イフェイオン ver.1

課題内容:各々自分の課題をする


イラストはこちら


プロローグ

……

……ここは?

意識が曖昧な中、全身を動かそうと試みる。

動かない。しかし、全身は軽い。

視界は正常に機能しているが、どこか分からない。

ここはどこだ?夢か?

???「こんにちは」

→「誰?」

???「そうよね、初めましてよね」

???「そうだ、まずココがどこか気になるよね?」

???「ココは、そうだな。君の夢の中に近い所、かな?」

近い所、か。

???「そうだ、君の名前は?」

→《名前入力(デフォルト名:)》

???「うん、うん、_______か。そうか、いい名前だね」

???「じゃあ、君の外見はどんな感じかな?」

→「それは、必要なこと?」

???「さっき、言ったじゃないか。ココは夢の中に近い所。」

???「現実における本体もなく、ただ意識だけが存在る場所。だから、君がどんな存在かを教えてほしい」

→♀風「なるほど…」

→♂風「理解できなくもないが…」

???「疑っているのかい?安心したまえ、正夢にはならないさ。きっと」

嘘くさい。だがしかし、

何故だろう、この人が発する声はどこか安心できる。

→「それなら…」

→《外見を選択(性別)》

 ↪︎ストーリー内への影響。挿絵の細部が違う・選択肢の言葉の変化

???「へー、なるほど、ふーん…なんか普通だね」

→「そっちが、言い出したのに」

???「ははっ、ごめんね。でもさ、普通な方が良いよ」

???「だって、他人からの感情移入がしやすい」

???「特殊な人間ほど、過去も性格も…解釈が人によって違ってくる」

→「何を言っているの?」

???「おっと、暗い話はやめよう。」

???「君が存在を明かしてくれたお礼だ!」

→「?」

 ↪︎???の挿絵

???「また、会えるといいね…_______」

……

…変な夢、だった。

また、か。そんな運命的なこと、あるわけないのに。

母「_______!起きなさい、遅れるわよ!」





《高等学校》

モブ1「おはよー」

モブ2「おはよ」

普通か。平凡、何も特徴のない人。

日々を送る中で、何の不自由もなく生きている。

趣味もなければ、特技もない。

その辺にいる、一般人。社会の破車でしかない。


教師「_______、三段目を読んでくれ」

何かオカシイと思うことがあれば、この世界。

現在、警察省が公表している全国別逮捕率の報告書。

どの県も、市も、逮捕率は100%。

何故、そんなことになるのか。この世界では普通の事だ。

現在の警察の方針は、「第一発見者=犯人」

となっているからだ。

日本だけではない。世界各国がこのような方針を取っている。

治安を維持するはずの警察関係者が、治安維持能力を失い、地域の治安が低下していった。

周りの評価も、変わっていた。

【警察官になれば、楽して定年まで働ける】

【老後も安心。年金も安定】

何より

【誰でもなれる職業】

として扱われている。

幼い頃から、そう教わってきた。

だから、何とも思わないが…

なんで、そうなったのだろう。不思議なものだ。

こんなことをクラスの人に話してしまえば、冷ややかな目で見られるだろう。それは嫌だ。

キーンコーンカーンコーン(SE)

《下校》

モブ1「じゃあねー」

モブ2「また明日ー」

今日も1日が終わった。警察関係があんなのなのに…。

世界は、平和ボケでもしているのだろうか?

PPPPPPPっ(SE/主人公のスマホ)

→「母さん?」

母「あ、良かった~繋がって。あんた電話でないこと多いからね~。今下校中でしょ?帰りに卵のパック買ってきてくれない?さっき使い切っちゃって、明日の分がないのよ~。お願いね~!」

プツ(SE/電話終了)

→「…お金あったかな」




玄関

ガチャ(SE)

→「ただいまー」

→「……あれ?」

玄関→リビングへ

→「……え?」

そこにいたのは、母

さっきまで、生きていたはずの母

床に血が流れていないのに…

死んだとわかる

→「あ、あ、あぁ……!」

最近また頻発に起こっている、変死体事件。

まさにその状況が、今目の前に広がっている。

なぜ、母が?

そう頭の中で考えているのに声が出ない。出せない。

そんな、どうして、何で……?

ガチャ(SE/玄関が開く音)

???「ただいまー」

ああ、どうしよう

どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう。

ゴトッ(SE/鞄が落ちるおと)

→「……お父さん」

父「……そうか」

父はおもむろに、服のポケットに手を入れスマホを取り出した。

そして、顔色や声色を変えずにスマホを操作し耳に当てた。

父「……もしもし、警察ですか」




《自宅付近》

近所のおばさん1「ねぇ、聞いた?あそこのお宅のお子さんが捕まったんですって!」

近所のおばさん2「確か一人っ子でしょ?気の毒ね~」

近所のおばさん1「しかも、あの子と同じ高校らしいのよ!」

近所のおばさん3「あらやだ!うちの孫はまだ中学生だらか助かったわ~!

