「生け花」
「生け花」って、コワい言葉です。
「生かす」って言葉を使うなら、裏を返せば「死なせる」って意味もあるわけですよね。
生け花では実際にそういう考え方をします。
「そんな真剣に考えなくても」や「花はそのままで美しい。」という意見もあると思います。
でも、これが分かるとお花の見方が変わるんです!
花は天才役者
では、花を天才役者だとしましょう。
観客は人間です。
舞台は様々。テーブルの上、マンションの入り口、ブーケなどです。
花の見え方は、実は観客の状態によって全く異なります。
観客が座っているのか、立っているのか、動いているのか、止まっているのかで、花への印象が全然かわります。
その舞台で観客がどういう状態かを見極め、脇役も主役も演じます。
それが、天才役者「花」です。
演出家としてのコワさ
生け花やフラワーアレンジメントの役割とはなんでしょうか。
舞台演出家のようなものです。
舞台や観客に応じて、その役者の魅力を最大限に引き出します。
役者とよくコミュニケーションを図ります。
どの表情が一番美しいのか。
切ってこそ生きる葉、切らずに生かす葉。
それぞれの花の個性について、よく話し合います。
天才役者を死なせてしまうコワさ
演じているのに、死でいる状態。
お客さんがいない状態でしょうか。お客さんにウケていない状態でしょうか。
いいえ。その役者がベストを出せていない状態のことです。
たとえ「脇役」であろうと、主役を引き立てる重要な仕事があり、最高の仕事があります。
本来、花はそれが出来ます。でもベストも尽くせず、誰からもその演技を必要とされないなら、本当に悲しいことです。
若い花も、年齢を重ねた花も(ドライフラワーなど)その状態のベストを引き出してあげないと、ただ年月が経ち、その役者はいつか命の輝きを失います。
生きているのに、死んだ状態となってしまうわけです。
コワさを知って、花を愛する
とは言え、人の手を加えてまで花を美しく見せるのは、人間のエゴのような気もします。
確かに、そうかもしれません。
花は、なぜそれほどの天才役者なのでしょう。
確実に分かることは、人間のことです。
花はあれほど美しく、人間の脳を刺激して止まないデザインがあります。
時間経過による美の変化まで備えています。
だから、人間に出来ることとして、
その花との出会いに、感謝の気持ちを持ちます。
花の命を見守り、大切にケアをします。
その花の生き様を、最後まで思いに留めます。
心からその花を愛し、その花を生み出した地球にも感謝します。
そういう生きた心を持てることが、生け花なのかと思います。
まとめ
というわけで、今後自然に咲いている花でも、アレンジされた花でも、その花が生きているか。と見てみてください。
花の生死を見分けるのは、よく考えるとコワい見方です。
でも、「あ!この花凄い生きている!」とか、「この子は、もっとこうしたら良いのに」とか考えるのは、楽しいものです。
そうやって、心が生き生きした状態になると、感謝が出来ます。
天才役者、演出家、そしてその役者を生み出した親に、心からありがとう。
そういう向き合い方も、花の愛し方だと思います。
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