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『続 水占 -人形- 』

僕は真っ暗な部屋で天井を見上げていた。
どれくらいこうしているのだろう。
目を開けているのか、それとも閉じているのか分からなくなっていた。
ベッドの上で繰り返し見る「あの夢」のことを考える。

そもそも夢とは何なのだろう。
あたかも現実の経験であるかのように感じる、一連の観念や心象、また睡眠中にもつ幻覚と云うことらしい。

幻覚と想像の産物は、似ているようで随分とその本質は異なっているように思えた。
時としてリアルに感じられる幻覚は、外的環境によって引き起こされたものではなく、想像よりも現実の認知に近いように僕には感じられるのだった。

つまり幻覚は現実の基礎を成しているのではないのだろうか。もしかしたら、ある種の生理現象に近いのかもしれない。

仮にそうだとしたら、夢で繰り返し見る少女と澪との間には何か関係があるはずだった。
あの公園で見た澪の深緑色の髪と水色の瞳をどう説明すればいいのだろう。
見たものが、聞こえた声が、想像で無かったのだとしたら。

例え幻覚であったとしても、僕に放っておくことなど出来るはずも無かった。

「母さんに問いただすしかない」

そう僕は心に決めた。
夜が明けはじめていた。

その日、僕は仮病を使って学校を休むことにした。
事は急を要しているように思われた。




「水人、大丈夫?」

母が心配をして見に来てくれた。

「うん、大丈夫、というか実は元気なんだ」

とりあえず具合の悪いふりをしていた僕は横になったままそう答えると、徐に起き上がった。

「じゃあどうして学校休んだの?」

「母さんに聞きたいことがあるんだ。だから仮病を使って休んだんだ」

僕は怒られるのを覚悟でそう言った。
だが、母は怒らなかった。

ただ、「そうなんだ」とだけ言うと母はベッドの上に腰を下ろした。

「澪のことね…」

そう母は言った。

僕はあの池で起こった出来事をかいつまんで説明した。母は驚きもせずにそのまま聞き入っていた。そちらの方が僕にはよほど驚きだった。

母は何かを覚悟したようだった。

「あなたは父さんに似てこうと決めたら聞かない質だから。いつまでも黙っておくのは無理があるかもしれないわね」

「わかったわ、母さんの知ってる事は話してあげる…」

ゆっくりと何かを噛み締めるように「私は…」と母は話し始めた。そこには母であると同時に、一人の気丈な女性の姿があった。


「私は一度だって後悔したことはないわ」

母は自分に言い聞かせるようにそう言った。

「あなたが生まれてちょうど一年が経った頃よ」

「遠縁の家に女の赤ちゃんが生まれたの。でも元々体の弱かったその子の母親は女の子を出産すると同時に亡くなってしまったの」

「悪いことにその子の父親も母親の死から僅か一ヶ月後、あとを追うように病気で亡くなったわ。まるで生きる気力そのものを削り取られていくようで、とても見ていられなかった。でも病名は最後まで分からなかったの」

「身寄りを無くしたその子を親戚の人たちは施設に入れようとしていたの。「呪われた子」だってね。どうしてそんなにその子のことを恐れるのか、私には分からなかった。でもあなたのお父さんは女の子を施設に入れることに猛反対したのよ。親戚との縁をすべて切ってまで、お父さんと私はその女の子を引き取ることに決めたのよ」

「そう、その子が澪──」

「そしてこの街に越してきたの。新しく生活をはじめようとした矢先、あなたのお父さんは病に倒れた。私もさすがにショックだったわ。女の子の父親と同じように、日に日に生きる力を失っていくようだったわ……」

「それでもお父さんは新しい暮らしをとても楽しみにしていたわ。病院でお父さんはいつもあなた達に謝ってた。ごめんね、ごめんねって……。でもお父さんは分かっていたのかもしれない。自分がこうなることが。そんな気がするの」

