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20/21 ウェストハムユナイテッド通信簿 MF〜FW編

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https://note.com/kairanoya_tu/n/n91dce334bd52

MF 


41 デクラン・ライス 9.6
今季 32試合出場 2ゴール(PK1)1アシスト 

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若くしてキャプテンを務めるウェストハムの大黒柱。今季ももちろん大活躍で驚異的な広範囲のカバーリングでチーム全体の守備力を底上げする。DFラインに穴が出来たらペルムータ(カバーリングに出て行った選手が空けたスペースをカバーリング)で穴を埋める早さは異常。もちろん対人能力も抜群に高く、DF時の身体の向きや達人のような間合いの詰め方、そこから繰り出されるタックルで相手との1対1をことごとく封殺。ビルドアップでもDFラインに下がることで落ち着いてゲームをコントロールすることも出来るようになり、中盤でボールを持ったら大きくサイドに展開したり、身体を盾にようにして前進するフィジカルの強さもあり、現代的にもかなり成長した。年々市場価格が上がる選手ですがなんとしてもウェストハムはこの男をキープしなければならない。ウェストハムのアイデンティティの象徴であり、チームにこれほどまでの忠誠心を持つ選手。僕なら冗談なしで200億積まれても放出しません。ライスには何が何でもウェストハムに骨を埋めてもらいます。今シーズンも安定したパフォーマンスが認められ、難なくイングランド代表に選出。しかし、代表チームの練習中に全治4週間の負傷でシーズンの大事な時にチームに穴を空けてしまいシーズンフル稼働とはならず。それでもスタンドからチームを鼓舞するさまは既にウェストハムの王様を象徴。キング。ロンドンのキングデクランジェームズです。

28 トマーシュ・ソウチェク 10.0 (チームMVP)
今季 38試合出場(チーム1位タイ)10ゴール(チーム1位タイ)1アシスト

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出ました10点満点。個人的に今季のチームMVPはこの男。チームトップの試合出場数に3列目の選手でありながらチームトップタイの10ゴール!文句なしのシーズンを過ごした。190cmを超えるこの巨人は攻守に渡り何度もアップダウンを繰り返す運動量を誇り、守備の場面ではライスに引けを取らないボール奪取能力を発揮し、前に出ればクロスに合わせるターゲットとしても活躍できる非常にハイブリッドなCDM。モイーズの元でマンチェスターユナイテッドにて似たような起用のされ方をしたフェライニとよく比べられるが、前線でただのヘッダーとしてではなく、ストライカーの様に何度も動き直し、10ゴールを決める決定力も持ち合わせているため、タイプ的にはアヤックス時代のファンデベークに似てる選手だと思います。更にビルドアップにも関与でき、サイドへの展開力もなかなかの物で、もうこうなったらほとんどのプレーをこなせます。何より今季は怪我で離脱していく選手が多かった中、ソウチェクは毎試合プレーの強度を落とすことなくフル稼働できたのはもっと評価されていい部分だと思います。広範囲のカバーリングが得意なライスを盾とするなら、前線でアップダウンを繰り返すソウチェクは矛。この2枚で形成される中盤は非常にバランスが良く、既にPLでも屈指の2ボランチ。ここ数年ライスの相方がいないと嘆いていたウェストハムにとんでもない助っ人がきたものです。しかも自分がエージェントになってツォウファルもつれてきた。感謝しかありません。MVP。


16 マーク・ノーブル 7.0
今季 21試合出場(途中出場13試合)0ゴール0アシスト

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昨季にソウチェクを迎えた為、正式にバックアッパーCDMとなったノーブルだが、出番はそれなりにあった。主に守備固めとして途中出場する形が多いが、格上との試合ではスタートからトップ下として起用される事も。トップ下では相手の低い位置からのビルドアップに牽制したり、相手のカウンターをケアする位置取りで相手の攻撃を遅らせると同時に自陣でのビルドアップの際にはボールを引き出してゲームメイクしたりと流石の安定したパフォーマンスを見せ自分の役割をきっちりこなしていた。来季までの契約でウェストハムを退団する旨を発表しているクラブのレジェンド。今季もベテランらしい渋い活躍を見せた。ウェストハム一筋のバンディエラをヨーロッパの大舞台に連れていけることが出来てほんとによかった。

