読書感想文

『中国怪談集』中野美代子・武田雅哉編(河出文庫)

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『怪談』でこのラインナップおそれいる。縛りもなく枠もなく、まさしく怪しき談りばかり。
さて。カニバリズム趣味はないけれど、たぶん。それら文字列を目にすると手に取らずにおれない。『人肉を食う』。これが一本目にあることで購入決きめたんだわたしは。
電波系も時代を経ればファンタジー『台湾の言語について』『宇宙山海経』ゆかいゆかい。
『五人の娘と一本の縄』とソフィア・コッポラのヴァージン・スーサイズに関係はあるのかないのか。乙女の純真と厭世は洋の東西問わず仄暗い憧れを象徴するテーマなのだろうね。好きよ。
『十(きん)楼』『ボール小僧の涙』『ワニも僕の兄弟だ』異形・異類の怪奇小話。何かの比喩か?社会学だか民俗学だかで意味解釈してみるのはどうだろう。いやいや、ありのまま受け入れるのが面白いのじゃないか?
魯迅の二作品はまったくもって傑作。本好きを自称する割に名作・ベストセラー・文豪と縁遠いわたしには、こういった出会いがありがたい。
本集の最恐作品はなんと言っても『北京で発生した反革命暴乱の真相』。これ、初版はまだその記憶も新しい'92だったのだね。真なぞどこにあるかわからん。

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