母は泣いてはいなかった。
涙など、とうの昔に枯れ果てていたのかもしれない。

「そしてお父さんも逝ってしまったわ。それでも私はその女の子とあなたを一人で育てると固く心に決めたの。だってあの人が命をかけてまで守ろうとしたんですもの」

「澪のもとの姓をアマミと言うわ。天の水と書いて天水。あなたの聞いたアマミは多分、天水のことだと思う。私はこれくらいしか知らないの、ごめんね」

「だから、あなた達兄妹に血の繋がりは無いの。でもあなた達は紛れもなく兄妹で、そしてお父さんと私の大切な子供なの。お父さんはあなた達二人をとても愛していたわ。今もそれは変わらないと思う。そして私も愛しているわ。それだけは分かってね」

そして母はこう言った。

「例え、澪が呪われた子だったとしても、決して変わることはないわ」

「ごめんね、水人。今まで内緒にしてて、驚いたでしょ。私を恨んでいいのよ。黙ってて本当にごめんなさい」




「驚かないのね?」

話し終わると母はそう言った。

「う、うん」

正直、僕はどうしたら良いのか分からなかった。驚かない、というより、驚けないでいた。母の話しを聞きながら自分の中でパズルのピースが埋まっていくのを感じていた。

「母さん。話してくれてありがとう」

「いいのよ。いつかこの日が来ることは分かっていたわ。聞いてくれてありがとう、水人」

「僕は母さんと父さんの子どもで良かった、」

「水人、あの子を、澪を守ってあげてね」

「うん、わかってる」

「あなたは、本当にお父さんそっくりね」

「僕は母さん似だと思ってるよ」

「見た目じゃなくて、中身のことよ」

そう言うと母は僕をそっと抱きしめた。このことを十数年の間、一人で胸に抱え込んでいたのかと思うと自然と涙が溢れてきた。

僕は母の代わりに泣いた。




「じゃあ、学校行ってくるよ、母さん」

「うん、そうしなさい。気をつけてね、水人」

そうして僕は家を出た。
勿論、学校などへ行くつもりは無かった。でもこれ以上母に心配をかけたくも無かった。後で学校へ行かなかったことが知れれば母を余計に心配させることになるだろう。ことは容易に想像がついた。しかし、今の僕にはとても言えなかった。

僕はとりあえずあの『重装建機株式会社』へ向かうことにした。

何かあてが有るわけではなかったが、じっとしていると、不安と恐怖で押し潰されそうになるのだった。




「お兄ちゃん、どこ行くの?」

家を出てはじめの角を曲がると、そこには学校へ行ったはずの澪が立っていた。僕はこれ以上ない程に驚いた。

「こんな所で何してんだ」

「お兄ちゃんを待ってたの。お兄ちゃんこそ、どこ行くの?」

「学校に決まってるだろ」

「嘘、でしょ?」

「いいから、早く学校へ行くんだ」

「行かない」

それ以上僕は何も言わなかった。澪は黙って後をついてきた。

「お兄ちゃん、臨海公園へ行くつもりでしょ?」

図星だった。

「わたしも一緒に行く」

「澪、まさか…」

澪は僕の言葉を遮るように言った。

「わたし、お兄ちゃんに話しがあるの。誰にも話したことがないことよ」

「ここじゃ母さんに見つかる。とりあえず行こう」

そう言って僕は澪の手を取り駅へと向かった。そして臨海公園へと向かう電車に乗った。




この前とは随分違う雰囲気で僕たちは座席に座っていた。澪が口を開いた。

「わたし、夢を見るの。怖い夢よ。物心ついた頃からずっと見る夢」

正直、何も聞きたくは無かった。僕の心はすでに様々な感情で溢れかえりそうだったからだ。しかし、澪の話しを聞かないわけにはいかなかった。

この状況下で澪が僕と母の会話を聞いていたとは思いたくなかったが、その可能性は十分に考えられた。もしも聞いていたとしてら。僕は背筋にうすら寒いものを感じていた。

「わたしは夢のなかでお腹を空かせた蛇なの」

「へ、蛇?」

「そう、蛇よ。飢え死にしそうなほどお腹が空っぽなの。ある日わたしはお母さんに聞いたの。お腹が空いて死んじゃいそうだから、お母さんを食べてもいいかって。そしたらお母さんは笑ってこう答えるの。いいわよって。わたしはお母さんを食べたわ」