10 マヌエル・ランシーニ 6.5
今季 17試合出場(途中出場12試合)1ゴール1アシスト

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今季のランシーニは主戦場とするトップ下のポジションが飽和状態+怪我での離脱で出場機会が少なかったですが、やはり試合に出るとこの男は存在感を発揮。なんといっても第5節のスパーズ戦にて、試合終了の笛がなる直前のラストプレーで0-3からの同点劇を飾るスーパーゴールは今季のプレミアリーグベストゴール候補筆頭。あのゴールはウェストハムの歴史に刻まれる伝説として語り継げられる事でしょう。そのほかにも今季はライスの負傷、ノーブルの負傷とボランチの枚数が足りなくなり、何度かソウチェクの相方としてボランチの位置でプレーした。ボランチでのプレーぶりは意外にもハマり、サリーダでDFの間に落ちる事でビルドアップの中心となり、プレッシャーがなければ容易に自力でボールを運ぶことも出来たりと良いオプションになった。だがやはりボランチを務めるには守備力が足りないので起用するにはリスクが高く、上位相手には使いづらい。個人的には左SHで使っても面白いと思っていますが、リンガードが躍動し、出場機会が減ってきてる今、チームとしても本人としても彼が満足できる移籍先があればそちらの方がベストな選択かもしれない。でも僕はいまだにウェストハムの顔はランシーニだと思ってるので、いなくなったら普通に泣くと思います。


11 ジェシー・リンガード 9.7
今季16試合出場 9ゴール4アシスト

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冬の移籍市場でマンチェスターユナイテッドから期限付き移籍で加入し、一気にスター選手への復活を遂げたリンガード。ウェストハムでは主にトップ下で起用されることが多く、守備面では相手ボランチを見つつDFラインに圧をかけることもしっかりできます。攻撃面ではカウンター時に低い位置でボールを受け取ると一気にスピードアップ。相手DFのタックルをかわしながら一気にゴール前まで運ぶCoast to Coast。一人で最後まで持っていって決めたウルブス戦のゴールは鳥肌が立ちました。もちろんライン間でも存在を発揮し、DFラインと前線を繋げるリンクマンとしても優秀で、前線に入ればDFライン裏にガンガン飛び出す性質も持っています。加入した当初は今季マンチェスターでは全く出場機会がなく、どれだけ動けるのか、すでに飽和状態のポジションの選手を取る必要があるのか?と獲得したことを疑問に思っていましたが、2013-14シーズンにユナイテッドを指揮したモイーズの元でプレーしていた経験もあり即フィット。移籍直後のアストンヴィラ戦でスタメンに入るといきなり2ゴールの活躍。それ以降もすさまじい勢いでゴールとアシストを量産。毎月月間MVP候補に名乗りを上げる活躍で、4月には待望の月間MVPになんと月間ベストゴールのW受賞!チーム内だけでなくプレミアリーグ全体に大きなインパクトを残した。彼の活躍がなければ間違いなくELへの切符はなかった。モイーズもオフシーズンの最も重要なプライオリティーの1つにリンガードの完全移籍を要求。是非来季も一緒に戦ってほしい選手だ。あとダンスがめちゃくちゃ上手い。

18 パブロ・フォルナルス 9.9
今季 33試合出場(途中出場2試合)5ゴール4アシスト

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ウェストハムの大黒柱はライスですが、今季は間違いなくこの男もチームにとって欠かせない人物だと証明したシーズンになりました。得意なポジションはトップ下であるが、ここ2シーズンは主に左サイドを担当。チーム全体でハードワークを必要とするウェストハムで一番走るのがこのフォルナルス。その高い献身性で守備ではDFラインまでマークマンをチェイスし、シーズンのタックル数も44回で前線の選手でありながらチーム4位の回数。ボール保持時にはサイドから中央に移動し、スペースがないライン間でも高いパスセンスを発揮しチャンスクリエイトが可能。果敢にDF裏に抜け出すのも特徴で、サイドに張った選手のサポートや、そのまま自らゴールを狙いに行く。しかしよく言われる決定力不足な一面も見られ、今季のBig Chance Missed(決定機を外した回数)はチーム2位の7回(チーム1位はアントニオの11回)。ですが大事な局面では結果を出し、最終節には2ゴール1アシストを記録。ELへの出場を確かなものとした。シーズンが重なるごとに成長が見られるフォルナルス。行くとこまで行ったらイニエスタほどの選手になるのでは?何回でも言いますが、加入した当初は運動量が足りずに出番を与えられなかったフォルナルス。今となってはウェストハムで最も走り、ウェストハムに必要な男の1人になった。どれほどの努力をしてきたのか。ウェストハムに来てくれてありがとう。PF18.ペジェグリーニ…お前が見つけてきた男は、ウェストハムを代表する選手になったぞ。

