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在宅介護支援で無視できない【家族支援】について

▮はじめに

日本の介護保険サービスは2000年にスタートしてすでに20年以上経過しました。
日本の介護保険の理念をご存じですか?メインは以下の2つになるかと思います。

1.利用者本位(尊厳の保持)
2.自立支援

利用者本位というのは、本人の希望の通りにサービスを使うという意味ではなく、専門家が選択肢を提供した上での自己決定という意味です。

これらはとても素晴らしい概念だと思いますが、重度介護者(要介護3~5)に対する「利用者本位」と「自立支援」という考えは介護者の負担が大きくなります。

ちなみにドイツの介護は【家族支援】に重きを置いています。
私は10年以上、在宅に携わっていますが、重度介護者に対しては家族支援が重要だと感じています。 
介護している家族が、腰痛、腱鞘炎、不眠などになるケースは本当に多くみています。

この記事では在宅介護の現状と家族の介護負担などについて触れていきます。

▮老老介護の増加と共倒れのリスク増

在宅で介護する同居者の方へのアンケート調査(厚生労働省「平成28年度 国民生活基礎調査 介護の状況」)では、介護に関する悩みやストレスの有無を聴取したところ、男性は約62%、女性は約72%で悩みやストレスがあると答えています。悩みの大きさは人それぞれでしょうが、少なからずストレスは多少はあると思われます。

さらに介護者の高齢化が進んでおり、令和元年の国民生活基礎調査によると約60%の介護者が65歳以上で、いわゆる【老老介護】状態になっています。75歳以上の割合も33%とかなり多くなっています。私の肌感覚としても子供と別居の人が多いので、主介護者は配偶者が多いですね。

介護者が高齢者であってもなくても【共倒れ】は在宅介護では大きな問題となりますので、在宅サービス従事者はこれを避けるべくサービスを構築していきます。

▮施設も悪くない

令和元年の国民生活基礎調査によると、介護保険施設の種類ごとに定員をみると、

介護老人福祉施設:569,410 人
介護老人保健施設:374,767 人
介護医療院:15,909 人
介護療養型医療施設:34,039 人

となっており、約100万弱が定員となります。

2019年の時点(総務省データより)で、

65歳以上人口:3588万人
75歳以上人口:1848万人
80歳以上人口:1125万人

となっており、
介護認定者数は約67万人(厚生労働省ホームページより)なので、施設の定員は足りているように見えますが、、、

これには地域差や施設による差があります。
空きがありすぐに入れるところもあれば、100人待ちというところもあります。

施設によっては介護スタッフ不足により施設の定員を受け入れられないという施設も結構あるそうです。

それを踏まえて話は変わりますが、日本では施設入所に対する負の印象が強いと思われます。

家族からは、
「施設に入れるのはかわいそう」
などという声を聞き、

本人からは、
「入りたくない。」
「家族に迷惑をかけたくないから、仕方なく施設に入る」
という声を多く聞きます。

内閣府の調査(平成15年と古いですが、、、)によると、自分が介護が必要になった場合、

・可能な限り自宅で介護を受けたいと答えた者の割合が44.7%
・特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護保険施設に入所したいと答えた者の割合が33.3%

と、やはり施設入所に関しては消極的です。

国民が介護施設に入ることは悪くない、というイメージが持てれば良いですね。
そうすれば家族負担も軽減できます。

▮おわりに

最後までお読み頂きありがとうございます!
日本は在宅生活を推奨しており、介護保険サービスの充実を目指していますが、現実的に在宅サービスで今後の高齢化に立ち向かうのは難しい気がします。
私見ですが、今後はドイツの介護のように家族支援にポイントを置き、施設の充実を図るのも大切かなと思っています。

現状、介護で困ったことがあったら、近くの地域包括支援センターに相談して下さい。
もしケアマネジャーが知り合いにいるか、家族の担当でケアマネジャーがついているなら、そのケアマネジャーに相談してください。
色々な策を教えてくれて、家族の負担を減らす方法を提案してくれます。

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