《場面切り替え》

警官「さっさと、言った方が楽だぜ?」

→「……」

警官「はー、めんどくせ。あんなー、わかってんのか?お前はガキなの、でも捕まったの?分かる?」

→「……はい」

警官「そんでもって、今の法律では、どんな人だろうと第一発見者は犯人、ってなってるわけ。で、君が捕まった。分かる?」

警官「まあ、俺らも警官だし~?一応、事情聴取はしなくちゃいけないわけ。あくまで、事件の後処理。報告書に書かなくちゃいけないからね。こっちも大変なわけ、理解してくれる~?」

→「……はい」

コンコン(SE/部屋の扉)

警官「はーい……。」

ガチャ・バンッ(SE)

警官「あ、ども、はい。交代っすね、了解です」

《さっきまでの警官とは別の警官が、椅子に座る》

警官「では、俺はこれで。報告書はどうしますか?」

???「こちらで処理する。お前は何もするな」

警官「はーい」

ガチャ・バンッ(SE)

《さっきまでの警官は部屋を出る》

???「君の名前は知っている。何も喋る必要はない。黙っていた方が、身のためだ。君の所属は既に決めている。元の世界に戻れなくなるがな」

→「……どういうこと?」

???「まあいい、表には出ないことばかりだからな。君は選ばれた。誇るといい。」

→「……誇る?」

???「移動準備で少し時間がかかる、その間は留置所にいてくれ。態度はあれかもしれないが我慢してくれ」

→「……意味がわからない」

???「まあ、そのうち分かる」




……

……

あれからどれくらい経っただろう。

留置所にいるだけで、精神的におかしくなってくる。

自分は何もしていない、だからこそなのだろう。

部屋の中は、思った以上に綺麗だった。おそらく1DK。

風呂はないがトイレは扉がついた個室になっている。

三食必ず食事は用意してくれる。味は…。うん。

何もないのが不満だが、想像していたよりは……。

それにしても、面会はないのか?父さんは寂しくないのだろうか?学校にも連絡入れてくれただろうか?自分はこれからどうなるのだろうか?

どうなるのかな……。

コンコン・ガチャ(SE/部屋の扉)

???「_______、出ろ」

何日も前にあったようなきもする人だ。名前は……。えっと……。

→「えっと、なんて呼べば……」

???「名前か?ああ、そうか言ってなかったか……。あいにく名乗る名前でもない。次会う時までに考えておく」

警官に連れられ、長く冷たい廊下を歩く。服は捕まった時から同じ制服のままだ。着替えたい。

???「ついたぞ、入れ。くれぐれも、騒ぐなよ」

ガチャ・バンッ(SE)

???「やっときた!Helo!あ、違う、こんにちは、だ。日本語は難しいから、つい」

部屋に入って目に入った人物。金髪、高身長、青い目…。

少なくとも日本人ではない。しかし何故、ここに?

彼もまた、自分と同じように捕まった囚人なのか?

???「全く…私はこれで失礼する」

???「はい、ありがとうございます」

ガチャ・バンッ(SE)

ハーツ「さてと。では、改めて。僕は、クリスト・D・ハーツ、名前が長いから、クリスとかドラムとか、好きに呼んでくれ」《イラストカットイン》

第一印象は、フレンドリーな人。笑顔を貼り付けているわけでもなく、恐らくこれが素なのだろう。

→「じゃあ、クリスさんで」

ハーツ「うん、よろしく!じゃ、早速だけど、ここがどこか説明するよ」

→「あの……」

ハーツ「ん?どうしたんだい?」

→「服を着替えたいのですが……」

ハーツ「もしかして、予備の服を支給して貰えてないのかな?それは、いけない。少し待っていてくれ」

ガチャ・バンッ(SE)

→「……部屋を出ていってしまった」

《数分後》

ハーツ「お待たせ。はい、これ。僕は外にいるから、着替え終わったら、扉を開けてくれ」

→「……対応が神すぎる」

《数分後》

ガチャ(SE)

→「お待たせしました」

ハーツ「どう、サイズはあってる?」

→「大丈夫です」

ハーツ「それじゃ、部屋の中に入ろっか」




あの後、クリスさんから色々と説明してもらった。

ここは〈アビス〉と呼ばれる機関。国家直属らしい。でも、〈アビス〉を知っているのは上の偉い人だけ。国政関係者、警察関係者など、全員が知っている訳ではない。

警察関係のことは学校で大まかに習ったから、その中に無かった機関だなと不思議に思っていたが、自分が知らなくて当然のことだった。

日本を含めて、全七ヶ所存在している。そこも、同様に国家直属らしい。

それから、何故自分が〈選ばれたのか〉についてなのだが…。

ハーツ「なんで、自分がここにいるか気になる?」

→「え?」

ハーツ「おや、図星だったかな?うーん、そうだなー……。君には、僕たちに無いものを持ってる……可能性がある、からかな?あはは、曖昧だよね。でも、今はこれしか分からないんだ」

→「今は?」

ハーツ「そう、今は。人は常に進化・変化していく。それと同じように、僕たちも進化・変化していく。少し違うとしたら、後天性ではあるけれど【相互性魔術星動管】があることかな」

→「えっと、相互性……」

ハーツ「はは、長いよね。僕も、初めは戸惑ったよ。でも、最近は略して呼ぶことが多いんだ、【RIP】って」

→「【RIP】?」

ハーツ「そう、【RIP】。現代では、あまり良い意味ではない。おそらく、皮肉も込めての命名だろうね。」

ハーツ「さて、大まかだけどアビスのことを分かって貰えた所で……。_______。ようこそ、アビスへ。僕達は君を歓迎するよ」




《連れて来られた部屋の外》

ハーツ「早速だけど、アビスの中を案内するよ。……っといっても、僕はこの後予定が入っていてね。僕自身が案内したいのだけど……申し訳ない。でも、安心してくれ!ここの事を良く知っている彼女に案内してもらう予定だから!」

???「そうね。私が、案内するわ」

ハーツ「あっ、ヴェロニカ!ちょうど良かった、あとを頼めるかな?」

ヴェロニカ「ふふ、相変わらず忙しそうね、クリス」

ハーツ「あはは、一応リーダーだからね。ジンにも催促されそうだし、僕はこれで失礼するよ。それじゃ、また後でね、_______。」

→「はい」

タタタタ(SE)

ヴェロニカ「貴方、_______って言うのね。クリスにも気に入られて。ふふ、初対面なのにね」

ヴェロニカと呼ばれた彼女。自分よりも小さく、幼い。恐らくまだ、義務養育を受けているような年齢。そのような彼女が、自分と同じように捕まった……のか?

