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仮面ライダーBLACK SUNを分析!

Amazonプライムより配信されてる仮面ライダーBLACK Sunを見終えた。
全10話完結のオリジナルストーリーである。

1987年放映の仮面ライダーBLACKをリスペクトした作品なのであるが、人間と怪人の共存というテーマは2003年放映の仮面ライダー555にむしろ近いのではないだろうか?

この作品は怪人側のドラマに焦点をあてている。
ファイズの怪人は死んだ人間が生き返り、オルフェノクという存在に生まれ変わる。
しかし怪人の考え方は様々である。
人間を支配下に置こうとする者もいれば、人間と仲良くやっていきたい者、あるいは自分が怪人になったことを否定する者と言った具合だ。
同じように人間側も複雑だ。
オルフェノク抹殺を図る者もいれば、共存したい者もいる。
そんななか、オルフェノク自体も不死身でなく、オルフェノクの王という存在に捕食されることにより一部のオルフェノクが生存するという事実にぶち当たる。
余談だが、オルフェノクの王とこの作品に出てくる創世王は酷似している。

話はすこし横道にそれたが、このBLACK SUNも怪人側のドラマである。
単に善か悪かに振り分けられない。
ストーリーは50年前と現在のタイムラインを繋いで展開される。

50年前怪人と人間の共存を訴えたゴルゴム党は怪人の人権問題と怪人の元祖的存在である創世王の存在をめぐり、内部分裂する。
この辺は60年代末から70年代に起きた学生運動や左翼政党の動きを連想させる。
党旗には五流護六と漢字で党名を入れている。
5つのことが流れても六つのことは護るというスローガンが込められている。

破綻した怪人たちの活動から50年後、2,022年のゴルゴム党は政権を牛切り、裏では怪人を今も作り動かしている。
この2022年のゴルゴム党はなぜか宗教性が深い保守政党を思わせる。

そんななか西島秀俊が演じる南光太郎ブラックサンと中村倫也が演じる秋月信彦シャドームーンが世紀王の座をかけて再び対決する。
怪人と人間の共存を望むブラックサンに対し、シャドームーンは怪人が生きていくうえに人間は支配するべきだと主張する。

そして少女人権活動家、和泉葵は怪人の差別問題を取り上げ、社会に投げかけるが、幼馴染の友人を人間側たちに殺され、自身も怪人に改造されてしまう。

オリジナル版のオマージュということでお約束の変身ポーズ、BLACKを蘇生させるクジラ怪人やゴルゴムの三神官、剣聖ピルゲニアの登場、はたまたBLACKのテーマソングなど盛り込んでいるが、このドラマの本質は社会派ドラマである。

ここに登場する怪人は人間から改造されたという悲劇を背負っている。
特殊能力を持っていても人間を傷つけたくないという思いを持つのもいれば、政府の言いなりになり悪に走るものもいる。
怪人は全て悪ではない。

これは実は仮面ライダーの原作者、石森章太郎氏が書いたいくつかの作品には見られる傾向である。
漫画の仮面ライダーブラックもそうなのだ。
つまりブラックサンとシャドームーンは表裏一体、というより2人共ともブラックサンそのものである。
そしてこちらも世紀王の座をかけて対決する。どちらが勝ったのかわからない。
それは読者の判断に委ねるといった形だ。

再びドラマの話に戻る。
この作品の主人公はブラックサンなのであるが、全10話を通して思うのは主に少女人権活動家である葵の視点で描かれてることで真の主人公は彼女でないだろうか?
そして特筆すべきはルー大柴演じる道波総理大臣の怪演ぶりである。
かってルーの大袈裟なゲスチャーは笑いで生かされていたが、私はむしろ悪役にぴったりはまっていると思う。

それにしてもネタバレになるので詳しく書けないが、ここまで社会性を取り入れながらあくまでエンタメとして成り立っている。
思想や宗教を取り入れると説教臭い作品になるがグロい描写もあり、それも含めて大人の特撮ドラマなのかもしれない。
10話で一応ストーリーは完結してはいるが、真の結末は視聴者それぞれの判断に委ねられてる。
グッドなのかバッドなのかそれは自分の目で確認して頂きたい。

では最後にAmazonプライムの予告を貼ります。







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