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私語と (クリープハイプ)

聴き始めは変な声だなとか、それくらいだった。

私は音楽を聴く上で、歌詞をとにかく重視する。その中で、クリープハイプの歌は歌詞が核と言えるほど楽しめる音楽を作っていた。

『いつも同じシャンプーの匂い、いつも同じリンスの匂いで、ずっと一緒にいたいって思ってたよ』
『写真を撮った瞬間に 何故が凄くショボくなるのは、生身のアタシを愛してっていう事でしょう』
『私は君とは違うからね』
『百円の恋に八円の愛』
『誰かが吐いた唾がキラキラ輝いている』


ひとつひとつを噛み締めるように聴いていた高一の冬。えぐるような歌詞に救われもしたし、泣かされもした。高校時代を振り返ればそこに必ずあるクリープハイプ。


汚い町の隅で見つけた黒い流れ星に
時間もないから単刀直入に『幸せになりたい』と願った
野良猫は立ち止まって迷惑そうに振り返る
誰かが吐いた唾がキラキラ輝いている

嫌よ嫌よも好きのうち
良いことある生きてれば、そのうち
あれよ あれよともう月夜
見上げる帰り道



可もなく不可もない高校生活が終わろうとしていた、寂しい夜。あてもなく、ただ歩いたあの時間を 共にした歌。私本当に馬鹿だから、涙が止まらないよ。
誰かが吐いた唾は見つけられなかった。