→「あの……、ヴェロニカさん?」

ヴェロニカ「さん、は、必要ないわ_______。改めまして、アビス本部【DuX】所属、ヴェロニカ。基本的に新しい人がアビスにやってきたら、私たちが案内することになっているの。」

《イラストカットイン》

見た目に反して、意外としっかりしている。今の子って、みんなこんな感じなのか?

→「じゃあ、ヴェロニカ。案内よろしくお願いします」

ヴェロニカ「ふふ、敬語も必要ないのに、律儀な人。いいわ、_______行きましょ」




《ゲーム内の各所説明(編成・強化画面・ガチャ画面etc)》

《ヴェロニカ「ん?仲間は集めないのかって?ふふ、それはまた後で。だって、貴方、アビスにどんな人がいるか知らないでしょ?大丈夫、貴方に合った人を紹介するから。」》


ヴェロニカ「最後に、ここが貴方の部屋よ」

→「えっ?」

ヴェロニカ「あら、不思議?だって、国家直属よ?それに、私たちは特別だもの。お偉いさん達は良い顔しておかないと、実力では勝てないもの。」

→「実力……」

ヴェロニカ「さ、今日はここまで。そろそろ、お腹も空いてくるこじゃない?」

→「いや、そこまで___」

グー(SE/腹がなる)

→「……すいません」

ヴェロニカ「ふふ、大丈夫よ。人間だもの」

《食堂に移動》

→「すごい、結構人がいる…」

ここにいる人たちは、自分と似たような存在なのだろうか?もしくは、クリスさんと同じ【RIP】を持った人たちなのだろうか?自分よりも年下であろう少年や、明かに年老いた人までいる。国家機密機関とはいえ、未成年や定年を迎えた老人を所属させているのか?ここに、規則はないのか?うーん、謎。

《健斗&日向を表示》

???「ここ最近、平和すっよねー」

???「確かに。でも、油断はできないよ」

ヴェロニカ「健斗、日向」

???「あれ、ヴェロニカちゃんどったの~?」

???「ん?横の人って新しい人?」

ヴェロニカ「ええ、そうよ。_______、健斗と日向よ。」

日向「朝日日向で~す」

《イラストカットイン》

健斗「武蔵原健斗です、よろしく」

《イラストカットイン》

→「よろしく」

日向「……」

日向「んー、やっぱり引っかかるなー」

健斗「え?」

→「?」

日向「んーと、えーとぉ……はっ!思い出したー!!!」

→「!?」

健斗「っわ!急に大声出すなよ」

日向「ごめん、ごめん。で、さっきから悩んでたのは、_______の顔どっかで見たことあるなーと思ってたわけ!」

日向「それで、思い出したの、同じクラスだ!って」

健斗「マジ?」

日向「もち!大マジよ!うちの記憶力なめんな!」

→「え、そうなの?」

日向「えー、誰も覚えてないのー???」

ヴェロニカ「ふふ、面白いわね」

日向「もー、しゃーない。_______ってさ、漣市中央区東高等学校、二年五組でしょ?」

→「え……」

日向「当たり、だよね。そんでもって、うちは、二年五組出席番号一番、朝日日向!どう、思い出した?」

→「……なんとなく?」

日向「なんで~???」

健斗「あはは、俺も初めはこんな感じだったなー」

日向「そーだよ!みんな他の人に関心なさすぎ!」

ヴェロニカ「_______、良かったわね。仲間がいて。これで少しは、安心できる?」

→「うん」

グー(SE/腹がなる)

→「…」

日向「あー。隣くる?」

健斗「みんなで食べた方が、楽しいしね」

→「いいの?」

日向「なにそれ、同じクラスだよ?いーに決まってんじゃん!」

健斗「そうそう。あと、タメ口で」

日向「あー、それも大切だわ」

→「……」

日向「あっ、もしかして、食堂の仕組み分からないのでは?」

健斗「今日は、そうだなー。うーん、日替わり定食より、唐揚げ定食の方がオススメ」

ヴェロニカ「私もお腹が減っているから、_______と行ってこようかしら」

日向「はやく、選んできな~人気のやつなくなるよ~」

健斗「ちなみに、今日の人気枠はしょうが焼き定食だよ」

《数分後》

日向「おっ、二人とも人気枠じゃん!」

→「二人分しか残ってなかった」

健斗「マジか!すげー運良いじゃん!」

ヴェロニカ「ふふ。さ、冷めないうちに、いただきましょ」

《数分後》

ピンポンパンポーン(SE/呼び出し)

→「!?」

〈武蔵原健斗さま、朝日日向さま、_______さま。クリスト・D・ハーツさまより招集の連絡が入りました。至急ではございません。〉

→「?」

ヴェロニカ「_______まで招集なのね」

健斗「ヴェロニカ、何か知ってる?」

ヴェロニカ「さあ」

日向「至急じゃないし、大丈夫でしょ。_______、ゆっくり食べな~」

→「うん」

至急じゃないとはいえ、自分が呼ばれた。しかも、クリスさんに、だ。ヴェロニカの案内の途中に、食堂でご飯を食べたのがバレたのだろうか?だとした、健斗や、日向は呼ばれないし……。

