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22‐23 ウェストハム通信簿 MF~FW

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MF

41 デクラン・ライス 8.5 

先発36試合 途中出場1試合 4ゴール2アシスト

ウェストハムの大黒柱であり最高傑作。今季も持ち前の異常な守備範囲の広さと精度の高いロングボール、自身でのドリブルでボールキャリーとしてもチームを牽引。今現在ディフェンス面ではライスより勝る選手はこの世に存在しないと言い切っていいと思います。しかし今季はチーム全体のパフォーマンスが悪かったのもあり、プレー中に不満を表したり、ピッチ外での言動然り少しキャプテンシーを疑うものも何度か見られシーズン中の移籍も囁かれた。ですがシーズンも終盤に差し掛かるタイミングでチームを引っ張る姿が見られ、プレミアでは危機一髪で残留、ECLで優勝まで導いた。ライスが今季選手として大幅に成長したとは思わないが、私たちサポーターと他チームとのライスに対する評価の乖離が少なくなったシーズンになったと思われる。まだプレー判断や立ち位置などに難がある選手ですが、パス精度はチーム2位の88%にCDMでありながら4ゴール2アシストを上げ、キーパス数も1試合平均で1回とオフェンスにおいて素晴らしいスキルを持っているのは確か。今後ライスがウェストハムから離れてどのような選手になっていくか全て彼次第だと思います。ライス自身非常に向上心が高いのであまり心配はしていませんが、€100mが付いたライスがどこまでの選手になるのか見ものです。

28 トマーシュ・ソウチェク 7.5

先発32試合 途中出場4試合 2ゴール3アシスト

ここ2年ライスの相方を務めてきたソウチェク。攻守にチームの軸である時間が長いためこのウェストハムというチームにおいて非常に重要度が高い選手です。ですが今季ウェストハムはスタートダッシュを失敗し迷走。そこでシーズン中盤にシステムを変更し中盤を2ボランチ1トップ下の構成から3センターに移行。この際ソウチェクは本来よりも1列前でプレーする事が多くなり、今までよりも前線への飛び出しに自由度が増し、エリアを縦横無尽に走れる持久力とエアバトルでオフェンス面で存在感を示した。ですがディフェンス面に置いてはどうしてもプレッシング要員になることが多く、バイタルでの本来のディフェンス強度というものは失ってしまった。そのため内容自体は整理されていたものであったが結果がなかなかついてこず、順位も落ち込む中、従来の4-2-3-1に変更。自分たちのリズムを掴み直すのにかなりの時間を要しましたが、やはりライスソウチェクという2枚看板のパフォーマンスは流石と言わぜるえない。システム変更の際にも慣れないポジションでもモイーズが彼を起用し続けたのは信頼の証。これからどんなシステムを試そうにもモイーズも彼を活かすために全力を尽くすことでしょう。

12 フリン・ダウンズ 6.5

先発7試合 途中出場14試合 

スウォンジーからやってきたゲームメイカー。そのスウォンジーでは低い位置からビルドアップを組み立ていたらしいが、ウェストハムでは少しその部分は影に隠れ、どちらかというとオフェンスでのプレー選択はかなり荒削りな印象を個人的には受けた。晩年のノーブルのようなトップ下に入って守備固めというような起用が多く、オフェンス面で目立つものはなかったが、ディフェンス面では何度もボールを追い回し、ガッツのあるプレーでボール奪取する場面も見られた。それでも元々の特徴であるパスの精度はこのチームで発揮しパス成功率はチームトップの88.4%。ライスの退団によりどれだけプレータイムを増やせるかどうか。ライスの穴埋めをそのまま行うにはかなり荷が重いが、ライスとは違う要素をこのチームに組み込むことが出来れば彼にもチャンスが巡ってくるだろう。

