見出し画像

夜中の銭湯

気づいたのだが、わたしはいい1日にしようと思うとだいたい銭湯に行きたがる。

だから銭湯にやってきた。到着したのは11時半。11時を過ぎたら夜中らしい。


ちょうど入れ替わりで人が出ていき、わたし1人貸切の風呂になった。

1人で入る大浴場は初めてで、テンションが上がる。貸切を狙うなら早朝より夜中だな。

風呂に入りに行くと、何枚もの全身鏡がイケてない全身を映しだすのが嫌だったのだが、最近は目が悪いので分からなかった。

風呂全体を見ても、やはり誰もいなかったので歌いながら全身を洗った。いつもの狭い風呂とは音響が違う。

ケロリンの桶があったのでいい銭湯だ。使ってないけど。

そして待望の湯船。

まず電気風呂に向かった。

誰かが、「田舎の電気風呂は電圧が強い。ジジババは感覚が鈍ってるから圧を上げてるんだろう」と言っていた。

ここはどうだろう。電圧はどれくらいだろう。おそるおそる近づく。

近づくとピリリと電気を感じる。

そのまま素早く腰掛けると、腰に強めの電気が走った。

「イヤー!ウエーウオー」とひとしきりのリアクションをした。

1人なのにリアクションしてるとも言えるし、1人だからリアクションしてるとも言える。

そして泡風呂の方に移動し、あいみょんのマリーゴールドのサビだけをループして歌った。

すると従業員の人が掃除に入ってきた。わたしの顔を見て、「おるんかい」みたいなリアクションを取っていた気がする。

営業時間中とはいえ、普段はもう誰もいない時間なのかもしれない。

だがせっかくなので露天風呂に入りに行った。

美人風呂みたいな名前の風呂だったのでテンションが上がった。

美人風呂に影響されたのか、気がつくと、さっきまであいみょんのマリーゴールドだった選曲が、倖田來未のButterflyに変わっていた。

「もっと、もっと、輝けるわButterfly〜♪」

確実に意識が上がっている。

しかも、無意識のうちに手すりの鉄の棒を掴み、湯船の浮力でポールダンスごっこをしていた。

意識が高い。

そしてしばらくして、露天風呂の電気が消えた。

もう帰ってほしいんだろうなと思い風呂から上がった。

体を拭きながら、たぶん風呂上がりの牛乳とか買わない方がいいなと思った。100円ちょっとの売り上げより、もう面倒が勝つはず。締め作業もしてるかもしれない。

そう思った数秒後、小銭の音が聞こえた。番台はすぐ裏。絶対締め作業だ。

髪を乾かそうと洗面台に移動する。そしてやっぱりと思った。こういうところはドライヤーを動かすのにお金がかかる。

でも、そのわずらわしさもなんか良い。

3分で20円。とりあえず全体を満遍なく乾かす。

いつもよりちょっと真剣。

半乾きくらいのところでドライヤーが止まった。ウルトラマンにはなれない。3分は短い。

風呂ののれんをくぐった瞬間驚いた。全ての電気が消えていた。

暗闇の中で、女の人が床の掃除をしている。

従業員側の景色や。

入口のドアも閉まっていた。

湯冷めしないうちに帰りたい。

駅の近くで男女が痴話喧嘩していた。そしてたぶん酔っている。

もう深夜と言ってもいい時間。


サポートしてもらえたらうれしすぎてヒョーー!!ダンスダンス!!!🕺🕺🏻🕺🏼 そのあとはサポートしてもらった画面をスクショして何回もニヤニヤします。