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映画「カルロス・ザ・サンタナ・ジャーニー」への旅

サンタナのドキュメンタリー映画が公開されたので鑑賞してきました。
サンタナのリーダーであるカルロス・サンタナの音楽人生を追った映像作品です。

この映画は始まる前にに監督のルディ・バドロスとカルロス自身の特別映像が入ります。
ルディ監督は、この映画は第三者のアーティストやナレーターが入らない通常と変わった音楽ドキュメンタリーだと述べてまして
そのあと本編が始まります。
監督の言う通り確かに通常の音楽ドキュメンタリーとは違ってました。
普通ならカルロスと交流のあるアーティストやナレーターが入り展開していくパターンですが違ってました。

○ブラック・マジック・ウーマン〜ジプシークイーン

1970年発表「天の守護神」に収録。最初の怪しげなトーンが耳に残り聴き始めたサンタナ。このメドレーの曲がフリートウッド・マックとガボール・ザボの組み合わせとはまったく知らなかった。


グレイトフル・デッドやジミ・ヘンドリックスが映像の中に出てきますが、それはウッドストックやフィルモア・ウエストの雰囲気を伝えるもので、基本はカルロス自身が自分の人生を過去の映像や家庭のプライベートなフィルムを折り込んで自分の言葉で語っていきます。
わずかに妹と現在の妻、シンディ、ブラックマンと語らっているシーンが入りますね。
ということで今回記事の中で取り上げる曲もヒット曲ではないが、カルロスのギターが重要な曲を取り上げてます。

○ネシャブールの出来事

1970年発表の「天の守護神」に収録されていたインスト。モードを使ったこの曲は前半はハードなリフにキューバ・リズムが絡むという激しい展開、後半はゆったりとしたドラマチックな展開、未だステージでの定番曲となっている。


メキシコの貧民街で育ったカルロスはマリアッチ楽団のバイオリニストの父と直情径行な母のもとに生まれ、生活のためにバイオリンを弾くことを強要されるが、反発してアメリカから流れるロックンロールやブルースに影響され、ギターを手にしたときからギター人生が始まります。

サンフランシスコへ家出したカルロスはビル・グレアムに認められバンドを結成して、あの衝撃のウッドストックデビューとなります。
カルロスはステージに立つプレッシャーがいっぱいで、ジェリー・ガルシアから薬物を渡されたと述べてます。
ギターが蛇のように見えて捕まえようとしたと、弾くのが必死でなんとか乗り切れたそうです。
そのあとバンドはうなぎ昇りに人気が出ましたが、メンバーは薬漬けでアルコール中毒、ケンカ沙汰になりバンドは崩壊となるわけです。
カルロスは薬物も飲酒も認めてますが、自分で制御できなければやめた方が良いと釘を刺してます。
ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリンの死で薬物も酒も一時撤退して、宗教へと逃避します。
この時期は一般的に人気はありませんが、ジョン・マクラフリンも同じ宗教に入信し、音楽的には最もレベルが高かったと思いますね。

○果てなき道
1972年「キャラバンサライ」に収録されていたナンバー。
カルロスにしては例のないアラビアンスケールを使ったメロディ。マハビシュヌオーケストラからの強い影響を伺わせる。「ロータスの伝説」は当時24面体ジャケットの3枚組でライブ・イン・ジャパンものの傑作の一つ

カルロスはこの後さらにマイルス・デイビス門下生のハービーハンコックやウエイン・ショーターらと交流をはかるのですが、一線からの人気低迷でラテンロックへ再び回帰とすることになります。

○ダンス・シスター・ダンス
ビートルズのデイ・トリッパーのリフをラテンロックへと消化。前半はラテンとファンクなノリ、後半は東洋メロディーをバックにパーカッションを入れるという変異な曲。
中盤のカルロスのソロが熱い。

映画はサンタナが1999年「スーパーナチュラル」でグラミー賞9部門の話題へ一気に進みます。
私的には80年代のカルロス名義のソロ活動も音楽的にはスポットを当ててほしかったですね。

○ベラ

息子に捧げたタイトル同名曲は1987年グラミー賞でベスト・ロック・インストメンタル受賞。一方こちらは娘に捧げたオクターブ奏法をふんだんに使ったブルースバラードのインスト。

映画の終盤にカルロスはプライベートなことも自ら話してます。
一つは凝り固まった宗教からの脱着と前妻ウルミラとの離婚。同じ信仰者であった同士との別れですね。しかし2人で設立したボランティア団体、ミラグロ財団は現在も継続してるようです。
あと少年時代に性的虐待を受けていたことを告白してますね。セラピーを受けていて克服していると語ってます。
その他自宅での練習シーンや子供と遊んだりするところ、妹と現在の妻シンディーと会話するところはホームビデオで撮っていて興味深いですね。
ちょっと残念だったのは同じギタリストであった弟のホルへ・サンタナについてはふれられませんでした。
まあ全体的には両親と特に父親との不和が徐々に溶けて、父親の末期近くにお互いギターとバイオリンを弾いて会話する風景は一つのハイライトシーンになってて、印象に残りました。

でも最後にこの曲を貼り付けます。

○祭典
1971年「サンタナ3」に収録されていた強力なナンバー、現在も定番曲のひとつ。ニール・ショーンとのツインリードであったが,このウッドストック94のステージでは弟のホルヘがステージに立っています。

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