8 パブロ・フォルナルス 7.0

先発17試合 途中出場15試合 3ゴール1アシスト

ウェストハムで最も熱い男。彼ほどコート上を駆け回るテクニシャンはなかなかいないでしょう。ですが今季は同じポジションにワールドクラスのパケタが加入。流石のフォルナルスもポジションを譲る形になり、左サイドでの起用が増えた。さらにチームとしてオフェンス面の不調が続いたため、より個での打開力推進力ともに上であるベンラーマが起用されることが多かった。在籍してきた中で最もプレータイムが少なかったフォルナルスですが、それでもめげずに4月8日のフラム戦で10節ぶりのスタメンを務めたフォルナルスは試合勘の無さを感じさせないパーフェクトな役割を遂行。その試合でようやく全体で動けるチームになった印象。それ以降フォルナルスは残りの9試合で5試合先発しそれまで途中出場が多かったフォルナルスもシーズン終盤でやっとベンラーマと序列が並んだ。来季も安定したプレータイムの保証はないが、パケタとの共存の道も見えたいま、今季よりは出場機会が増えると予想します。

10 マヌエル・ランシーニ 6.0

先発2試合 途中出場8試合 1ゴール

ウェストハムの顔。随所にオフェンススキルの高さを感じるプレーヤーであったが、良くも悪くもバックパスを多用する選手であり、これは長年ウェストハムにいたことによる落としからのロングボールでの攻撃が主体であるものだと思われますが、それによって自陣PA内でもバックパスを選択する場合も多々あり、少し危ういプレーも見られた。本来であれば得意なターンからチャンスを演出できそうな場面もよく見られるため、プレーの幅を狭めてしまったなという印象を受けた。ウェストハムではビルドアップが整理することがなかったため、ランシーニが3列目でボールを捌くシーンが多かったが、これが相手にとってどこまで効果的であったのかを見極めた際に、プラス面が足りず徐々にプレータイムを落とした。それと同時に同ポジションにパケタという存在が出来た為、ウェストハムで飽和状態のポジションとなってしまった。長年ウェストハムを支えてくれた苦労人。2018W杯の時の怪我がなければ…という選手ですが、このチームに偉大なインパクトを残してウェストハムを去ります。スパーズ戦での0‐3からの3‐3に追いついたロリスのグローブをかすめて行った見事なアウト回転のシュートは間違いなくこのクラブ最高の瞬間の1つになったことでしょう。

11 ルーカス・パケタ 9.0

先発27試合 途中出場1試合 4ゴール3アシスト 

今季の個人的チームMVPはこの男。チームになかなかフィット出来なかったスカマッカを唯一際立たせ、自身がアシスト役フィニッシャー役を務められるフレックスな選手。ですが今季はウェストハムの課題であるビルドアップに駆り出される事が多く、なかなか自分の得意な位置でボールを触る機会が少なかったため得点に関与する場面はそこまでだった。自身が活きるシステムではなかったがそれでもこのチームに多大な貢献をし続けた。出せるところではピッチ内どこでも顔を出し、ディフェンス面でもチーム1位の1試合平均のタックル成功数は2.5回を叩き出すほどの献身的な選手であり、ここまで勤勉なスタープレーヤーはなかなか存在しないのではないでしょうか。攻守に渡って存在感を示したパケタ。いまだに何故ウェストハムに来てくれたのか分かりませんが、ライスを失った今このパケタがウェストハムで最も優れた選手であることは明らか。そんな彼にウェストハムはおんぶにだっこ状態でパケタがピッチにいないと迷子になってしまうため、チームとしてどこまで彼の枷を外せるかどうか。彼に少しでも自由を与えてほしい。パケタ依存からの脱却が来季のウェストハムの課題になりそうだ。

FW


14 マクスウェル・コルネ 6.5

先発2試合 途中出場12試合

怪我さえなければというしかない選手。左サイド全般を主にストライカーの位置でもこなせる彼のユーティリティの高さは非常に優秀。フィットに困っていたスカマッカの唯一の解決策としてスカマッカとの2トップが期待されていたが、コルネの怪我がかなり不安要素の大きいものでありなかなか叶わなかった。そのため今季の216分の出場時間に留まったが得点アシストの記録はないものの、90分平均のゴール期待値は0.46。90分平均のシュート数は3.75本とチームで両方断トツ1位。積極的にゴールを狙う姿勢とスキルを持ったコルネ。プレシーズンでは怪我は問題なさそうなプレーだったので今季の課題であった得点力不足の解消のためにも来季は期待したい。

