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令和五年仕込み・波動味噌②

 自家製味噌を作っていて一つ分かったことがあるって話でした。大したことじゃない。

■前のエピソード》

 自家製味噌に限らず、自家製梅干し、自家製麹醤油、自家製人参ドレッシング。要するに自作する時、家計が許す限り良い材料を投入したい真理にかられる。自作PCも例外じゃない。マザーボードに装備可能かつ財布が許す限り、最大までメモリーを搭載させたい衝動にかられるものだ。

 PCの話はさておき。自家製味噌。

 初めて味噌を自作したのは、前回のエピソードの通り富士山が見える塩山の農家さんの手ほどきの元、体験としての自作となった。体験料金も1万いくらかしている。それだけ材料ももてなしも至れり尽くせりだった。おまけに男子一人で参加した僕に、孤立しないよう農家さんの絶妙な気配りにより寂しい思いをせずに済んだ。(けど、同時に農家さんの絶妙な気配りにより、特定の女性に話しかけさせないようにもされた気がする。そういうつもりはなかったんですけど・・)

 次の年、初めて自分一人で味噌を自作する。ネットで手前味噌の分量をザックリ確認し、体験の記憶を思い起こしながら仕込んでいく。
 材料にはそれ相応の大豆を使いたい。ということで、無農薬だの有機だの色々とネットで調べる。結局ネットで購入せず、当時東京自宅最寄駅から4駅八王子寄りの調布パルコ地下・北野エース向かいの無・減農薬にこだわったお店で売られていた新物の大豆を1kg購入。それを使って味噌を仕込んだ。当時そんなに高い印象を受けなかった。

 体験で農家さんのおすすめで豆の煮汁をコップ一杯飲ませて頂いた。そのとき衝撃が走った。
「あ・・、甘い!!『でいいのか?反応は?』」
と、とにかく甘いと感想を述べた。

 大豆の煮汁って甘いんだ!
 それと、濃かった。濃くて濁って甘かった。

 この体験は物凄かった。スーパーで買う煮豆も一応裏印刷を見て、『大豆・食塩』とか余計なことをされてないか確認している。それが最も美味しいと認識していたから、この体験は物凄い物があった。

 去年使った大豆は訳あって、2022年仕込みにして2019年収穫の大豆を使用した。

 なぜそんな古い豆を使ったかというと、2019年に保存のきく食べ物をこれからの世の中にビビッて大量に確保しようとしたからだ。

 今はまだ、新しい豆が手に入りやすい。もうちょっと冷静に行動しても良かったかな?と思いつつ、この大量の豆を少しずつ更新していかないと・・いざ本当にこれに手を付けなければならなくなった時、「古すぎてもう使い物になりません」ということになってしまったらそれこそ良くない。ということで、去年は新物の豆を買わず古い豆、来たる食糧難に備えて大量購入していた保存用の豆を使ったのだ。

京都の友達から教えてもらったおすすめのお店で生米麹を調達。
本店は舞鶴にあるみたい。

 すると煮汁がやや薄い。やや辛い。あまり甘くない。もしかすると辛みは農薬かも知れない。『辛み』というか『雑味』というべきか。豆も通常柔らかくなるはずの時間圧力鍋で煮ても、やや硬い。しょうがないので厚がかかって6分くらいで済んでいたのを、10分以上にして対処した。作業時間は随分伸びた。豆を手で押しつぶすのに大変苦労した。
 大量購入した豆は2019年収穫・北海道産。初の自家製味噌はその年の新物・長野県産だったか?とにかく煮汁の旨さに歴然の違いがあった。それでもその10ヶ月後ちゃんと味噌は完成した。

 今年、2019年収穫・北海道産大豆の残り1kgを再び投入。これで2019年収穫分は大豆に限っては全て消費したことになる。

 すると煮汁が非常に薄い。マズイ。甘味も殆どない。というかマズイ。
不味いのだ。
 
同じ豆を使っているので、今年は圧がかかってから12~3分を目安に煮てみる。とうとう豆が手で押しつぶせない。仕方ないのでフードプロセッサーを使う。もしこの世から電気が無くなったら、フードプロセッサーは使えない・・とか思いながら。
 煮汁がまずいけど、煮豆は食べられるし変な味も匂いもしない。食べられるのだ。2019年収穫・百歩譲って減農薬。2023年春、煮汁は不味いけど、煮豆は食べて平気。豆の甘味はあんまりない。 

 『こういうことになるんだぁ~』

 その年、その年の新物を扱えるということがいかに良いことか分かった。でも豆として食べられるので今年はそれを使って

『令和五年仕込み・波動味噌』とした

今年は試しに、米麹を少し多めで仕込んでみた。違った豆の甘味の無さを麹で何とか出来るか・・?

 ということで、自家製味噌を作っていて身をもって気付いたこと》

 4年前に収穫された大豆は食べられる。味噌に仕込むことも出来る。
 そして、
 4年前に収穫された大豆は煮汁が美味しくない。飲んでも害はないけど、不味い。手でつぶすのが困難になる。

僕は既にレシピを確認しなくても、手順を確認しなくても、カンで作業進行できるようになった。来年仕込む味噌は、気に入って使っている生米麹とお塩、それに加え新物の大豆を使うことが出来たら・・相当美味しい波動味噌が作れそうだなぁ~と、イメージが膨らむ一方になる。

衝撃!!
小豆、黒豆の袋の下にあと2kg大豆が残ってた。普段の食事で消費するしか・・