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初めてのコロナ

去年から5類に移行したコロナ。
初期に比べれば弱毒化され、基礎疾患や高齢者でなければそれほど脅威でもなくなりました。
もはや、『ただの風邪』とまで言われています。

私のような基礎疾患もなく、高齢者でもない人間なら、怖がる必要はありません。いつまでも感染を恐れてロックダウンなんてしていたら、社会生活が成り立ちませんからね。

いつかは感染するのは仕方ない。
たとえ感染したとしても、若い力(おっさん)でボコボコにしてやんよ! とイキッてました。

      ***

始まりはアレですね。
部屋の中が妙に寒かったんですよ。
エアコンが強すぎるのかと確認しました。
健康にも環境にも電気代にも悪いので、エアコンは最低限にしときたいですからね。

しかし、エアコンを確認すると……、

なんと電源が入ってません!

どうやら朝から電源を入れるのを忘れて過ごしていたようです。

……いやいや、これはありえません。

外は30℃を超えている日でしたので、エアコンをつけていなければ部屋の中は蒸し風呂状態になっているはずです。

驚いて温度計を確認したら、32℃を示していました。

ここでようやく、自分の体がおかしいと疑いました。
この室温で汗をかくどころか、寒いんですからね。
普段の自分だったら考えられません。

とりあえずは体温計で熱を測ってみました。
発熱したら寒く感じるとはよく聞きますから。

そしたらそれが大正解だったようで、私の体温は38℃を突破していました。
ここまで体温が高くなったのは、あまり記憶にありません。
たちの悪い風邪を引いた可能性があるので、警戒レベルを引き上げました。

今の時代は発熱したら、まず疑うのはコロナです。抗原検査キットなどを準備している家庭は多いでしょう。私の家にも用意してありました。
鼻に綿棒を突っ込んで採取して、液に入れてプレートに垂らすものです。

余談ですが、私は鼻に綿棒を突っ込んでグリグリすると、必ずクシャミが出ちゃうんですよね。自己採取以外は危険すぎるので、あまり病院には行きたくありません。

抗原検査自体はもう何十回かやったことがありますが、いつも陰性しか出たことがありません。
今回も、なんだかんだで陰性になるだろうと思っていたのですが……、

Tのところにラインが引かれています。
正真正銘の陽性反応でした。

ここで不思議なことに、私は初めての陽性反応で落ち込むのではなく、変にテンションが上がりました。

「ついに来たか! 俺の免疫機能でボコボコにしてやんよ!」

となぜかワクワクしてたんですよね。

症状としては、体がちょっとダルいくらいでした。
この程度のショボい症状なら、明日には元気になってるだろうという見込みです。

私の身近な人間は、みなコロナを体験してました。
自分だけが感染しない疎外感も少しありましたし、出来るだけ早く快復して、みなを感心させようという気持ちもありました。

「ああ、コロナ? やっぱただの風邪だね。全然大したことなかったよ」

ってなことを言いたかったのです。

今考えると、不謹慎で子供っぽい考えで失笑してしまいますが、このときは異常な興奮状態でした。
熱でおかしくなっていたのかもしれません(笑)。

ただ、元気だったのはこれくらいで、38.5℃を超えたあたりから、歩くのに苦労するレベルになりました。トイレに行くだけでもフラフラするんですよ。

でも、まだ余裕はありました。

「ふん、貴様の力はこの程度か。すぐに全滅させてやっからな! 覚悟しとけよ!」

少しだけ我慢すれば、すぐに熱が下がると確信してました。

ただ、夜になると39℃まで上がりました。
起き上がると、世界が歪みます。
頭の中がボーッとして、まともな思考ができません。

「ぐぅううう、まだだ、まだ終わらんよ!くそぉおおお!」

当初の威勢の良さはなりをひそめ、自分が劣勢なことを理解してきました。
すぐに治すどころか、熱が上がる一方ですので。
「……ひょっとしたら、このまま死ぬんじゃね?」という恐怖も感じてきたんですよね。思考がすべてネガティブになり、自分がこの世に必要ない人間とまで考えるようになりました。

そしてついに、39.4℃まで上がりました。
私の人生で最高記録です。
全身が痛くて訳分からない状態になりました。

「コロナ先輩、ナマ言ってすみませんでした。勘弁してください!もうダメです。反省してるので、ゆるしてくださぁあああああい!」

実際には騒いでませんが、心の中では泣きながら土下座してました。
完全に心が折れて全面降伏です。

発熱の苦しみってのは未知でしたので、私にはかなり堪えました。
怪我はそれなりにしてきましたが、そういうのとはまったく違う苦しみなんですよね。

まあ、こんな感じで苦しみながらも、数日後には何とか平熱になりました。
この程度だと、軽症としか診断されないでしょう。

コロナを体験した後では、「これって本当に『ただの風邪』か?」 と言いたいです。
心が折られるくらい発熱して苦しみましたからね。

それと、やっかいな後遺症もあるんですよ。
体調は治りましたが、嗅覚と味覚には異常が残っています(少しずつ改善はしてます)。

いやはや、私は二度と感染したくありませんね。
みなさまも、しっかりと用心して生活することをおすすめいたします。