初恋の記録
目上の大人は言う。
初恋は引きずるものだ。でもそれは初めてだからで、世界を広げれば色んな女性がいる。
気楽になれよ。
果たしてそんな簡単なのだろうか。
この複雑な感情は、そんな言葉で収まるのか。
でもきっと時間が経てば忘れて、都合のいい記憶だけ残る。
だから、この気持ち、初恋で味わった感情を記録として残したい。
この気持ちを彷彿させるのは、
写真でも記憶でもなく、今の気持ちだけだから。
おそらく最後であろう、お別れをした。
四回目のお別れのあと、曖昧な関係すら絶つお別れをした。
星の王子様に書いてあるように、
女性は世界にいくらでもいる。
彼女のような魅力ある人は他に山ほどいるのかもしれない。
しかし僕と彼女が過ごした一年と半年間は、ほかの誰にも変えられないもので、その時を過ごしたのは彼女1人でしかない。
しかし僕は心理学マニアだ。
失恋をプラスにするテクニックは持っている。
ストレスを強烈に感じさせることで、心に免疫をつけ、前を向けさせる方法。
だから曖昧な関係はやめ、ハッキリと残酷な決断をする。失恋をプラスにするために。
しかしそんなテクニックだけで彼女を忘れられない。
ふと仕事中に雫が落ちてくる。
誰もいない場所で、一人でいるときに。
そんな話を親友にすると、
「お前のプロテイン、お前の涙だけで全部溶かせるわ」
俺はプロテインを26kg購入した。
1日3食分を週4飲んで、1ヶ月2kg減るので、26kgはだいたい一年分だ。
私たちの出会いはマッチングアプリ。
当時マッチの少なかった僕との偶然の出会いだ。
今考えればかなり偶然だった。
僕は彼女より1つ年下。しかし彼女は当初、年下を恋愛対象と見ておらず、年下とマッチしていなかった。
しかし僕の誕生日は5月。彼女は7月。
僕の誕生日の後、たまたまお互いの年齢が重なった時に、彼女がマッチを押した。彼女としてはタメだと思っていたのだ。
俺が早生まれでなければ、この勘違いはなかった。
そして5月と7月の間でしか、僕らは出会えなかったのだ。
彼女の第一印象は、いわゆる「一目惚れ」ではなかった。
でもだからこそ、この女性に惚れまくった。
一目惚れする完全無欠な見た目ではないが、➕α の特徴が、彼女を120点にしていた。
それは、表情や声、人柄。
彼女が見せる表情はすべて愛くるしく、母性本能をくすぐる声だった。
そして初対面でも自分の意見を主張できる人で、かつ人の意見にしっかり耳を傾ける人だった。
見た目だけで惚れると、ここまで好きにならないだろう。
唯一変わらぬものだから。
四回降られて後、四回告白されて承諾することはないだろう。一年4ヶ月のなかで。
もちろん初めての相手だから、単に「恋人」という存在がデカイだけかもしれない。
しかし僕は別れたあとでも、素晴らしい人間だと断言できるし、意味は変わっても大好きな人だと言える。
それは彼女の見た目に加えて、彼女が過去に乗り越えた深い挫折、その中で生まれた人への愛や、好奇心、素直な人柄があるからだ。
心理学的に復縁を目指すのであれば、ここに赤裸々に書くのはあまりよくないだろう。
情報がないほうが、相手は頭で記憶を美化するし、再会した時、より新鮮な気持ちであってくれる。
だから、何も書かないほうが復縁には近づくだろう。
でもそれをしないのは、もう最後だと思うから。
恋人になれないと思うから。
そして俺自身が前を向くためだ。
僕が一番好きなMr.Childrenの「蘇生」
という歌の中の歌詞、
「二車線の国道をまたぐように掛かる虹を、自分のものにしようとして、カメラ向けた。光ってて大きく、透けてる三色の虹に、ピントが上手く合わずにやがて虹は消えた。
夢を揺さぶる憧れや理想は、やっと手にした瞬間にその姿消すんだ。
でも何度でも、何度でも僕は生まれかわっていく。そしていつか君と見た夢の続きを」
どんな状況でも、何度でも生まれかわっていくんだ。何度でも何度でも。
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