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私は知らない間に子供ではなくなっていた

母親という存在になるのには時間がかかるようです。


長女を産んだときは、私はまだ子供でした。

見た目は大人だし、仕事も飲み会もなんでもしていたけど、精神的にはまだ子供な部分があったと思います。子供を産んだ瞬間にママに変身するわけではなくて、私の場合、新生児と一緒に過ごす過酷な日常を乗り越え、半年ぐらいでようやく新米ママだなって感じるようになりました。


私は、産後の期間を(車で10分の距離にある)夫の実家で過ごしました。

自分の母親は、私が物心ついたときには働いてて、母親ではあったんだけど、一般的に「母」とされる行動をする人ではありません。美味しいご飯も作れない、掃除も忙しいから適当。それで育ってきたから自分の母を批判するつもりもないし、母と同じように家事が出来ない人に対しても、出来る人が家事をして幸せに過ごせるのならそれでいいじゃんって思うのだけれど、あのときの自分の実家に新生児を連れて帰って一緒にお世話になるのには不安な環境でした。

お姑さんは、まだまだ現役のお母さんでした。子供を3人育て、孫はもうすでに1人いて、家庭的なことはマスターしている専業主婦歴35年。どう考えたって、自分の母親より安心です。夫の実家に全く気を使わないと言い切ると嘘になるんですが、私は「相手に気を使わせないように気を使う」のが得意なので、夫の実家にいて苦痛だと思ったことはありません。気遣い合戦をすることもありません。お姑さんのおかげでもあります。

お世話になったあの数ヶ月、お姑さんがテキパキ動く姿を見て、母親って凄いなと思ったんだよ。それまでの私の人生で、家庭にいる母親をじっくり見る機会には恵まれなかったからさ。産後の私に、授乳以外なんにもしなくていい環境を整えてくれて、本当になんの不自由なく過ごさせてくれました。

あのときの恩はいつか必ず返そうと思っています。


・・・っていうところから、もうすぐ8年。

私はすっかり母親になってしまいました。

近くに住んでいる私が夫の実家で掃除をしていてもご飯を作っていても、誰も何の違和感も持ちません。3年前ぐらいから夫の実家に親戚が集まるときの食事は100%私が仕切っています。過不足なくピタッと食材を買って調理できるようになりました。夫の叔父さん夫婦、夫の兄弟とその家族、20人ぐらいまで対応できます。もちろんお惣菜も冷凍食品も利用しますよ。離乳食も、大人のアテも大丈夫です。ちなみに準備と調理はしますが、給仕はしません(私は召使ではない!!)

夫の両親は「老いに対する不安」も私に話してくれるし、老いていく姿も見てなんとなく感じています。何か必要なものがあったら相談してくれるようになりました。

あんなにテキパキ動いていたお姑さんは、「おばあちゃん」になりつつあります。長女を産んだあの時期は、家族のお世話をすることに彼女のアイデンティティがあったのに、今は家事をせずに子供と遊んでいる方がニコニコしていてよっぽど楽しそうです。あの表情を見て、彼女は母親をやめつつあるなと悟りました。

世代交代です。

正直、寂しくもあります。

別に子供に戻りたいわけではありません。過去には執着がないし、今の私はかなり自由に生活をしているので、(準備を入念にすれば)子供のように振舞って楽しく過ごすことも出来ます。
だからこの寂しい気持ちは、時が確実に流れていることと自分が死に近づいてることを実感してしまったのかなと考えています。そして「母親」になりたいと思ったことは1度もないのに、確実に次のステージに上がってしまってることに気が付いた驚きもあります。


私も「おばあちゃん」になるところまでは頑張らなくっちゃ。

最後まで読んでくれてありがとうございます。 スキ、コメントは私のやる気になります!!それだけでとっても嬉しいです♪♪もしサポートしていただけるのなら、娘達の野外活動に使いたいと思います!!