→「ごちそうさまでした」

→「おいしかった」

日向「だよねー」

健斗「じゃ、行くか」

→「どこに?」

日向「あっ、そっか。_______は、初めてなのか」

健斗「この呼び出し方は、だいたいあの部屋だから。俺らについてくれば大丈夫だよ」

日向「ヴェロニカちゃんはどうする?」

ヴェロニカ「私はここで失礼するわ」

日向「りょ~かい!」

→「ヴェロニカ、あろがとう」

ヴェロニカ「あら。ふふ、良いのよ。これが私の仕事だから」


《四人各自移動後の食堂》

モブ「チッ、仲良しごっこかよ」

モブ「良いよな、アイツらは」

モブ「新規三人とか……」

モブ「俺の方が、アイツらなんかより、強いのに」

モブ「上の人間は、何考えてるんだよ」




《とある部屋の前》

コンコン(SE/扉をノック)

健斗「ドラムさん、来ました」

ガチャ(SE)

ハーツ「以外にはやかったね」

日向「そうですかー?」

ハーツ「それより、入って、入って」

バンッ(SE)

→「!?」

日向「あ、姉さんじゃん!」

???「日向、私の横空いてるわよ」

日向「良いんすかっ!?」

→「!?!?」

健斗「レオさん、隣いいですか?」

???「……好きにしたら」

健斗「じゃあ、失礼しまーす」

→「!?!?!?」

???「さっさと、座れ。新人」

→「!!」

ハーツ「_______、大丈夫だよ。僕の隣空いてるから」

→「あ、ありがとうございます……」

ハーツ「ジンさん、これで全員揃ったから、初めてください」

ジン?「あー、では、新人の_______の歓迎会?違う気がするが、まあいいか。始めるぞ」

パチパチパチ(SE)

《ハーツ、日向、健斗、主人公が小さく拍手》

仁「俺は、九重仁。ここにいる人間達をまとめている。」

《イラストカットイン》

無精髭に、ボサボサの髪、シワシワの白いカッターシャツ。……社畜か?

仁「次は……、モニシ」

海西「海西一刀斎」

《イラストカットイン》

モニシ、イットウサイ???古風な名前にも程がある。もにし、ってどんな漢字を書くんだ?口頭では、全く分からない。

アルメル「私は、アルメル・カーメリア。見ての通り、男よ。よろしく」

《イラストカットイン》

オトコ???一回、辞書でオトコについて調べてきて欲しい。……にしても、顔が整っている。

アルメル「んで、私の横にいんのか゛っ!」

《アルメルがルークの背中を叩く》

ルーク「ヒッ!えっと、あの、ルーク・アルデラ…です」

《イラストカットイン》

第一印象:暗すぎ。

何故こんな人が、ここにいるのが謎に思えてくるほどだ。職業不明、住所不明、などの言葉はこの人のためにあったのかもしれない。

アルメル「あんた、相変わらず暗いのよ。シャキッとしろよ」

ルーク「えっ、あ、うっ、ごめん……」

仲がいいのか、悪いのか……。

アルメル「レオ。あんた最後、はやくになさい」

レオ「レオ・カペラ」

あれ、さっきも見たなこの感じ。なんか似てるとかじゃなく、全く同じ光景を見たな。

ハーツ「僕や、健斗、日向の紹介は省くけど大丈夫かな?」

→「はい、大丈夫です」

全員?の紹介が終わったので、色々と整理する。

部屋に入ってすぐ、U字型の机が置かれたいた。三、二、三で椅子が並んでいる。

左端から、ルークさん、アルメルさん、日向。自分、クリスさん。健斗、レオ、海西さん。仁さんは、自分とは反対側の壁に立っている。

仁「これで、歓迎会もどきはしまいだ。海西」

海西「ん」

海西さんが、目の前に置かれたノートパソコンを操作している。すると、仁さんいる場所にパソコンの画面が映し出される。

仁「_______。お前は、今日からここいる七人のまとめ役になってもらう。」

……?

七人?

→「八人ではなく?」

仁「そうだ。俺は、こいつらの上司だからな」

→「???」

海西「ここは、アビス日本本部。んで、俺たちは七人は【RIP】持ちかつ、実力上位層の人間で構成された本部所属部隊【Zipangu】」

→「本部ってことは、支部とか……」

海西「あるには、ある。が、互いの仲はそこまでっと行ったところだ」

仁「ま、そんな奴らをまとめるのも、上司である俺の役目だ」

→「なるほど……?」

健斗や、日向も【RIP】を持っている。そもそも、【RIP】が何かあまり分からないけど。ともかく、実力がる人の集団なのだろう。

ハーツ「ジン、次に進もう。彼らを待たせているかもしれない」

海西「ドラム、それはない。日本との時差もある、いつもと変わらない」

ハーツ「あー、それもそうか……」

海西「仁、繋げるぞ」

その言葉と共に、通話画面がスクリーンに映し出される。

が、誰もいない。全員が待機画面だった。

海西「あ、変声のやつ起動してねぇ」

海西さんは、独り言?を呟いたかと思うと、またカタカタとノートパソコンを操作し始めた。

海西「新人、今から来るやつら全員が日本語を喋る」

 →「? はい、分かりました」

どう言う意味だろう。

アルメル「はぁーーーー(クソデカため息)。本っっっ当ありえない。会議に遅れるとか、どんな教育受けてきたのよ」

レオ「ジンさん、今日の内容は」

仁「_______を支部の奴らに紹介。以上」

レオ「ん、了解」

ピロンッ(SE)

