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22-23 ウェストハム通信簿 GK~DF

まえがき

お疲れ様です。今季大補強も大補強から始まったウェストハムでしたが、3連敗から始まった今シーズン。チームのパフォーマンスもなかなか上がらず、シーズンの殆どを不安に過ごし、本格的に残留出来るのか、モイーズは解任されるのかと悪い話題ばかりが目立ちましたが、シーズン終盤でギリギリで立て直しなんとか14位フィニッシュで残留。リーグ戦の裏でコツコツと勝ち進んだECLでトロフィーまで掲げることが出来たのはこのチームの底力を感じました。前書きはここまでにいたしまして、ここから毎度の通信簿を書いていきます。評価は10点満点。今季スタートからの期待値からの評価なので全体的に低めの点数になっています。そして僕自身今季はウェストハムをそこまで追えていないので、あまり信憑性の高いものではないかもしれませんがご了承ください。では始めます。

GK

1 ウカシュ・ファビアンスキ 7.0

先発36試合

今季の立ち上がりでは例年通りのような安定感はなく、年齢が重なってきたのもあり、セービングや反応速度などに衰えが見え始めてきたシーズンではあったが、彼がこのチームで成し遂げてきたもの、その信頼が最後までこの男をプレミアのピッチに立たせた。そのおかげで徐々にパフォーマンスを元に戻し、頼りになる存在として終盤までシーズン完遂。今季のパフォーマンスは年齢の衰えに抗う素晴らしいものであった。彼のファインセーブはただのピンチを救うものではなく、チーム全体を鼓舞するような悪い流れを断つファインセーブで不安定だったチームを支え続けた。何度もウェストハムをピンチを救ってきたファビアンスキも38歳。加入したシーズンに2位と大差をつけた断トツ1位のセーブ数でこのチームを残留させたあのシーズンから数年後、またこの男に救われました。

13 アルフォンス・アレオラ 7.5 

先発2試合 途中出場3試合

今季こそチームの守護神を張るかと思っていましたが、今季もリーグ戦ではファビアンスキの負傷離脱に合わせた物以外では出番なし。年齢面やセービングの力強さに反応スピードと守備範囲の広さ。GKスキルにおいてはファビアンスキより上であることは確かですが、GKに最も必要な信頼感がアレオラにはまだ足りなかったようです。3センター移行時に彼がセービング以外で何か目立つスキルがあれば出場数に変化があったかもしれませんが、既に持っているロングキックの精度だけではファビアンスキの位置は揺るがなかった。それでも今季はリーグ戦以外のカップ戦で全てスタメン。そしてECLでは最後までスタメンを務め続け優勝に導いたという事実。まだ彼が心変わりをしていなければこのチームで再度GKの1stチョイスを狙ってほしい。

DF

2 ベン・ジョンソン 6.0 

先発9試合 途中出場8試合

開幕戦では急造CBの一員として先発し、初見でハーランドを抑えろという無理難題を押し付けられて始まった今シーズン。主にディフェンス面での評価が安定していたベン君だったが、今季はなかなかパフォーマンスが戻らずチームも軌道に乗れない中、まずテコ入れされたのはSB。ここでツォウフォルの鉄壁のディフェンスが再評価され、チームも良い流れになったことでベン君の出番は徐々に減っていった。まだ若く、おそらく近い将来彼が右SBの1番手を担っていくと思われますが、その将来に少し陰りが見えてきたシーズンの出来だった。

3 アーロンクレスウェル 6.5 

先発24試合出場 途中出場4試合 1アシスト

昨シーズンから年齢による衰えが表面化し始め、アップダウンを求められるウェストハムでは少し厳しくなってきた。さらに今季やっと同じポジションの補強が入ったこともあり出場時間が少し減少。それでも彼がいない影響は主にオフェンス面で試合を難しくしてしまい、左サイドからのオフェンスの起点として君臨していたクレスの不在はオフェンス面の停滞の原因になった。その影響もあってか出場時間は2237分でチーム5位。ディフェンダーとしては少し厳しくなってはきてるが、実際スタッツ上では1試合ごとのキーパス数は1.4本でチーム1位。クロスの成功数も1.5本で2位のボーウェンの0.8本と倍の差をつけて1位と彼の左足と左サイドの攻撃に厚みをもたらすオフボールの動きは健在だ。いまだ本当の彼の後釜というものはまだ見つかっておらず、彼がピッチに立っていなければプレースキッカーは不在。まだまだこのチームに必要な人材なのは確か。

