心を離さないOfficial髭男dism

Official髭男dism(2012~)

最初このバンド名を耳にした時、「きっと男ファンを多く獲得したいから、バリバリのロック系なんだろうな」というとてつもない先入観を持った。

実はというと、同時期に売れ始めたKing Gnuが演奏しているのをテレビで見かけて「これがヒゲダンか!やっぱり見た目もワイルドやね~」と本気で勘違いしていた。今思い出しただけでも、とても恥ずかしい。
 
ボーカルの藤原が大学在学中に所属していた軽音楽部の先輩の楢﨑と後輩の松浦、そして学外で親交のあった小笹に声をかけてOfficial髭男dismを結成。地元の島根でライブ活動を重ね、結成からわずか3年でインディーズでデビューした。
 
こう書くと順風満帆なように見えるが、藤原は大学卒業後、銀行に就職し多忙な毎日を送りながらも、週末には夜行バスで半日かけ東京に行ってライブをしていた。他メンバーも生活と両立しながらOfficial髭男dismの活動を続けていたというのだから、彼らの音楽やバンド活動に対する強い想いに敬服するほかない。
 
こうした努力もあって、2017年には初となるワンマンライブツアーを主要都市5会場で開催。2018年には、当時インディーズのアーティストとしては初となるフジテレビドラマ『コンフィデンスマンJP』の主題歌を担当、『ノーダウト』を書き下ろしメジャーデビューを果たす。また、同曲で最優秀新人アーティストビデオ賞も受賞し、多くの音楽リスナーに鮮烈な印象を与えた。

そして、2019年。
メジャーデビューのきっかけとなった『コンフィデンスマンJP』の劇場版主題歌『Pretender』を発表すると、たちまち人気が爆発。Billboard Japan Streaming Songsでは史上最速のチャートイン23週を記録、再生回数は1億回を突破し大ブレイクする。
 
同年にはその後も、夏の熱闘甲子園テーマソング『宿命』やメジャー1stアルバム『Traveler』のリリース、紅白歌合戦への出場など、ヒゲダンにとって盛りだくさんな1年になった。

2021年から現在に至るまでも、数え上げればキリがないが、『I LOVE...』や『Universe』など多様な曲調の名曲を数多く生み出し、リスナーの心を鷲掴みにしている。種類は違えど、どの曲においても秀逸なメロディーと歌詞によって心に残る名曲に仕立て上げてしまうのがヒゲダンであり、その唯一無二な音楽性こそ彼らが多くの人たちに支持される理由といえるだろう。
 
当初はKing Gnuと勘違いしていたにわか丸出しの私も、気づけば毎日ヒゲダンを聴くようになっていた。知らないうちにぽっかり空いてしまった穴を埋めてくれるような、そんな温かみもヒゲダンにしか出せない味だと思う。

 
そして、ここ最近グッと心を持っていかれたのが、昨年放送されたドラマ『silent』の主題歌『Subtitle』。
何の前情報もなく偶然ドラマを観ていて、終盤のシーンで流れ始めたこの曲を聴いた時、私は思わず涙してしまった。と同時に、ドラマの内容に寄り添いつつバンドの良さも出さなくてはならない主題歌を、こんなにも絶妙に提示できる彼らの才能におののいた。
名ドラマに名曲あり。群を抜いた作曲センスと歌唱力・演奏力に、私はただ惚れ惚れするほかなかったのだ。

多くの人の心を離さないOfficial髭男dism。
私の勘違いの原因(←そもそもヒゲダンは何も悪くない)になったバンド名について、「音的にも文字的にも、とにかくインパクトがあったから」という理由で決めたようだが、「髭の似合う歳になっても、誰もがワクワクするような音楽をずっと続けていたい」という意味も込められているらしい。なんてステキで、何より彼ららしいのだろう。

奇しくもヒゲダンと同世代である私も、たくさんいる中のイチリスナーとして、彼らが奏でる音楽にずっとワクワクしていたいものだ。




皆さんから大事な大事なサポートをいただけた日にゃ、夜通し踊り狂ってしまいます🕺(冗談です。大切に文筆業に活かしたいと思います)