「しばらくすると、またお腹が減ってくるの。今度はお父さんにも同じように尋ねるの。するとお父さんも笑って言うの。お前のためにここにいるんだよ。どうぞお上がりって」

「わたしは自分が怖かった。お腹が空いたと言っては両親を食べてしまったのよ。でもそれからしばらくはお腹は減らなかったの。でもね、またお腹が空いてきたの。もう誰も食べたくはなかった。飢え死にしてもいいと思ってた。でも我慢が出来なくなるの」

「そしてある日、川の畔で少年を見つけるの。そして少年に悩みを打ち明けるの。でもね、少年にわたしの声は聞こえないのよ。何度も何度も話したわ。でもどうしてもわたしの声は届かなかった」

「またお腹が空いてきたわたしは苦しみ、もがいたわ。でもこの少年だけはどうしても食べたくなかったの。だって少年のことが好きだったから……」

「でも我慢が出来なくなったわたしは、ついにもう一人食べてしまうのよ」

「その少年を食べたのか?」

僕は思わず声に出していた。

「ううん、その少年のお父さんを食べてしまうのよ。少年のお父さんもわたしの両親と同じように笑って言ったの。さあ、私を食べなさいって。でも一つだけ違ったわ。少年のお父さんはこう言ったの。この子だけは決して食べてはいけないよって。永遠の魂はこの子だけが与えてくれる、って」

「わたしは少年のお父さんにその事を約束して、丸のみにしてしまったわ」

「あの少年は、多分……」

しばらく澪は黙っていた。

「ごめんなさい、お兄ちゃん……」

そう、澪は呟いた。

「わたし、わたし、お兄ちゃんのお父さんまで……」

「やっぱり聞いていたのか?」

「うん、忘れ物を取りに帰ったら、部屋から二人の話す声が聞こえてきたの。盗み聞きするつもりはなかったのよ。でも、でも、」

「その話しを聞いたら、わたしの見る夢が本当は夢なんかじゃない気がして。わたし、怖くてたまらないの!」

「大丈夫だ、澪は蛇なんかじゃない!しっかりしろ!お前は誰も食べてなんかいない!それはただの夢だ!」

そう、ただの夢なのだ。ただの……。

しかし確かめなければならない。僕はそう思った。
僕は昨日のことを澪に話した。池の上に建物があり、それがあの池と何か関係があるのではないかということを。しかし、澪は思いがけないことを口にした。

「駄目よ。高校生二人がいきなり会社に押し掛けたところできっとどうにもならないわ。まずはあの池へ行ってみましょ」

「でも、池は跡形も無く消えていたんだ」

「今回はわたしもいるわ。何か分かるかもしれない」

「わかったよ、澪」

他に良案を思い付かなかった僕は二人であの場所へ行くことにした。これ以上澪を危険な目にあわせることは出来ないと思いつつも僕にはそうすることしか出来なかった。




公園内の林に着くと二人で中へと分け行った。やはり池など何処にも無かった。

「やっぱり無いなあ」

「ほんとだ。池が無くなってる」

その時だった!