???〈あー。ジン、聞こえるかい?〉

仁「お、早いな。」

???〈はは、そうでもないさ。五分前にはいたかったけど、急用が入ってね。少し、遅れたよ〉

入ってきた男性は、茶髪で前髪で片目を隠しており、少しやつれていた。

ピロンッ(SE)

???〈Mr.ジン〉

仁「ん、時間ピッタリだ」

???〈そうですか〉

次に入ってきたのは、大人しく小柄な女性。しかし、女性の背後には、豪華な装飾の部屋が映し出されていた。

続々と、画面が切り替わって行く。毎回遅れてくるような口ぶりだったが、そうでもない気がする。

ピロンッ(SE)

???〈材料は_____それじゃない_____うん、それで____〉

???〈だからっ!________で!______だろうが!〉

???〈うるさいなー______は?あのなぁ____〉

→「わ、すごい。たくさん人がいる」

仁「おい。調理場でする奴がどこにいるんだよ……」

海西「この時期のあっちは、忙しのか?」

日向「すごく、いい匂いしそう……!」

→「確かに…!」

映し出されて画面では、人が忙しなく動いていた。全員が同じような服で統一されていた。

仁「おい、場所変えろよ」

???〈すまない、ジン。無理だ。今日だけは無理だ。支部内で、新人達のコンテストがあるんだ。それに向けての指導がここ一週間びっしりでね、僕たちプロは大忙しさ。〉

仁「あー……、そうか、分かった。会議後に資料を送る。それを見てくれ。」

???〈ありがとう、ジン。質問はできないが、聞くことはできるから〉

仁さんと話していた男性は、体格が大きいが穏和な雰囲気を醸し出していた。

そして、男性は優しく笑った。その顔は父性に溢れていた。

海西「そっちの音だけ消しとくぞ」

???〈ありがとう、モニシ〉

その言葉のすぐ後、騒がしい調理場の音が消えた。

それから、残りの三人を待っていた。

しかし、数分、数十分…。待った。が、一向に現れない。

???(ド)〈なかなか、来ないね。ジン、今いる人だけでも、少し進めないかい?〉

仁「まあ、アリだな。暇なのも面倒だ」

ヴォルカー「僕は、ネフ・ヴォルカー。ドイツ支部、支部長?だよ。職業は……言った方がいいのかな?」

《イラストカットイン》

ハーツ「どっちでもいいよ。少し引かれるかもしれないけどね」

→「?」

話がトントン拍子で進んで行く。

それに、日本語で会話できてる……すごい。

さっき、海西さんが言ってたのと関係あるのかな?

しかし、同時に違和感を覚える。

今、話している人物。ネフ・ヴォルカーさんは、明らかに日本人ではない。顔のほりが深く、目の色が暗めの緑……。

極め付けは、ドイツ支部。間違いなく、外国人。

つまり、アビスって世界規模の組織確定……ってこと!?

つまり、今自分が置かれている場所がとてつもなく、うん。あれだ、ヤバい所ってことだ!


ピロンッ(SE)

???〈ジ~ン~、ごめんね~。熱中してたら、遅れちゃった♡〉

仁「……」

???〈ちょっと、反応ぐらいしなさいよ〉

仁「いちいち、反応してると疲れる」

次にきた女性は、素人から見ても明らかに綺麗な人だった。健康か、美容か。どちらにしろ、努力しているのがわかる。

???〈は~~~~~?まあ、いいわ。あら、珍しくアルもいるのね〉

アルメル「……チッ」

???〈アル~?(圧)〉

アルメルさんが、圧倒されている。自己紹介の時に、あんなに自信に満ち溢れていたのに。借りてきた猫みたいだ。

ピロンッ(SE)

???〈む、画面が変わったぞ!〉

???〈はい、そのまま喋っていただければ、大丈夫ですよ~〉

???〈ジン!遅れてしまって、すまない!俺は、機械系が不得意だから、ボニーを呼びに行っていたんだ!〉

……すごい、声が大きい。耳が使い物にならない所だった。

映し出された画面には、二人の男女がいた。一人は前髪にメッシュの入った筋肉質の男性。ボニーと呼ばれたもう一人は……その、胸が、すごく豊かな女性。

仁「……海西」

海西「わぁってる。音量調整はした」

仁さんも、海西さんも、さっきからずっと息があってるな……。信頼感、だろうなー。

ピロンッ(SE)

???〈___________〉

最後の一人が来たと思ったら、画面は砂嵐だった。

仁「またか」

海西「たく、機械に強いやついるだろが」

仁「あそこは通信妨害の設備が整っている、おそらくそれの弊害だろうな」

海西「前回もこうだったぞ、さっさと直せ」

今、物騒な単語が出たな。通信障害って、軍事施設関係じゃないと聞かないような単語だぞ。

しかも、前回もって海西さん言ってたよな……。そんな頻繁に起こって良いものではないのでは?