FW

7 アンドリー・ヤルモレンコ 5.0
今季 15試合出場(途中出場14試合)0ゴール1アシスト

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190㎝の長身ドリブラー。ウクライナの至宝も年齢も30を超え少し衰えが見え始めた。本来であればスタメンを張れるスキルを備えていて、右サイドからのカットインしてコントロールシュートというシグネチャームーブも持っていますが、アップダウンの激しいウェストハムでは似たようなプレイが出来ながらよりフレッシュでスプリント能力のあるボーウェンの存在もあり、出場機会を得ることが難しかった。自身がミスした際にも審判にジャッジを求めて足を止めてしまうこともしばしば。少し試合に対するモチベーション維持が難しかったように見える。ウクライナの強豪ディナモキエフに帰還する噂もあり、ウクライナで代表される選手の1人なので、リスペクトのある対応をお願いしたい。

9 サイード・ベンラーマ 6.8
今季 30試合出場(途中出場16試合)1ゴール6アシスト

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なんとも評価が難しい選手。持っているものは間違いなくスーパースターになれる素質。ですがモイーズが以前指摘していた通り「状況を把握する能力と判断力」がプレミアレベルにないというのが本音でピッチ上でかなり不思議ちゃんな部分を見せる。それでもボールを持った姿はまさしくアザール。ボールを持った彼をファウルなしで止めることは不可能に近く、ウェストハムで1対1で勝負できる数少ない選手です。上下のアップダウンをあまり好まず、守備では穴になってしまう場面も多いため、フィット的にはよろしくない。ベンチから出てくるスーパーサブとして起用することもしばしば。ゴールこそあまり決められなかったが意外にも6アシストを記録。起用にはハイリスクの印象がある選手ですが、試合に出れば確かな恩恵は得られる。ですがモイーズの左での1stチョイスはフォルナルスであり、トップ下にも来季チームに完全移籍の可能性があるリンガードもいる。なかなかプレータイムを貰う事は難しそうだが、モイーズはこの選手を来季どのように使っていくのか気になります。

20 ジャロッド・ボーウェン 8.5
今季 38試合出場(途中出場8試合)(チーム1位タイ)8ゴール5アシスト

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途中出場を合わせると全試合出場していたボーウェン。ドリブラーでありあがら決定力を持ち合わせ、ウイングの位置から中に切り込むウイングストライカーで中央からサイドに流れることが多いアントニオと相性抜群。ボールをもった彼を止めることは難しく、左利きであるのを存分に生かした相手を横に揺さぶる滑らかなボールタッチと相手にとって危険なエリアに侵入するセンスも見せ、アントニオがいない際には1トップを務めることもあった。守備面でもハードワークは欠かさず、チームDFの穴になる存在ではありません。昨季途中で加入したこともあり今季が初めてのプレミアでのフルシーズン。ですが残した数字は8ゴール5アシストとかなり上出来。彼自身、まだプレミアリーグに順応するのに時間がかかるとまだまだ自分のプレーに満足していない様子。はたから見たら十分フィットしてる風には見えますが、彼の貪欲な向上心は非常に好印象です。来季は選手としてさらにステップアップできると。今季のソウチェクやフォルナルスといった大躍進に続くのは…個人的にも来季の彼には注目しています。

30 ミカイル・アントニオ 9.8
今季 26試合出場(途中出場2試合)10ゴール(チーム1位タイ)5アシスト

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ウェストハムが誇る筋肉ダルマ。今季のプレミアリーグ最優秀選手賞に選ばれたマンチェスターシティの若き闘将ルーベンディアスをぺちゃんこにしながらゴールを決めたのはこの選手だけじゃないでしょうか?今季のウェストハムはアントニオが全てだったと言っても過言ではありません。低い位置で5‐4のブロックを作ることも多いウェストハムで1トップを務め、自陣から飛んでくるロングボールを圧倒的なフィジカルで収め、どんなに屈強なプレミアCB相手でも味方が上がってくる時間を単独で作り出し、ウェストハムのオフェンスを成立させた。サイドに流れてボールを持つ場面も多いですが、元はウインガータイプであるためドリブルも上手く、自らシュートまで持ちこむことも。守備面でも守備のスイッチとして走れる貴重な存在でありますが、攻撃時にかなりのパワーを使ってしまう為相手DFラインでボールを前進させてしまう場面も見られた。これは仕方なし。なかなか決定機を決められない印象が強い選手で、今季シュートをポストに当てた回数は6回。これはプレミアでケイン、ワトキンスに続く3位の記録です。しかしそれでも今季は26試合で10ゴールと5アシストを記録し攻撃の回数が決して多くないウェストハムでは十分な数字。彼がいるといないとではウェストハムは別チームになってしまいます。フィジカルに頼ったプレースタイル的なので怪我がちなアントニオ。現状では彼の控えのFWがいないので代役はボーウェンやリンガードだったりするのだがやはりパワー不足。アントニオも31歳になり、選手としても晩年期が近づいてきている中ここにも補強は必須。

おわり





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