絶対に無くさない みんなの居場所と生きがい
「理事長、おはようございます!」
メンバー(ご利用者さん)からの挨拶に、
「おはようさん、おつかれさん」と
まるで家族のように温かく返す坂東さんは、
特定非営利活動法人ポレポレゆうべつの理事長です。
元々は芭露で酪農を営んでいた坂東さん。
町議会議員を経て、5年前に廃業し、ポレポレゆうべつの理事長に就任しました。
ポレポレゆうべつでは、人に接するのが少し苦手であるなど、様々な個性を持ったメンバーの皆さんと、ボランティアの皆さんが日々活動しています。
創業メンバーの一人で、事務局長の加藤さんが
坂東さんに声をかけたそうです。
湧別町出身のフォトグラファーも交えて地元トークで盛り上がった後は、
メンバーさんの作業の見学をさせていただきました。
この日は、ホタテの貝殻に穴を開けた物に、一枚一枚針金を通してつなげる、という作業をされていました。
これは牡蠣の種床(たねどこ)として、広島県などに出荷されるものを、業者から委託されてメンバーさんらが作っています。
ホタテがたくさん取れる湧別ならではのお仕事です。
皆さん暑い中黙々と作業されていて、
手元は常に動き、汗をかきながらどんどん種床が出来上がっていきます。
「小さかったり、最初から割れているものはよけて、同じ向きに連ねていきます」
メンバーの誠さんは取材陣にそう説明しながら、直径2mmほどの穴に次々と針金を通していました。
説明を聞きながら、ただただその手際の良さに惹き込まれて見入ってしまいました。
この量のホタテの貝殻を全てこの日に捌くのではなく、
時間を決めて、スパッと終わるそうです。
ノルマは決めません。
「ポレポレ」はアフリカのスワヒリ語で「ぼちぼち、ゆっくり」という意味で、その名のとおり、ぼちぼち、メンバーの皆さんのペースで活動します。
ポレポレゆうべつといえば、味噌や菊芋茶など、道の駅などでも見かけるオリジナル商品を販売しているイメージがあると思います。
原料となる大豆や菊芋は、ポレポレゆうべつの畑で育ったものなんです。
元々保育園だった敷地に、多様な植物が育っています。
今回はそのうち、黒味噌と菊芋茶を購入してみました。
黒味噌は、塩気がハッキリして大豆の香りや味わいも濃厚で、
アサリやホタテなど貝類のお味噌汁に使ったらとても美味しいのではないでしょうか。
なくなったら白味噌も試してみたいです。
菊芋茶は別名「飲むインスリン」と呼ばれ、
血糖値の上昇や糖質の吸収を抑制する効果があります。
飲んでみると全然クセがなく、
スッキリして飲みやすい印象でした。
お味噌と同様、普段使いにもってこいですね。
毎月第1・第3水曜日には、「ふれあい食堂」として地域に建物を開放し、カレーを販売するイベントがあり、コーヒーとサラダ合わせてなんと300円!毎回たくさんの方がお見えになるそうです。
(※1月第1週や、祝日など休みの場合があります。詳しくは、開所日カレンダーをご覧ください。)
ふれあい食堂は、社会福祉協議会主催でポレポレゆうべつが場所を貸しているという形になるのですが、
ふれあい食堂と同時に開店するポレポレゆうべつのボランティアさんが作ったお惣菜コーナーも大人気だそうです。
中にはそのお惣菜だけを目当てにいらっしゃる人もいるのだとか…
上記のように、人の集まる場所を作ったり、
畑で採れたものを商品化するのには、かなりの労力が必要だったと思います。
坂東さんが、ここまで頑張れる理由はなんなのでしょう。
湧別で何か実現したいことがあるのでしょうか。
「ここ最近、湧別でも引きこもりの人が増えています。
地域のコミュニティもどんどん縮小して。
僕はポレポレゆうべつで挑戦を続けることによって、
引きこもりの人や社会で社会でいきにくいような感性を持っている人に、「出かける理由」や「生きがいを」感じてもらえたらなあと
思っています。」
優しい目元の奥に、確固たる意思が見えた瞬間でした。
坂東さんにインタビューしている時に感じた感動が、
皆さんにも伝われば幸いです。
取材:ぺいちゃん
撮影:たくまさよ
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