???〈____っァ_____あー、あー〉

海西「こっちで、できることはしたぞー」

???〈OK〉

画面は未だ砂嵐だが、かろうじて音声だけは直ったようだ。

返事をした声は、地を這うような、威厳のある声だった。

一瞬ではあったが、自分の背筋凍った。

???〈えーっと、こうかな?いや、待てよ。違うな。えーっと、こうだな。んで、えっと、これ、押してみて〉

???〈……直ったな〉

???〈やっと、終わったー。じゃ、俺寝るから。あとは、よろしく~〉

???〈昨日から、続いていてな。この有様だ。ジン、モニシ、迷惑をかけたな〉

仁「最近多いな」

???〈全くだ〉

画面の砂嵐が消えたあと、映し出された人物は明らかに中年男性。目の下にクマができており、無精髭を生やしていた。そして、先ほどとは違う気だるそうな声。その姿は、すぐに画面から離れ部屋を出ていった。その後、画面に映し出されて人物が、先ほどの威厳のある声の主だった。顔には、皮膚をえぐるほどの傷跡があった。剥き出しになった歯が、声と合わさって不気味さを増していた。

仁「やっと、揃ったな。新人の_______だ。」

→「初めまして」

フランス〈ふーん、君がね~。私は、○○フランス支部長よ、よろしく♡〉

《イラストカットイン》

→「よろしくお願いします」

イギリス〈イギリス支部長、○○〉

《イラストカットイン》

ダロン〈俺は、アメリカ支部長、ダロン・ゲイルだ!〉

《イラストカットイン》

ノーラン〈カナダ支部総合軍大将、ドネル・ノーラン〉

《イラストカットイン》

ヴォルカー〈僕は、さっき説明したから省いてもいいかな?〉

仁「好きにしろ」

→「……」

どうしよう……。やばい、名前覚えられる気がしない。

ただでさえ、外国圏の名前は難しいのに!

本部を含めて、全部で七箇所。しかも、世界が支部!

どうなってんだ……。

仁「以上だ。何か質問はあるか?」

→「あのー……」

仁「どうした、新人」

→「皆さんのことを、理解はできました」

→「でも、アビスって一体何をする集まりなんですか?」

仁「あー……。それはだな____」

ビビビビビビビビ!!!

→「!?」

突然と鳴り響くサイレンに身構える。

アルメル「最悪」

日向「びっくりしたー。まだ慣れないなー、これ」

ハーツ「僕が行こう」

仁「……分かった。海西、バックアップを頼む。他の奴らは準備だけしとけ。あと、新人。お前は俺と行動しろ。」

ダロン〈ジン、ニッポンは大変だな!〉

ヴォルカー〈これは、僕たち退出した方がいいかな〉

フランス〈新人さ~ん、これからよろしくねー。じゃあね~〉

ピロン(SE)

音が鳴るとともに画面には、全員退室しました。と文字が表示されていた。

→「……自由人ですね」

仁「さ、行くぞ」




オペレーター1(以降Or)「敵個体の識別完了。情報、開示します。」

Or2「被害者は30代後半、男性。現在は胸部に空洞はありません。」

Or3「襲撃場所が繁華街のため、目撃者多数。被害者の侵蝕度緩やかに上昇中」

Or4「近くには、セメンタリー幹部の反応ありません。推奨隊員1名。門の準備完了しました。」

連れてこられた場所は、近未来的だった。

いくつもの液晶画面にパソコン。

部屋に入る前、外に貼ってはるプレートにはこう書いてあった。


アビス(旧:奈落)司令室

関係者以外立ち入り禁止


何だろう。この、堕ちていくような感覚。自分は、一般人のはずなのに。

健斗や日向、クリスさん達は、自分とは少し違う存在のはずなのに。

自分はこれから、どうなっていくのか。

自分の心の中に、確実に、不安が芽生えている。

仁「しっかりしろ、新人。」

→「!」

仁「今は何も分からなくてもいい。ただ、これから起こる事は真実であり、現実だ。」



瞬間移動装置設置管理室

この部屋に来る前、別の部屋にあったプレート。その部屋に、クリスさん達は入っていった。

自分は仁さんの後ろを、ついて行っただけ。

自分がみんなの指揮官なんて、できるわけがない。

自分はただの、何もない、空っぽの人間。

(仁とハーツはインカムで対話してます)

Or1「敵のコードネーム判明、重車です!」

仁「分かった。クリス、その場で何とかなるか」

ハーツ〈できるよ〉


目の前の大きなデジタルパネルには、色々と表示されている。隅には、恐らくクリスさんの目の高さからの映像が表示されている。外の景色だ。でも、昼じゃない、夜だ。

でも、何も分からない。それ以外は、何も分からない。オペレーターが言っていた【重車】とは何なのかも。

視覚から、聴覚から入ってくる情報に、自分の中にある器に収まらない。

あれ?そういえばクリスさんって、こっちの会話聞こえてるんだ。

何で…あ。仁さん耳に、なんかつけてる

インカムだっけ?あれで会話してるかな?


ハーツ「ジン、このあたりだよね」

仁〈ああ。クリス、重車だ、気を付けろ〉

ハーツ「わかった……っ!?」

クリスさんの声と共に、映像が乱れた。

繁華街の明かりで照らされた夜空が、一瞬見えた。が、すぐに地面、アスファルトを見た。


VAaァアアゝあAaaaaaa!!!!


→「っ!」

頭が割れるようの雄叫びが、突然部屋中に響きわかる。

急いで耳を手で塞いだ。だが、時すでに遅し。

体が痺れ、脳が揺さぶられた。

立っているのも辛い。目の焦点もあまり合わない。

でも、でも。

仁さんや、オペレーターさんは平然としていた。

なんで。どうして…?

