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快体健歩 診療日誌 膝の内側の痛み(Gさんのケース)

4月に初回ご来院いただいた50代女性ランナー(仮名)源田さんのケース
走歴15年、スポーツ経験は多い。10km程度を週に2,3回走るジョガー。昨年から膝の内側に痛みを感じるようになり、痛みが落ち着いてから走るとまた痛むの繰り返し。
レントゲンでは異常なし。ちゃんとしたシューズで走っていなかったのが原因か?と、シューズを新調して市販のインソールを使っても改善無し。
ということで快体健歩にご来院されました。

トータルカウンセリング&整形外科のMRI診断

トータルカウンセリングを行った結果、内側半月板やの疑いが強く、そうでなければ縫工筋など大腿の筋肉の腱の炎症との見立てを出しました。
原因は何でしょう?
ランニングの頻度、速さ、距離、時間などにおいて、初もの、いきなり、過度などのストレス(=トレーニング要因)はほとんど見られません。レベルやマジ度に関わらずマラソン大会に出ないジョガーではこうした場合も少なくありません。逆に言えば、大会を楽しむランナーの故障では思い当たるトレーニング要因がほぼ見られるということです。
さらに源田さんの場合は、歪み、筋力、柔軟性などの状態要因も見られませんでした。両側で痛むことなど総合的に判断すると、「同じランニング(トレーニング)は行っているが強化にはなっておらず、加齢による劣化が勝ってしまった」と考えます。
主原因がはっきりしないということは「悪いところが特にない」という点では良いですが、「再発防止の決め手が難しい」という点ではちょっと困ったことでもあります。

痛みの緩和と再発予防に向けて、できる策はいくつかありましたが、より確証を得たいので、整形外科でのMRI診断を勧めました。
検査結果は、内側半月板損傷でした。「亀裂が入っている、治療をするなら手術、走ると亀裂が広がるかも…」とも言われたそうです。
私の見立てのとおりです。

膝痛み人2

「レントゲン異常なし」とは…

ランニング講習会などでも申し上げてきましたが、「“レントゲンで異常なし”というは骨の連続性の異常が見られないということだけで、それ以外には言及しません。」ということです。割合からすれば、多くのランニング障害、スポーツ障害の中で、レントゲンで明らかになる骨折や脱臼などが占める割合はとても少ないです。
「レントゲンで骨の異常なし」と聞くとホッとして診察を後にしてしまうかもしれませんが、実は何の解決にもなっていません。診断する側も、それ以上の「だったら何なの?」を追求して調べて治療に進むことは稀です。せいぜい、痛み止め、湿布薬、安静指示程度で終了になります。

ましてや「こうすれば走れるようになる」は論外で、走らないこと、ランニングを辞めることを勧められることも少なくないでしょう。私もそう言われた経験者ですし、(「あなたの体は走るのに向いていない」とまで言われました。)そう言われた人を何人も見てきました。
「普段の生活ができるのであれば・・・、一歩ふみこんで仕事に差し支えないのであれば・・・、痛くならない状況を作りましょう → 走らない」
―― そのとおりでしょう。ランニングに限らず、すべての市民スポーツにおける痛みや違和感の治療から再発予防の面倒までをみるとすれば、病院も接骨院も、日本の医療費もいくらあっても足りないと考えると納得もします。
それにしても、「知って、治して、走りたい」に対して「骨の問題なし、以上。お大事にどうぞ」というすれ違いは何とかならないのでしょうか。

今後に向けて

さて、源田さんは私のトータルカウンセリングと整形外科のMRI診断の結果を受けて、「長くモヤモヤしていた事がスッキリ解消され、これからやるべき事が見えてきたので本当に相談に行ってよかったです。走るとまた繰り返しそうなので、しばらくは歩いてみようかと思います。カロリーの管理はしていなかったので意識してみます。」との感想をいただきました。
私の方でも、これで症状がより明らかになったので、さらに具体的なサポートメニューを絞って提案することができます。
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