備前地域の信仰まとめ3
岡山県は備前地域のおもに南側でよくみられる民間信仰についてまとめておく。
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⑬祝い神
祝い神とは株内で祀っている神のことをこう呼ぶことがある。株内の本家の家にあることが多い。その神の正体は様々で、荒神であるとか、先祖であるとか様々な説明がある。守護神として勧請した場合もある。
祠は木製のものや、大きめの瓦質祠がメジャーである。
祭りとしてはうどんを作って食べる「うどん講」というものをしていたところもあった。
⑭若宮
若宮は祝い神の別の言い方として祀られているものだが、その多くは祟りを鎮めるために祀ったものだという。法印によって、「自死した者や惨殺された者、血縁のある先祖などが祟っているので、祀ったほうがいい」と言われて祀っていることが多い。
一方でそのような言い伝えの全くないところもある。
⑮地主様
その土地の地神の古い形であると思われる。基本的には株内で祀っている。12月に祭りをするところもある。
⑯オドクウ様
オドクウ様は竈の神様である。各家庭の竈の上や傍、現在では台所に祀られている。オドクウ様には炊き立てのご飯をお供えする。初穂や男根の焼き物を供えるところもある。
火事にならないようにしてくれる神様や、牛の守り神という説明がされることもある。
日蓮宗の寺院の檀家ではオフゲン様と呼んでいる。また、地域によってオドック様やロックウ様などさまざまな呼び方があるが、元は陰陽道の土公神である。
正月には神主や太夫が来てお祀りをする家もある。
⑰祇園社
祇園社は牛頭天王を祀っている神社である。上郡の高峯神社や姫路の廣峯神社への信仰が厚い。流行病を防ぐ神・虫害を防ぐ神として信仰され、疫病が流行するたびに祇園社が勧請され、牛頭天王の石碑や、燈籠に牛頭天王と刻むなど様々な形で信仰された。
⑱おしめ様
おしめ様は大木のもとや屋敷神としてなどの形で祀られる神である。
瓦質祠が設けられていることが多く、木には注連縄が巻かれている。この注連縄からおしめ様と呼ばれるようになったという説もある。
おしめ様は非常に祟りやすい神で、木の枝を折ると祟りがあるなどと言われていることが多い。
江戸時代の地誌には天鈿女命を祀るとあるが、祭神を志女大神としているところもあって一定しておらず、信仰にあまり関係はないと考えられる。
備中地方には似たもので「ヤブ神」が存在している。