周りの空気の温度が一、二度上がったように感じられた。そしてどこからかあの甘い匂いが漂ってきた。

「来るぞ!澪!」

「うん」

そして、あの肉を持たぬものの声がした。

〈誰かと思えば、いつぞやの…〉

〈おお、アマミの人形!よう、来てくれた!〉

「お、お兄ちゃん!」

「大丈夫だ、澪!」

この状況の一体何が"大丈夫"なのか。そう思ったが、僕はそんなことしか言えなかった。

〈我等を不憫に思うてきてくれたのか?〉

〈なんと、なんと、優しいことよ〉

僕は言った。

「お前たちに聞きたい事がある。天水の人形とはなんだ?」

〈生意気な子どもめ!まあいい。聞きたければ答えてやろうぞ〉

〈天水、それは我等と同じく、呪われたの者の名〉

「呪われた者?何だそれは?」

〈何も知らずに此処へ来たのか?なんとも愚かな。人を呪う鬼の集団よ。我等は"あの"一族に飼われていた術師よ。フフフッ〉

予想を超えた回答だった。僕は恐怖を堪えて歯をくいしばった。

〈だが天水は我等の行いに恐れをなした。人知れず解呪の法を我が子に施し、逃げたのだ。己の魂と引き換えにな。あれから何年になるのかのう?〉

〈なあ、玄馬!、それに百合子よ!〉

「十五年だ──」

背後から男の声がした。後ろには澪しか居ないはずだった。見るとそこには澪がやはり一人で立っていた。両の目は閉じられている。そして目を開けたその瞳は透き通るような水色だった!
そして、髪は徐々に深緑色に変わっていった。

「澪!」

「大丈夫だ、水人君」

澪は男の声でそう言って、こちらに歩み寄ってきた。

男の声は続けて言いはなった。

「哀れな姿よ。呪詛鬼行社の呪いに依って未だ"あの者達"から逃れられないのであろう。未来永劫終わる事の無いその呪縛から──」

〈何をほざく!逃げたお前らに何がわかる!そんなことより、その魂を持たぬ、その人形を置いていけ!その人形を憑り代に我々は此処より出で立つのだ!〉

「あの頃から何も変わっていないな、お前たちは。その呪いから魂を解放してやろう、いや、屠ってやろうとこうしてわざわざ出向いて来たと言うのに。十五年の歳月をかけてな」

〈ほざけ!天水!我が子の肉体を贄とし、己が魂の安寧を願った者が偉そうに!!〉

「呪詛鬼行社の呪いを断ち切るにはこれしか無かったのだ。そしてお前たちに対峙するにはさらに十五年の月日を要したまでだ。私と百合子の魂によってこの子の肉体を生きながらえさせ、さらに鞍馬 秋人の魂によって清き心を保ったこの澪によってな!」

「と、父さんの魂?」

僕は自分が誰に話かけているのか分からなかったが、聞かずにはいられなかった。

「そうだ。私たち夫婦と君の父上とは遠縁とはいえ良き友だったのだよ。私たち天水家は古くから神職の家系でね、それが明治時代に入って行われた神社合祀政策によって代々続いた神社を取り潰されてしまったのだ。私の祖父は怒り狂い、呪詛の道へとのめり込んでしまった」

「そんな私たちの身の上を知っても、友人で居てくれ、時に戒めてくれたのが君の父上だ」

そんな事があったのか。僕は何も知らなかった。

「君と澪には本当にすまないことをした。しかしそれも今日で終わる!」

〈おのれー!玄馬ァァァァ!!!〉

地面から黒々とした物体が突然現れた。
各々が波を打つように蠢いている。
一体、二体、三体、四体、そしてそれは十数体に及んだ。

突如、澪の体の周りに無数の水柱が上がった!
それは澪を取り囲むように渦を巻き始め、澪の体を締め上げる。

「う、うぅぅぅぅぅ!」

澪の声がした。苦しんでいるようだった。

「澪ー!」

僕は澪に駆け寄った。しかし──。

「うあァァァァ!!!」

激しい水圧によって吹き飛ばされ、その弾みで近くの木に頭を打ち付けた。

「ガン!」

「あッ!うぅぅぅぅ…」

額から血が流れ出ていた。生暖かい血液によって視界が徐々に塞がれていく。


その時だった。


耳をつんざく音に僕は咄嗟に両耳を塞いだ。
その音はなんと澪の体から発せられていた!