20 ジャロッド・ボーウェン 8.5

先発36試合 途中出場2試合 6ゴール5アシスト 
チーム得点トップタイ アシスト王

今季のチーム得点トップタイとアシスト王の両方を掻っ攫ったウェストハムのエース。それでも実はシーズン序盤中盤にかけてかなりプレーのパフォーマンスは悪く、ここ2.3シーズンほとんどの試合で先発を努めてきた彼に相当な疲労が溜まっていたことなのではないかと思いました。それでもウェストハムでは右サイドを主戦場としているのは近年このボーウェンしかおらず、チーム状況的にも余裕がなかったため、試合に出続ける以外の選択肢はなかった。コンスタントに活躍することは出来なかったがそれでもシーズンも終盤を迎え本格的に残留争いをしている際にはようやくリズムを取り戻したボーウェン。従来通りのボディバランスとキレキレなドリブルが復活し思い切りの良いプレーが増えた。シーズン終盤戦のMVPはまさしくこのボーウェンであった。ECL決勝のフィオレンティーナ戦でも決勝弾を叩き込んだのはこのボーウェン。DFラインのほんの一瞬のゆるみを感知したボーウェンはCB間の隙間のスペースを活用。このゴールへの嗅覚はチームナンバーワン。ウイングであるにも関わらず、得点の匂いを感じると瞬時にDFライン中央にまで顔を出せる瞬発力。このチームのストライカーを務めるどの選手よりもボーウェンが得点を取れる理由なのかもしれない。

22 サイード・ベンラーマ 8.5

先発22試合 途中出場13試合 6ゴール3アシスト
チーム得点トップタイ

先ほどシーズン終盤戦のMVPはボーウェンだと先述しましたが、そのボーウェンがさっぱりであったシーズン中盤まで泥沼にハマっていたチームを引っ張っていたのは間違いなくこのベンラーマ。毎年あっと驚くドリブルスキルの裏腹にプレー選択に難を抱え調子に波がある印象が強いベンラーマですが、今季はチームで最も安定感のあるプレーで序盤はフォルナルスにポジションを譲っていたが、途中出場から多くのインパクトを与えていたベンラーマは13節以降は左サイドの正ポジションを奪還。チームの縦の推進力であったボーウェンの代わりにこのベンラーマが縦の推進力を請け負い、新戦力との連携面やオフェンスの構築に手間を取っていたウェストハムの中で、独力でゴールまで迫れるベンラーマの存在は非常に偉大であった。シーズン終盤のチームのスタンスが原点回帰した際にはフォルナルスが選択肢に入ってきたため途中出場の形が増えたが、特に目立った負傷離脱もなくコンスタントに出場を続け貢献したベンラーマ。今季はPKキッカーを務め6ゴール中4ゴールはPKから。終始頼れる存在であった。

7 ジャンルカ・スカマッカ 6.5

先発11試合 途中出場5試合 3ゴール

195㎝とは思えない足元のスキルを持つストライカー。その長身から繰り出されるシュートはとんでもないパワーであり彼の右足はPA外でも振らせていけないほど脅威である。セリエAで暴れていたスカマッカだったが、加入前からこのチームにフィットするのか?という疑問符から始まった今シーズン。フロントやコーチ陣の腕にかかったシーズンでしたが、フロントが獲得してきたルーカスパケタという存在はあったものの、コーチ陣からはスカマッカに対するアプローチは少なく、なかなかスカマッカに対するアンサーがパケタ以外になかった。負傷離脱からのパケタとの復帰のタイミングがズレたのもかなり痛かった。彼自身は間違いなくスーパースターなのでここで燻ってプレータイムが貰えない日々を送るよりも、彼のためにも代表チームのためにも早いところ別のチームを探したほうが良いと思います。とは言いつつも実は先発11試合で3ゴールを決めたスカマッカ。健康状態を良好にシーズン完遂できればウェストハムでも2桁得点をマーク出来るポテンシャルは十二分にあります。ただ怪我の影響もありますが20節の途中出場以降リーグでのプレータイムは0分。地元イタリアへ戻る噂もあがっていますが果たして。

