」

『ちびまる子ちゃん』に出てくる「まる子」は、さくらももこ自身を投影した主人公だから、小学生当時のさくらももこも、まるちゃんみたいにぐうたらで勉強嫌いだったらしいんだ。だけど、絵を描くことと文章を書くことには抜群の才能があったらしく、高校時代に小論文の採点者から「現代の清少納言」と言われたくらいだったんだって。実際にエッセイを読むと、「現代の清少納言」って言われたのがうなずけるよ。

あと、『もものかんづめ』を読書が苦手な人にオススメする理由は、作者を想像しやすいからなんだ。一般的にエッセイは、書き手の体験とか思考が書かれているから、小説よりも「誰が書いたか」が重要なんだ。いくら面白いエッセイがあっても「別にお前が何考えてるかなんて興味ない」って言われたらそこでおしまいなんだよね。だから芸能人とか有名人のエッセイ本は、「その人が何を体験して、何を考えているのか知りたい」というファンがたくさんいるから、いくら内容が薄くてもファンの数だけ売れるんだよ。

その分、さくらももこのエッセイになると、さくらももこ本人を想像することは難しくても、まるちゃんを想像することは簡単だから、まるちゃんの声付きでスラスラと文章が読めちゃうんだよね。

■『ちびまる子ちゃん』は「絵付きエッセイ」

『ちびまる子ちゃん』、アニメじゃなくて漫画で読んだことある?内容はアニメも漫画も一緒で、小学3年生のまるちゃんの日常生活を描いてるんだけど、漫画はアニメよりも書き手(さくらももこ)の存在が強いんだ。特に一桁代の巻数だと、吹き出しの中に書いてるまるちゃんのセリフとは別に、地の文に作者さくらももことしてのツッコミみたいな状況説明が書かれているんだよ。題材も、さすがにノンフィクションではないけど、小学生の頃の体験をベースにしてるんだ。まるで、さくらももこの過去の出来事を書いた脚本を、まる子が演じているような関係性なんだ。つまり漫画『ちびまる子ちゃん』はさくらももこの「絵付きエッセイ」なんだよ。

そんな絵付きエッセイの『ちびまる子ちゃん』は、アニメ化されて30年以上放送され続けて、国民的アニメになっているよね。そのさくらももこが書く「絵なしエッセイ」が面白くない訳がないんだ。」


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