4 クルト・ズマ 8.0

先発24試合 途中出場1試合 2ゴール

昨シーズンの終盤は負傷を引きずりながらの出場ということもあり、パフォーマンスが安定しなかったズマであったが、負傷離脱から帰ってきた彼はチームが求めていた姿。彼のクリア性能はプレミアリーグでも有数で、1試合ごとのクリア数はプレミア全選手の中で7位。空中戦でも強靭なフィジカルとジャンプ力で制圧でき、それを活かしたCKでのヘディングの合わせはウェストハムの貴重な得点源でもある。ビルドアップで仕切るような器用な方ではないが、前が空いたら積極的に運ぶ姿勢も見られ、今のところ彼がチームで1番手のCBである。さらに今季のチームのパフォーマンスはトータルで見ると低いものでありましたが、ズマが出場した試合25試合でのウェストハムの成績は9勝3分13敗に対し、残りの出場していない13試合のウェストハムの成績は2勝4分7敗とかなりの開きがあります。彼の不在がチームの成績にかなり影響していたことが分かります。来季も出来るだけ勝利を挙げるにはまず彼の良好な健康状態をシーズン通して維持することが重要になりそう。

5 ヴラディーミル・ツォウファル 7.0

先発24試合 途中出場3試合 1アシスト

ウェストハムのエースストッパー。プレミアリーグはどのクラブも優秀なウイングを揃えてきている中、ツォウファルの鉄壁を崩す選手は少なかった。特に第31節アーセナル戦でマルティネッリを完封した試合では相手の思惑を狂わせた。今季は主にケーラーとポジションを争う形が多かったが、ケーラーのディフェンス面の怪しさから次第にツォウファルのディフェンスが再評価されポジションを勝ち取った。今季もSBながら1試合ごとのタックル数2.1回(チーム2位)、インターセプト数は1.3回(チーム3位)、クリア数は2.3回(チーム6位)と各スタッツを高水準で記録。ですがパス成功率に限っては65.8%(チームワースト5位)で平均パス数が30本以上行っている選手(ウェストハムでは8人)の中では目を引いて低い数字になっています。一応同ポジションのケーラーは平均パス数36.8本でパス成功率は85.4%とここに大きな開きがあります。今季は主に右サイドのオフェンスが停滞してたため、これがシーズン中盤でケーラーにポジションを譲った理由の1つでしょう。左サイドにはクレスウェル、エメルソンと両者パス精度の高い人材が揃ってる中、ディフェンス面で不安なケーラーとオフェンス面で不安なツォウファルになかなかパフォーマンスが安定しなかったベン君。今季はシーズン終盤でチームが従来のやり方に移行した際にはディフェンス面を考えてツォウファルが選ばれましたが、来季の右SB争いは一体誰が勝取るのか。ライスの去就が定かではありませんが、誰が先に問題を克服するのかどうかがここのポジションの1番手を担いそうだ。

21 アンジェロ・オグボンナ 6.0

先発13試合 途中出場3試合

今季は同じ左利きCBのアゲルドとドイツ代表CBのケーラーが加入したことにより、本格的にバックアップに回ったシーズン。しかし今季はCBの離脱が多く、ドーソンの移籍や、新加入のケーラーがSBにポジションチェンジしたりとなかなかCBの人材不足に困ったシーズンであったため出場機会はそれなりにあった。チーム全体が波に乗れてない中での出場だったため、パフォーマンス自体を正当に評価するのは難しいが、全体的には及第点なのではと思う。身体能力の衰えやボランチとのコミュニケーションが上手く行かなかった場面もあったが、DFリーダーであったオグボンナは途中出場でもしっかり周りへの声掛けを徹底し、DFラインに穴を作らせないよう努めた。今季はオフェンス面で崩れたウェストハムであったが、そこまで大崩れしなかったのはディフェンス。人材不足であったCBをここ数シーズン怪我での離脱が多かったオグボンナが埋めたのは今季の隠れた功績ではないでしょうか。

