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蔬菜育種におけるDNAマーカー支援選抜と育種利用 スイカ編 #008 【スイカ果肉色(紅系・桃系)形質選抜マーカー】

有用形質選抜のためのDNAマーカー
スイカ編 #008 【スイカ果肉色(紅系・桃系)形質選抜マーカー】

【概要】
スイカ(Citrullus lanatus)の果肉色は、果実の魅力を決定する重要な質的形質であり、また人間の健康への潜在的な有益性がある。
これまでの遺伝解析により、スイカの果肉色が桃系より紅系になるのは、単一優性遺伝子 Yscrであることが判明している。
しかし、Yscr 遺伝子座のゲノム領域や遺伝子に基づく分子マーカーはこれまで報告されていない。
本研究では、2つの高密度遺伝地図とゲノムリシーケンスによる全ゲノム変異検出を行い、2つの独立した紅果肉色(Scarlet red flesh color)系統と桃果肉色(Coral red flesh color)系統から得られた集団に基づいて、果肉色遺伝子座(Yscr)を第6染色体上の小さな領域にマッピングを行った。
同じゲノム領域に位置する2つの主要な量的形質座が、F2とBC1P2集団に同定され、果肉色の表現型変異の90.36%、75.1%をそれぞれ説明するものであった。
2つの親系統の遺伝的変異に基づき、新たに開発したPCRベースのマーカーにより、Yscr領域を40Kbまで絞り込んだ。
この領域の5つの推定遺伝子のうち、4つはグリシンに富む細胞壁構造タンパク質をコードし、それはスイカの紅色果肉と桃色果肉の間で新しい制御機構を発生させていることを示唆した。

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