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大学の国際化の第一歩③

管理人Oです。

本日投稿の記事は『大学の国際化の第一歩③』と題して、前回までの投稿記事で扱った内容を切り口に大学の国際化を担う職員像についてまとめ、大学の国際化に関して雑感を述べていきます。今回初めて3回にわたり同じテーマのもとに記事を投稿しており、長編となっているため、パート1・2を予めお読みいただくことをオススメします。

大学の国際化の第一歩①
https://note.com/kaikaku2021/n/nf78e44ef0862

大学の国際化の第一歩②
https://note.com/kaikaku2021/n/n18ab26bdc73e

前回の記事で具体的なコンテンツを述べたとおり、異文化理解・異文化間コミュニケーション能力を高めるためのプログラムでは、まず自己理解をすることから始め、身の回りの価値観の異なる人々に意識を向け、セオリー・テクニックを含めて異文化間コミュニケーションを実践する手立てを学ぶことができました。

想像に難くないことと思いますが、大学には様々なステークホルダーが存在し、大学の教育・研究の動向に関心を持つ方は多いことでしょう。ステークホルダーの中には、日本国内のみならず、世界の人々、例えば、留学を希望する外国人留学生や共同研究の機会を伺う外国人研究者・海外大学・海外民間企業がいることも珍しくはありません。

偶然にも、今回の一連の記事を投稿するタイミングで、1/28発刊の高等教育情報誌Betweenの2022年1-2月号にて『グローバル人材育成のこれから』をテーマに特集が組まれました。実はこの中に、今までの記事のまとめとして述べようと思案していたことが書かれていました。説得力のある記事でしたので、以下、Betweenの内容を引用させていただきます。

【引用】
グローバル教育の再定義を~大学の持続可能性を高める視点から
ー立命館アジア太平洋大学副学長/学校法人立命館理事 米山裕 先生ー
Between 2022年1-2月号
http://between.shinken-ad.co.jp/between/2022/01/20221-2.html

グローバル化すべきは学生よりまずわれわれ
 学生にとって大学は本来、多種多様な人、文化が集まる環境で自己を開放して試行錯誤を繰り返し、新しい自分を発見し、思考パターンや価値観をブラッシュアップする場であるはずです。これはまさに、グローバル教育がめざす姿だと思います。つまりグローバル教育は、全員対象の、大学教育のコアに捉えられてしかるべきです。
 そのためには、まずわれわれがグローバル化することです。大学の役職者が先陣を切り、欧米に限らず世界全域に対してオープンな姿勢に改める必要があります。そこが変われば教職員が変わり、教職員が変われば学生も変わります。全学的な意識改革には時間がかかります。国の補助金事業を待つのではなく、まず自分たちの意志で始めなければなりません。
10年後も持続発展する世界へ開かれた教育を
 人口減少や市場でのシェア低下をふまえると、世界における日本の存在感は10年も経たずにきわめて薄くなるでしょう。企業ではすでに既存の経営手法が通用しなくなっていますが、大学も同じです。進学希望者を全て受け入れても定員を満たせない時代は目前であり、このままでは衰退しかありません。生き残るには、海外からも若者が集まる世界に開かれた学びの場となり、そこで学ぶ日本人学生も世界に飛び出すことが必要です。大学を通じて日本社会全体を世界に開くことが求められます。

Between誌で米山先生が述べられていたのは、コロナ禍以前から大学で行うグローバル教育には課題があるということでした。中でも、大学の中ではグローバル教育が国際系学部や留学担当部署等の一部に留まっており、さらには、交流するにしても欧米大学を中心とした交流が多く、その影響もあって、英語のコミュニケーションでつまずく学生の自己効力感を低下させてしまい、留学生との交流促進を阻害している、という課題に触れられており、強く印象に残りました。

また、日本国内の進学希望者のみをターゲットにするのではなく、大学経営の未来を見据えて、世界の外国人留学生市場に目を向ける重要性も説かれています。私自身、人口減少が大幅に進んでいる地域に所在する地方の小・中規模大学こそ、海外から学生を獲得し、いち早く世界に開かれた教育・研究を確立する必要があるのではないかと考えています。

日本人学生に対するグローバル教育の実践にまつわる課題、そして、外国人留学生を受け入れ、世界に開かれた教育・研究を展開するための課題のどちらを解決するにしても、米山先生が主張されるように、学生よりもまずは我々教職員が率先してグローバル化していくことが大事だと思います。これこそがまさに、大学の国際化の第一歩と言えるでしょう。

では、教職員をグローバル化する、と言ってもどのようにグローバル化できるのでしょうか。

その答えが、Global Competenceにある、と私は思います。単なる英語によるコミュニケーションではなく、自分自身と、他者の文化的・環境的・人格的要素に意識を向け、固定観念を持たずに違いを理解したうえでコミュニケーションを取るための素養がGlobal Competenceであり、個々人で国際化を実現するためのマインドセットを構築するための重要な基盤であると考えられます。

また、Global Competence Certificateで学んだ内容から、私は、以下のように大学の国際化を担う職員像を思い描きました。
● 自己認識に長けている
● 他者への共感力を有している
● 感情知能(EQ)を備える
● 他者への架け橋となる素養を持つ
これらだけを習得すればよいのではなく、これらの素養を基盤に、多様な人と信頼関係を築ける職員になることが求められるのではないでしょうか。

幸いにもGlobal Competence Certificateに参加・修了することができ、2022年を、自分自身を国際化するためのマインドセットを備えた状態でスタートすることができました。今回の記事で述べたように、学生のグローバル教育、教育・研究の世界展開への貢献を見据えて、学んだ内容を活かしていきたいと強く思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。今後も、大学にまつわるテーマ等、自分の関心に沿って気になることを記事にしていきます。

【管理人O】

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