9 ミカイル・アントニオ 8.0

先発21試合 途中出場12試合 5ゴール3アシスト

ウェストハムはこの男がいないと始まらない。180㎝未満というそこまで上背はないにしても、その異常なほどの地上戦の強さで歴戦のプレミアのDF陣を破壊してきた。その強靭なフィジカルを持ったアントニオはここ3シーズン連続で2桁得点をマークしてきたが、スカマッカの獲得やイングスの途中加入もありプレータイムを分け合う形になり今季は5ゴールに留まる。そのためシーズンの序盤はほとんど途中出場ではあったものの、ベンチからでも十分なインパクトを与えていたアントニオはスーパーサブとしての適性も垣間見えた。ですがやはりアントニオがピッチにいないウェストハムのオフェンスは完全に停滞してしまう時間帯が多くなってしまい、システムやフォーメーション変更など試行錯誤しましたが、結局スタメンのストライカーはアントニオが返り咲いた。アントニオも33歳でチームで上から数えて2番目。もともと怪我の多いアントニオもここ2シーズンは目立った離脱はなく健康状態は良好でありますが、近年彼に頼り切りのオフェンスはどこまで持つのか。パケタ同様ウェストハムはこのアントニオ依存から少しでも脱却したい所。幸いアントニオのスーパーサブの適性は非常に高いのでまだまだ頼りにする場面は多いと思いますが、彼がいなくなったウェストハムのこともそろそろ考えていかなければならない。

18 ダニー・イングス 7.0

先発7試合 途中出場10試合(ウェストハム在籍19試合中) 
2ゴール2アシスト

冬の移籍市場でアストンヴィラから獲得した待望のプレミア正統派ストライカー。それまでスタメンを務めていたスカマッカが負傷離脱したため、その代役として活躍を期待された。イングスが加入する直前までウェストハムは4‐3‐3を使用しており、スローペースのオフェンスを展開していたが少し結果が出ない時期が続き、システムを原点回帰したためロングボールを抑えられる強度の高いキープ力が必要になった時にその部分は流石にアントニオに劣る部分であったため先発からは徐々に譲る形に。それでもウェストハムに来てからの19試合中欠場数は2試合のみでしっかりローテに食い込んでいたことからモイーズの信用はそれなりに厚いものだと感じた。ウェストハムもシステムの適応に苦しんではいたが、それでも繊細なボールタッチやキープ力で埋もれることなく活躍。スカマッカ同様中盤とのリンクマンとして優秀であるため、彼らが全うに活躍するにはやはり選手間の距離が大事になってくるだろう。

72 デイヴィン・ムバマ 6.5

途中出場3試合

ウェストハムユースのストライカー。18歳でありながらすでに身体もある程度出来上がっており、動かし方もすでに熟知している様子。前に張り付いているだけでなく、必要なときには下がって中盤のサポートを行ったり、トラップした時や裏に抜けてボールを受けた際のそこからの切り返しやスムーズな身体の動かし方を見てると得点を量産できるポテンシャルを多く潜めていると思います。ディフェンスでもプレッシングに行く際のカバーシャドウの徹底はもちろんのこと、しっかり前に行ける枚数を確認したうえでどこまで行って良いのかというラインを見極めながらプレッシングを行っていた。特にプレシーズンのプレーを見る限りはこのチームのストライカーの1番手を担っていても違和感はない。鉄は熱いうちに打てと言いますが、ここまで有望なユースの選手を放出し外で活躍しているのを見ると、このムバマほど早くプレータイムを与えないと行けない選手はいません。それほど彼には偉大なポテンシャルを感じます。早急なプレータイムを確保を願います。









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