仁「クリス」

ハーツ〈相変わらず、デカいのにスピードが速いね〉

映像越しに見たもの。

……バケモノ。

何なんだ、アレは。この世に居ては、いけない。存在しては、いけない。

→「っつ!?」

目なのか…あれは。

→「あ、あぁ…」

目から流れ込む、無数の…情報、なの…

ハーツ〈ジン、市民の避難や誘導の現状は〉

仁「八割だ。規制線は張ってある。けど、まだ居るからな」

ハーツ〈Roger hynny!〉


(ここは重車とクリスが戦ってるシーンです。セリフはありません。エフェクトと、イラストと、SEだけで何とか。)


目線の映像だからなのか、ずっと見ていると画面酔いしそうだ。それに、さっきのと合わさって…

→「うっ…」

Or3「ドローンの準備できました!映像、出ます!」

仁「分かった。……それから新人、無理するな」

→「…は、はい」

ドローン映像には、さっきのバケモノとクリスさんが映し出されていた。

明かな体格差。異質な形態。

まるで……、あのバケモノは、恐怖の象徴……。

(まだ、戦ってます)

ハーツ〈ジン、被害者は!?〉

仁「近くにいる。左奥だ」

ハーツ〈そっちが優先だ、急ぐ〉

クリスさんは、重車と交戦しつつ、着実に被害者に近づいていた。

ハーツ〈(あと…少し…!)〉

 →「っ!」

あれ、何か……。

何か……なんか変だな。

そっちは……、そっちは、ダメ。

 →「クリスさん!止まって!」

ハーツ〈!?〉

クリスさんの、足が止まった刹那、目線映像に何かが映った。

ああ、どうしよう、自分のせいで、クリスさんが。

ハーツ〈…全く、いきなり大声出さないで欲しかったけど…ありがとう!〉

 →「!」

重車の右前足を、剣で跳ね返した。

クリスさんの周りにはバチバチと、稲妻のようなものが走っていた。

仁「もっと後になると思ってたが…新人。あれが、クリスの【RIP】だ」

 →「あれが…?」

(差分:目が光る&剣に帯電・稲妻エフェクト)

ハーツ〈最小限にしたいんだけど…なっ!〉

剣を振りかざすと同時に、重車の腹部に熱光線を受けたかのような跡ができていた。


VAaァアアゝあAaaaaaa!!!!


 →「また……!」

ハーツ〈君の相手をしている程、暇じゃないだ……よ!〉

今度は、下から剣を振る。さっきと同じ跡ができた。


VAaァアアゝあ……Aaaaaaa……


重車は倒れ、体は砂のように消えていく。

最後の鳴き声は、人間が悲しんでいるかのようだった。

ハーツ〈ジン、生体反応は〉

仁「まだある」

ハーツ〈分かった〉

目線映像からでも分かる。倒れている被害者は目と鼻の先だ。

少しでも早く、保護しなくては

ハーツ〈ジン…手遅れかもしれない…〉

仁「…」

映像に映し出されたのは、胸部に穴のあいた人。

あれ、さっき生体反応あるって…

?〈あれ~?意外と速かったね~、でも、ザンネン〉

物陰から声がして、ドローンがそちらに視点を移す。

青白い肌に、青い髪。明かりに照らされて、不気味さを増していた。

ハーツ〈……か〉

?〈ん?〉

ハーツ〈また、貴様か!バルドル!!!〉

バルドル…?一体誰なんだ…?

でも、クリスさんってあんな感じに…怒るんだ。

Or1「分析完了!セメンタリー幹部【プリシェンチア】のバルドルです!」

仁「クリス、焦るな!救護が先だ!」

ハーツ〈…チッ!〉

バルドルと呼ばれた人物には目もくれず、クリスさんは倒れている被害者を担ごうとした。

しかし、また映像画面に稲妻が走る。

バルドル〈なあ、ハーツ。俺は無視かよ〉

ハーツ〈知るか!貴様と、やりあっている暇はない!〉

バルドル〈そんなことゆーなよ、寂しいじゃねーか〉

クリスさんは剣で、バルドルは鉤爪で交戦している。

(ここ少しだけ、戦闘描写入れる)

 →「仁さん、バルドル?のアレは…【RIP】ですか?」

仁「…似たようなもんだ。ただ、取得経緯は謎だ」

 →「え…?」

キンッ、っと甲高い音がした。映像では二人は間合いを取っていた。

しかし、すぐに違和感を覚えた。

 →「クリスさん、被害者の男性は…?」

ハーツ〈へ…?〉

いない。

さっきまで、クリスさんのすぐ近くで倒れていたはずなのに。影も形もない。

バルドル〈新人くんかな~?仕事がはやくて助かる~〉

ハーツ〈僕と…したことが…っ!いや、違…う!違う!〉

バルドル〈ハーツ、これで心置きなく戦える…なっ!〉

目線の映像は目まぐるしく、景色を変えている。その速さは画面酔いしかねない。

ドローン映像は、二人の交戦の激しさを物語っている。

稲妻が凄まじい速さで走っているが、二人とも寸でのところでかわす。

なんで、そんなことできるんだよ…。

バルドル〈なー、ハーツ。お前見ないうちに、つまらなくなったな〉

ハーツ〈言ってろ!〉

 →「っ!」

まただ。さっきと同じ感覚…

目の奥が痛いような…頭の中に…

 →「クリスさん!後ろ!」

ハーツ〈っ!?新手か!?〉

?〈ええ、そうですよ〉

目線映像からしか見えない位置からの奇襲。

真っ白な肌に、真っ白な髪。敵なのに、神々しく思えた。


(in待機室)

