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ヤンアッカーマン〜最強のジャズロックギタリストか?

ヤンアッカーマンはオランダのプログレバンド、フォーカス出身のギタリスト。
フォーカスはクラシック音楽、特にバロックを取り入れたロックが魅力的で人気を博した。

中でもヤンアッカーマンの独特のアウトスケールして流れるようなフレーズは通常のロックギタリストとは全く一線を画していた。
あえて近い存在といえばアラン・ホールズワースやスティーブ・ハケットや渡辺香津美だろうか?
ロックギタリストでありながら,ジャズやクラシックのジャンルに深耕する姿勢は何か共通するものを感じる。

○フォーカス以前のバンド、ブレインボックス。
ヤンのプロデビューはここから始まる。
サイケ色の残るサウンド。

○フォーカス時代のヤンが演奏する曲は
シルビア。 
ELPを連想させるクラシック音楽をロックに取り入れたナンバーだ。


○同じくフォーカス時代のヤン。
1972年頃の映像?
3分前後からフォービートの即興演奏に入る。
ここでのヤンはストレッチとオクターブ奏法に加え、ジョンマクラフリンやラリーコリエルらと同じくジャズ&ロックスタイルのギターソロを展開する。
まだジェフベックもトミーボーリンもフュージョンには踏み込んでいない。
ヤンは60年代からフォーカス以前のバンド、ブレインボックスでこの手のプレイをやっていた。

トップ画の右側はヤンの70年代の頃だが、この時期は彼は古楽器のリュートを独学で勉強し、フォーカス時代のコンサートの中で披露していた。
それは1974年に出したソロアルバム、「流浪の神殿」で結実する。
ほぼ全編にヤンの弾くリュートがフィーチャーされ、しかも半分が原曲に近いソロ、あと半分がバンドとオーケストラでの演奏が収められている。

○ヤンのリュート演奏。16世紀のイングランドのリュート作曲家ジョン・ダウランドの作品。


アンサンブルにはクラシック畑のアーティストらが多数参加。
それに当時ベック・ボガード・アピスのツアーを合間ぬって参加したティムボガードとカーマインアピスのリズムセクションが加わる。
大作ラミーでは中世音楽とロックの見事な融合が聴ける。

○ラミー
リュート、アコギ、エレキを駆使しての演奏。
ティムボガードとカーマインアピスの切れが光る
中間部、クライマックスのオーケストラを加えてのヤンの演奏は圧巻だ。

このアルバムをきっかけにヤンは1974年のギタリスト投票で常連のエリッククラプトンやジェフベックを抜き首位に立った。

しかしバンドのリーダーであるタイス・レアと反りが合わずフォーカスを脱退する。
その後は母国オランダを中心にコンスタントなソロ活動を続けている。
フォーカス以後の知名度は欠けるが、これも彼のやる音楽が広いゆえ、それが仇になっているのだろうか。
リュートやアコースティックアルバムを出すかと思えば、ヘビーなロック、あるいはハードありライトありのフュージョンといった具合だ。

○ナイト・オブ・ギター
ギターソロが上手いギタリストはリズムギターやカッティングの方がいまいちかという見方もあるが、ヤンのカッティングは見てのとおり、ただ凄いに尽きる。

○渡り鳥ドラマーと呼ばれたコージーパウエルが結成したハードロックプロジェクト、フォースフィールド
ヤンはこの一枚目と二枚目にゲストギタリストとして何曲かに名を連ねている。

○アイ・ルーズ・アゲイン〜ブラックサバスなどでボーカルをしていたトニーマーティンの歌に絡むヤンのギターが冴える。

変幻自在ともいうべきヤンアッカーマンだが、彼のライブを2006年の来日で観た。

休憩挟んだ3時間近くの熱演、フォーカス時代の曲からソロ時代の曲までキャリアを総括する内容であった。
リュート演奏はなかったがアコースティックでの演奏は素晴らしかった。
また彼のよく使うバイオリン奏法を近くで見ることが出来た。

彼は手のデカイ人でレスポールでのボリューム奏法を直接に軽々とやるのだ。
ギターをかじった人ならわかるが、レスポールはノブまで遠いのでこれはなかなか至難の技。
それにしても左のトップ画のように好々爺らしいスタイルになってからは自分の音楽スタイルを楽しんでいるという雰囲気で余裕を感じさせますね。

○ヤンのオリジナルのブルース。
最後のキャリアとしてブルースをやりたいのが希望そうだ。

では最後にフォーカス時代のポーカス・フォーカスを。
なぜかハードロックやメタルバンドでカバーされることが多いハードなナンバー。 






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