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開発ストーリー「パンチング箸立てが生まれるまで」

毎日の洗い物に欠かせない水切りの道具。
洗い終わった箸やカトラリーは、水切り用の箸立てを使うことで洗い物を手際よく分けることができます。

家事問屋の「パンチング箸立て」は、収納アイテムや水切りアイテムをいくつも開発してきた担当者が、長年のノウハウを詰め込んで誕生した製品。

背の高さが異なるカトラリーもスッキリと収まり、水切れが良く、箸先の向きがそろって絡まりにくいという利点を兼ね備えています。

今回は、開発者の斬新な発想を形した「パンチング箸立て」の開発ストーリーをご紹介します。


“収納アイテム開発者”のこだわりを集約

「パンチング箸立て」を開発したのは、今年で入社17年目になる星野。生まれも育ちも新潟県燕市。地元愛の強さは、家事問屋メンバーの中でも群を抜いています。

そんな星野は、家事問屋立ち上げメンバーのひとり。家事問屋が始まる前から多くの水切りや収納系のアイテムの開発を担当してきました。

自宅で、星野が料理や食器洗いを担当する際、水切り箸立ての中でたくさんの箸が絡まったり、箸の中からカトラリーを取り出しにくかったりするストレスが開発アイデアの種になったと言います。

「私は調理中に計量スプーンを何度も使います。目分量というのが苦手で、料理の際に計量スプーンでちゃんと量るんです。だから、洗って取り出して、を繰り返すのですが、計量スプーンは背が低くて、箸などがいろいろ入っている水切りから取り出しにくいんです。これを解決できないかと思いました」

それまでも水切りのアイテムをいくつも開発してきましたが、やりたくてもなかなか実現できなかったことがたくさんありました。

「どうせなら、思いきりこだわった水切り箸立てを家事問屋で作ろう」

長年培ってきたノウハウを総動員し、理想の水切り箸立てを目指すことにしました。

底板に角度をつけ、取り外し可能に

まずは箸の抜け落ち防止を第一に考え、網ではなく、ステンレス製のパンチング素材の採用を決定。パンチング素材を得意とする金子製作所さんに依頼することにしました。
(パンチング素材について、詳しくはこちらの記事をご覧ください)

ただ、パンチング素材は、網素材に比べると水切れに課題があります。その点は、底板を斜めにすることで解決。箸の向きがそろい、出し入れがしやすくなるというメリットも生まれました。

底板は取り外せて、向きも変えられる仕様に。これにより、シンクの形状やスペースに応じて、箸の向きを内向きにするか、外向きにするかを選ぶことができます。

▲すき間から箸が抜け落ちることがない。底板の向きは入れ替え可能
▲水切りバスケットの内側にセットすれば、シンク回りのスペースを有効活用できます

「一番苦労したのは、底板の角度ですね。角度が緩いと水切れが悪くなりますし、角度をつけすぎると、箸やカトラリーが出し入れしづらくなってしまいます。最適な角度を模索しました」

▲底板の角度はいくつも試作を重ねて検討

特に、キッチン用品は「洗いやすさ」が必須条件。手を傷つけることのないよう、角の部分には丸みを持たせ、スポンジが引っ掛かりやすい継ぎ目は段差がないよう丁寧な加工を行いました。

専門分野ならではの、隠れたこだわりが随所に

新しいアイデアとこだわりを詰め込んだ「パンチング箸立て」は、その分野の専門工場だからできる高い技術が髄所に発揮されています。

星野が、以前から、さまざまなステンレス製品を共に作り、その品質の高さから今回製造を依頼したのが金子製作所さんです。

「パンチング箸立ての端面のなめらかさを見てください。板のつなぎ目に凹凸がありません。こういった高度な処理をこちらから依頼しなくても、気を利かせてきれいにやってくれる。そういう工場さんなんです」

金子製作所さんとの打ち合わせ中には、製品のキーとなるようなアイデアも飛び交います。

「パンチング箸立ての最大のポイントである『底板を斜めにする』というアイデアは、打ち合わせ中に生まれたものです。引っ掛けやすく外れにくいフックの形状も提案してくれました」

▲フックはシンプルなJ字型ではなく、引っ掛けやすく外れにくい形状になっている

ほかにも“細かすぎて伝わらない”プロならではのこだわりが満載。大きな付加価値となるアイデアから、プロにしかわからないようなディテールの細かい作り込みまで、陰日向となって共にものづくりに取り組んでいただいている大切なパートナーです。

▲キッチン用品の製造を行う金子製作所さん。パンチング素材の高度な処理に長けている

星野には、日頃から心掛けていることがあります。

「工場の人の話をよく聞いて、よく見ることです。先方が『当たり前』と思ってやってくれていることがたくさんあるので、そういう部分を見逃さないように。その『当たり前』が独自の特徴になることもありますし、工場の技術を知ることで今後の開発にも活かすことができます。しっかりと話を聞くことは、先方から提案していただきやすい関係性を作ることにもつながると思っています」

多くの製品を開発してきたからこそ、開発にあたって何よりも大切にしているのは、実体験。

「いくら市場のリサーチなどをしても、自分の経験や実感が伴っていない製品はどこか説得力に欠けると思うんです。これからも自分の実体験を大切に、日々のちょっとした困りごとを解決する製品を開発して、大好きなこの地に暮らす人みんなが笑顔になれることが願いです」

地元を愛する星野にとっては、社員も取引先の方々も「この地に暮らす大切な仲間」

机上の企画ではなく、日々を生きる等身大の自分から生まれるものを大切にしながら、いち生活者としての目線を大切にしたい。そして、いいものづくりで地域を元気にしたい。

背伸びをせず、しっかりと地に足を着けたものづくりが、家事問屋の製品を血の通ったものにしています。

開発者が、それまで実現しきれなかったこだわりを詰め込んだ「パンチング箸立て」

毎日つかう道具だからこそ、使いやすさはとても大切。

小さなストレスを洗いだし、使い手目線の「洗いやすくて、使いやすくて、しまいやすい」の三拍子がそろった、まさに家事問屋らしい製品です。

「パンチング箸立て」で、毎日の洗い物が少しでも快適になりますように。

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