読書記録

管理人Iです。今回は読書記録ということで、1冊ご紹介をさせていただきます。
2021年9月発行、日本の私立大学はなぜ生き残るのか-人口減少社会と同族経営:1992-2030(著:ジェレミー・ブレーデン)という本を読みました。

https://www.amazon.co.jp/日本の私立大学はなぜ生き残るのか-人口減少社会と同族経営-1992-2030-中公選書-ジェレミー・ブレーデン/dp/4121101200


今回の記事では本書籍を読んで個人的に印象的だった部分をご紹介しますので、書籍の主張や内容とずれがあったり、解釈が異なっている部分があった場合は、ご了承ください。またネタバレになる部分もありますのでご注意ください。

【本書籍の印象的な点】
・実際の大学の事例を交えて紹介がされている
本書籍ではとある私立大学の事例をほぼノンフィクションで紹介されています。現在も実在する大学をメイケイ学院大学(MGU)と称し、MGUがどのような形で現在の経営・運営にたどり着いたかが記されています。1992年頃にピークを迎えた学生数の最中、イケイケの経営状態であったこと、それが2000年代初頭に急激に学生数が減り、方向転換をせざるを得なくなったこと、そこからどのように現在の安定的な運営にたどり着いたかの事例が紹介されています。紹介されているMGUの事例はやや特殊な点もありましたが、多くの大学が経験したであろうエピソードが多くあり、興味深く読むことができました。

【本書籍を読んでの感想】
・本書籍では日本の私立大学の生き残りに関して、同族経営を一つの軸として考察がされています。読み始めた段階では、「同族経営は大学の運営に好ましくない」という考察が展開されると予想していましたが、そうではない印象でした。むしろ日本の大学が厳しい時代の中でも生き残っていけた理由の一つとして同族経営があったという主張もあり、私の中での同族経営に関する印象が少し変わった気がしました。本書籍では同族経営だからこそレジリエンスが備わっていたとも表現されていました。

・本書で紹介されるメイケイ学院大学(MGU)は、前述の通り2000年代以降の学生数の急激な減少に立ち向かい、現在では安定的な運営がされています。それはMGUが自分達の立ち位置を客観的に理解し、教育・学生サービスを見直し(選択と集中)、持続可能な運営にたどり着くことができたからというものでした。MGUがそうなれたのは危機感を学内で共有できた(危機感を共有できた人だけが残った)からではないでしょうか。迎える厳しい時代に対し、学内でどれだけ危機感を教職員が共有できるか、という良い事例を見た気がします。

大学の危機的な状況を訴える書籍はこれまでにもありましたが、本書では少し違って切り口で大学の置かれている現状を見ることができました。

今後も大学職員に関連するような書籍の紹介ができれば幸いです。

【管理人:I】

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