24 ティロ・ケーラー 6.5

先発25試合 途中出場2試合 2アシスト

パリSGが来たドイツ代表CB。両足で正確なショートバスが出せる現代的なCBで、移籍金も15m程度。お買い得な選手を引いたと思いきや、やはりその値段設定にはそれなりの理由があった。プレー判断のスピードや強度だったりがプレミアリーグでCBをするのには心もとなく、今季途中で主戦場をCBから右SBへ移した。ただ期待されていたビルドアップの能力はかなり高く、相手を引き付けてからの縦へのショートパスの精度は利き足でも逆足でも優れたもので、特に右SBではオフェンス面で違いを見いだした。現状SBでボール奪取されることが多いウェストハムでは彼の立ち位置や準備の良さでそれを回避する場面も多く、無駄に低い位置までは降りずに常に攻撃的な姿勢を見せた。それでもツォウファルのディフェンス強度には叶わず、SBでも出番はなくなっていった。今後彼がプレミアで出場機会を得るにはやはりディフェンス面での強化が必須。全体的にファウルで止めるシーンが目立つため、身体能力以外の面でも改善が必要だ。


27 ナイフ・アゲルド 7.5

17試合先発 1試合途中出場 2ゴール

フランスからやってきた左利きのCB。シーズン序盤〜中盤にかけて怪我での長期離脱でチームに合流するのは出遅れたが、プレシーズンでの活躍もあり彼の出場を待ち望むファンも多かった。前評判ではCBの中では突出したスピードとカバーリングの広さでディフェンス面、さらに左足からのロングボールの精度でも評価が高く、ズマの相方として期待されていましたが、その前評判をそのまま感じることが出来たプレミア1年目。もし離脱期間がなければもう少し早くチームを建て直せたかもしれない。さらにズマの負傷とドーソンの移籍もあり、右利きCBの人員がいなくなるという事態に陥り、その分アゲールが右CBを務める事が多かったが、本来のパフォーマンスとは程遠いものであり、器用さはそこまで持ち合わせていない様子。単独では窮地を救うショットブロックと相手FWとのスピード勝負を封殺する場面が多く見られたが、ズマの復帰まで時間がかかり主に連携面でバックラインで安定したパフォーマンスを見せた試合は今季は少なかった。今後はズマとアゲールの2枚看板でシーズンを過ごしていくことになりそうだが、今季は18試合出場の1596分の出場時間に留まったアゲルド。ズマとともに健康状態を如何に保つかが来季のウェストハムのカギを握りそうだ。

チーム1位のショットブロック数 1.3回

33 エメルソン・パルミエリ 7.0

先発16試合 途中出場6試合 1ゴール

チェルシーで出番が減っていた中、昨シーズンはリヨンにレンタル加入していたエメルソン。そこでの活躍をウェストハムが評価し獲得。左SBの補強はウェストハムにとってはようやくといったところでしょうか。低い位置からゲームに参加するクレスウェルとは少し違い、エメルソンはゴールに近い位置でプレーすることが多く、自身で持ち運ぶ能力もそれなりにあり自ら積極的にシュートを狙えるオフェンス寄りのSB。今季の1ゴールは右SBのツォウファルのクロスに飛び込んだものだった。ですが今季はどちらかというとウェストハムではディフェンス面を評価され、クレスウェルより高い身長とスピードを持ち合わせるエメルソンはDFラインで穴になりかけていたクレスを差し置き、徐々に出場機会を増やしていった。特にECL決勝で見せたディフェンスはモイーズの選出の意思を完全にくみ取った活躍を見せ優勝に貢献。来た当初はどんな選手かなかなか掴めませんでしたが、今季は自身の特徴とこれからの伸びしろを見せた活躍は、彼の選手人生にとっても大きいものであった。



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