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ドイツの介護保険制度を学ぶ

日本は2000年から介護保険制度が開始されていますが、これまで上手くいっている面もあれば上手くいっていない面もあります。

そこで、他国の介護保険を知っておくことは自国における今後の介護保険制度のヒントとなるため、今回はドイツを取り挙げます。

ドイツを取り挙げた理由は、私がとても参考になると思ったためです(笑)
よろしければご覧ください。

▮ドイツってどんな国?

まずはドイツについて簡単に書きます。

・人口:約8300万人(2020年時点)
・16州からの連邦共和国
・EUの中で経済が最も安定(2020年時点)
・世界で初めて社会保障を導入した国
・労働時間がOECD加盟国の中でで最も短い
 ※10時間以上の労働禁止の義務がある

ドイツといえば、サッカー、自動車、ビールを私は思いつきますが、2021年時点では経済、社会保障、労働などの面において国として魅力的だなと思いました。
ドイツの紹介はこれくらいにして、継ぎから介護保険に関する内容となります。

▮ドイツの介護保険制度

65歳以上の人口の割合ですが、1990年ドイツが15%に対し日本は12%にとどまっていました。ご存じの通り、その後日本は急激に高齢化率が上昇するわけですが、1990年の時点ではドイツの方が高齢者率が高かったのです。
そこでドイツは以下のような流れで介護保険制度が開始されました。

1994年 介護保険制度の公布
1995年 介護保険料の徴収開始、在宅サービス開始
1996年 施設サービス開始
参考文献:ジョン・クレイトン・キャンベル

【特徴】
①給付範囲が狭い。
②すべての年齢の者が対象となる。
③すべての年齢の障害者・障害児が介護保険の対象となる。
④在宅介護において現物給付のみならず現金給付(介護手当)も存在し、現物給付と現金給付を組み合わせて受給することも可能である。
⑤現物給付の利用にあたって自己負担がない(但し,施設介護の場合は宿泊費と食費が利用者負担となる)。
⑥公費負担がなく、運営費用はすべて保険料から賄われる。
(参考文献:森周子,2020

※日本は保険徴収が40歳からで、基本的には65歳以上が申請の適応となり、40歳〜65歳未満は特定疾病(末期がん、脳卒中など)でないと利用できない制度です。さらにサービス利用時は自己負担額があります(例外あり)。

【介護手当】
ドイツの介護保険は要介護1~要介護5の5段階となっており、要介護度 2 以上の要介護者に対して毎月「介護手当」というものが支給されます。
これは、要介護者への介護が総じて保障されていることが受給の条件とされています。

介護手当をもらう家族は定期的に助言訪問を受けなければいけません。この助言は、在宅介護の質の保障、介護者の定期的な支援、および実践的かつ介護専門的な支援に役立てられます。

さらに、一定の要件にあてはまる家族介護者を賃金労働者になぞらえて、賃金労働者と同様の社会保険(労災・年金・失業)を適用し、それにより家族介護を労働の一種のように捉えています。

▮日本の介護保険制度の特徴とドイツの違い

日本とドイツの違いは多々ありますが、ここでは私見を含めて2つ述べたいと思います。

①介護に対する考え方
日本の介護保険制度は利用者主体自立支援がポイントとされています。また、日本は2006年から予防に力を入れています。ドイツと異なり要支援1〜2というものがあり、地域包括支援センターというものが中学校の数程度、各地域に設置されています。

日本の介護保険は、「自立支援+予防」がテーマとなっていますが、ドイツは「家族支援+家族介護」、がテーマになっているところが大きな違いと言えます。

②介護士の養成
日本の介護士は初任者研修を10日間程で終えた後、3年間の実務経験を積んでから実務者研修を受けると介護福祉士の受験資格を得られたり、高校卒業後に養成校2年で介護福祉士の受験資格を得られます。

ドイツでは介護福祉士にあたる資格は『老人介護士』と呼ばれ、看護師と同程度の養成教育が課せられてるそうです(2100時間の理論と2500時間以上の実習を3年かけて行う)。(参考文献:滝本より)

▮まとめと地域包括ケアシステムについて

・ドイツの介護保険制度は対象者や給付方法などが日本と異なる。
・ドイツと日本は介護に対する考え方や介護士養成課程が異なる。 
・ドイツは家族が介護をする事を前提とし、介護保険では家族支援をポイントにしている。

ここからは私見ですが、日本も今後はドイツのように在宅で家族が見ることがメインになるかもしれません。
理由は、少子高齢化で介護スタッフが賄えないためです。
そのために今から地域包括ケアシステムを構築していくことが必要になるのだと思います(厚生労働量HPより)。

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この実現のためには、
・自助:自己管理、自立生活
・共助:医療保険、年金、介護保険など
・互助:家族、地域での助け合い、ボランティアなど
・公助:生活保護など(税金が財源のもの)

という考え方が大事だと言われていますが、特に国は自助と互助を進めていくこのではないかと思っています。

ドイツと日本では文化、環境、制度が異なりますが、介護保険制度において参考になる面もあると思います。

今回はドイツの介護保険制度の紹介と、日本の今後について私見を含めて書きました。最後までお読みいただきありがとうございます。




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