プロボスト(Provost)って何?

管理人Iです。ガバナンス改革が謳われ、議論が進められている日本の大学業界ですが、今回はそれに関連してアメリカの大学運営において重要なポストであるプロボストの存在について簡単にご紹介したいと思います。個人的な情報の範囲なので、正確さにかける部分があるかもしれませんがご了承ください。
大学において、意思決定には時間がかかるものですが、アメリカでは日本よりも迅速に意思決定が行われていると言われており、それにはプロボストの役割、存在が大きく貢献していると言われています。

プロボストとは大雑把に言えば大学のNo.2という存在になります。学長は理事会から指名され、大学マネジメント全体に責任を持ちますが、同時に寄付金募集などの対外的な活動を行う大学の「顔」としての役割を持ちます。一方で大学の内政的な役割を担うのがプロボストであり、大学のマネジメントはプロボストに委ねられていることが多いです。教学面の担当を担うため教員がなることが多いようですが、予算や人事権などほぼすべての権限を有しています。そのため学部長や、図書館、事務局、産学連携といった組織や施設なども統括し、学長不在の際にはその職務を代行します。つまり組織横断的な意思決定をプロボストが担っています。
教学面に関しては、教授団が決定することが多いため、プロボストは教授団との調整が大きな役割となっています。学長と同様にプロボストは独立したオフィスを構え、副プロボスト(Vice Provost)や補佐なども含めた多くのスタッフを抱えます。

ではなぜプロボストの存在によって意思決定が迅速に行われるのか。アメリカでの大学では理事会、執行部、教授団の役割が明確であり、三権分立により交渉先が明確なので、プロボストが調整に入りやすいと言われています。日本の大学では学部・学科の権限が強く、学長や執行部の影響は限定的になっているなど、中心になって意思決定を迅速に行える存在が不在となっていいます。意思決定を迅速に行うには縦割りを排除し、横の連携をスムーズに行うこと、委員会組織をコンパクト化することも必要でしょう。何もかも委員会に諮ってという形では必要以上にかかってしまいます。

意思決定が速い組織は変化に柔軟に対応できます。遅い組織は競合に対し何周も遅れをとることになってしまいます。各大学においては意思決定の迅速がが重要な課題になってくるでしょう。それに伴い、プロボストのような明確な指揮を執る人材を配置することがより必要になっています。
日本の大学において京都大学や東北大学ではすでにプロボストの設置がされているなど、今後注目されるポストであることは間違いないでしょう。

参考:http://shinken-ad.co.jp/between/backnumber/pdf/2014_6_tokushu07.pdf

【管理人:I】


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