「アアアアアアアアーーー!!!」

それは咆哮だった。

澪を取り囲んでいた水柱は泡と消え、周りの木々がビリビリと震えている。

〈おおおおおおー!おのれ、おのれ、玄馬ァァァァァ!〉

「こ、これは、、澪ーーー!」

僕はそこで気を失ってしまった。

術師の怨念か魂か。
それらはこの世の物とは思えない叫びを挙げ、もがき苦しみやがて散り散りに霧散していた。




どれくらいの時が経ったのだろう。

僕は澪の呼ぶ声で目を覚ました。

「お兄ちゃん、お兄ちゃん、しっかりして!」

「し、しずく、、」

「頭から血が出てるわ」

「ああ、大丈夫だよ、多分。頭を切ると血がたくさん出るそうだ。前に何かで読んだ」

「なに言ってるのこんなときに、頭、大丈夫?」

「大丈夫だってば、でも、母さんになんて言えばいいんだろ?頭から血、流して、」

僕は気が動転していた。

「それより、澪、お前は大丈夫なのか?」

「うん、大丈夫」

少し正気が戻ってきた。恐怖と安堵で体がガタガタと震えだした。

「そ、その玄馬さんと、百合子さん、つまりお父さんとお母さんは?」

「うん、さっきお話したわ。はじめて聞く声だった」

それはそうだろう。こんなかたちで両親と再会するとは夢にも思っていなかったはずだ。

だが、澪の受け答えは何故かしっかりとしたものだった。

「その、"あれら"は、」

「消えちゃったみたい」

「みたいって?」

「わたしにはよく分からないの。お父さんとお母さん、それにお兄ちゃんのお父さん、秋人さんが助けてくれたわ」

「そ、そうなのか。僕たちには何も分からないんだな……」

「わからなくっていいって、知らなくっていいって、言ってたわ。それから、ごめんねって」

「そうか、、、」

「あと、秋人さん、お兄ちゃんのお父さんが、よく頑張ったなって」

「そうか、、父さんが、、」

「お兄ちゃん、さっきから、そうか、しか言ってないわ。本当に大丈夫なの?」

「ああ、、」

「澪、その、お前の魂っていうのは?」

「あ、それなんだけど」

澪は少し話しづらそうだった。

「お兄ちゃんが、わたしを愛してくれれば、この魂が定着するから大丈夫だろうって」

「なに?なんだって?あ、愛する?」

「そう、わたしを愛するのよ、お兄ちゃん。もしかして、わたしのこと嫌いなの?」

「いや、そ、そんなことは……」

「うふふッ、お兄ちゃん、赤くなってる。なに考えてるの?」

「こ、こら、からかうな」

「大丈夫よ。兄妹愛でも、愛は愛だって」

「わたしのは、ちょっと違うかもだけど、」

そう言って、澪は冷たい指でそっと僕の頬にふれると、くちづけをした。

「う、こら、澪!」

「へへーん、いいでしょ、ちょっとくらい」

そうして、僕の手を取って林の外へと導いた。

あ、それから、と澪は振り向いて言った。

「あのね、一つだけわたしたちに呪いがかけられたの」

「呪い?」

「そうよ。よく聞いてね。お兄ちゃんは水の近くで、決してわたしを叱っちゃいけないんだって。もし叱ったり、罵ったりしたら、わたしは魂とともに水になって消えちゃうんだって、」

「そんな呪いがあるのか、」

「そうよ、だから絶対に守ってね」

「ああ、わかった。守ってみせるよ」

「きっとよ、おにいちゃん!」

「ああ」

そう言って二人は林の外に出た。
林から出るとそこはいつもの公園で、両親と遊ぶ楽しげな子どもの声がどこからか聞こえてきた。


僕にはこの呪いから覚めない自信があった。




『TRIGGER 水占の章』





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