ガッタ

健斗「はっ…?うそ、だろ…?幸太…???」

日向「うっそ…、マジじゃん……」

レオ「誰」

健斗「俺の…。俺の親友…です」

レオ「親、友……?」


ハーツ〈危ないじゃないか…君〉

?〈危ない?俺の攻撃を躱したのにですか?〉

バルドル〈まー、まー、新人くん。お仕事、お疲れー。ありがとねー〉

?〈バルドルさん、さっさと終わらせてくださいよ〉

敵である二人は、余裕のある会話をしていた。

二対一、人数不利。状況は悪くなる一方だ。

まずい。ここから、どうするんだろう。

自分は新人だから、何もできない。

何もできないからこそ、悔しい。

当然ここに連れてこられて、アビスに所属させられて…。

訳が分からないけど、誰かの役に立ちたい。

 →「どうすれば…」

仁「…」

仁「クリス、被害者消失の件はこちらで調査する。目標、敵幹部の撃退及び捕獲に変更!隊員は持久戦に持ち込め!」

Or全員「了解!」

ハーツ〈Roger hynny〉

仁さんはすごいな。リーダーシップがあって。

自分には、何も…。

Or4「もう一人の方も分析完了しました!セメンタリー幹部で間違いありません!」

仁「どれだ」

Or4「それが、おそらく空席の…」

仁「分かった」

健斗〈仁さん!〉

当然、健斗の声がした。確か、別の部屋にいたはず…。

健斗〈どっかのリストの中に、笹木幸太っていませんか!?今バルドルの隣にいるの、アイツなんです!幸太なんです!〉

仁「うっさいぞ、健斗。ちょっと待ってろ」

Or2「笹木幸太、リスト内当確者一名!情報出します!」

比較的大きな液晶画面に、情報が表示された。

 →「あ、見たことある…」

そこに映っていたのは、明るめの茶髪に暗めの…

目の色、何色だこれ…?

黒?青?寒色系なのは分かる。紫か?

仁「こいつか」

健斗〈そうです!〉

 →「仁さん、自分も見たことあるので間違いないです」

仁「そうか。で、どうする健斗」

健斗〈え?〉

仁「撃退か捕獲か」

健斗〈あ…〉

 →「?」

どうゆうこと?捕まえるだけじゃ無いのか?

撃退って命までは、取らないはず…

何か問題でもあるのだろうか?

ハーツ〈ジン、白い少年は捕獲で良いのか!?時間があまりない!〉

仁「その方向で頼む。重要参考人だ、殺すな」

時間がゆっくりと進むような感覚、自分だけが蚊帳の外。

バルドル〈おや~?新人くん狙われてるよ~?どうしよっか〉

?〈命令は達成しています。帰りましょう〉

バルドル〈あー、そっか。そうするか~〉

ハーツ〈待て!〉

敵幹部の二人の後ろに、黒い渦が出現した。

あれはなんだ。禍々しい、黒く深く。

回想:仁「今は何も分からなくてもいい。ただ、これから起こる事は真実であり、現実だ。」

……現実

今、見ている映像は、この世界で起こっている。

うけ……受け入れなくちゃ、いけないのか?

ハーツ〈クソッ!させるか!〉

黒い渦は、徐々に二人を飲み込んでいく。

クリスさんは二人に向かって、走って行く。

バルドル〈じゃあね、ハ~ツ~。また、遊ぼうね~〉

 →「カヒュッ」

バルドルの、あの、顔は、なんだ…?

人の形をしている、はずなのに…。

あんな、顔、見たことない…。

不気味で、でも好奇心に溢れた。

本当に、何者なんだ…?

ハーツ〈また、また逃した…!クソッ!〉

仁「クリス、帰還しろ」

ハーツ〈ジン!〉

仁「命令だ」

スッと背筋が伸びた。芯のある声。

背中しか見えなかった。でも、分かる。

複雑な感情が混ざっていて、大人なんだって。

自分とは背負っているものが違うんだって。

そう、思った。


モブ1「ねぇ、また出たらしいわよ」

モブ2「あらやだ!で、どこで出たの?」

モブ1「_____よ!」

モブ3「_____の近くじゃない!もう、あそこに行けないわ!」

モブ1「それだけじゃないの!あの、税金泥棒もいったて話よ」

モブ2「あの税金泥棒、正義のためだとか言って私たちの税金で生活してるくせに!」

モブ3「ほんと、どの口がって話よね!」

モブ2「バケモノと対抗できる奴らが、泥棒だなんて…お国の人は何を考えているのかしら!」

モブ1「本当に、どっちが正義なのかしら」

モブ2「…ねえ、なんの話をしているの?」

モブ1「え…。あら、なんの話でしたっけ?」

モブ3「あらやだ、もうこんな時間じゃない!」




仁〈___市_______区、____時____分。繁華街にて30代後半の男性、本名鈴木拓真が、セメンタリー幹部らによって殺害され、行方不明。幹部は2名。【プリシェンチア】バルドル。そして、空席である、【ディリジェンシア】【プリタス】【カリタス】のいずれかに該当する、故人。本名、笹木幸太。以上2名との交戦は、アビス隊員【イーラム】クリスト・D・ハーツが対応。しかし、幹部2名の撃退・捕獲には失敗。被害者の最終侵蝕度は、Le.5。行方は、現在調査中。周囲の国民の被害報告なし。記憶の消去も完遂。報告は以上。〉




バルドル「っかれた~」

?「帰還しました」

バルドル「エドさーん?こいつどーすんの?」

エド?「バルドルさん、コウタさん、お帰りなさい。……死んでませんか、これ」

バルドル「死んでねーよ!穴しか開けてねーし!気絶してからやったし!」

エド?「そうでしたか、では早速…よいしょ」

コウタ?「そういえば、どうするんですか?顔写真だけ渡して、捕まえてこいって、ボスも何考えてるんだか」

エド?「ああ、その件ですが、仲間にするんですよ~」

バルドル「…は?マジ?」

エド?「本当ですよ~、ボスからのご命令です~」

コウタ?「……僕と同じですね」

エド?「ははは、そうですね~」

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