梶ピエール

本名梶谷懐(かじたに・かい)。関西の大学で中国経済論を教えています。「梶ピエールのブロ…

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本名梶谷懐(かじたに・かい)。関西の大学で中国経済論を教えています。「梶ピエールのブログ」 http://kaikaji.hatenablog.com/ もご覧ください。

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12月4日の記事

#日経COMEMO #NIKKEI

    • メモ:加藤典洋『もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために』幻戯書房

      大河ドラマ『青天を衝け』を見ていて、加藤典洋『もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために』のことが思い出されたので、特に印象深かった個所をメモしておく。同書92-93頁より。 「『尊皇攘夷』というときの後者、攘夷の思想とは何なのか。私たちは偏狭なテロリズムの思想として、忌み嫌っていますが、これと正面から向き合わなければならない。それが明治維新、つまり日本に近代をもたらしたものの、最初の起点の思想のかたわれだからです」。 「幕末期、日本列島に住む人びとは、日本は何も悪いことをし

      • 許成鋼氏のインタビュー。

        • チベットの人々や文化のことを少しでも知ってください: 小原カルデンさんインタビュー

          インタヴュアー:梶谷懐 (3月28日、東京メトロ半蔵門線住吉駅近くの喫茶店にて) ※このインタビューはNews Picsの記事「忘れられるチベットの受難。日本在住の亡命者が伝えたいこと」の完全版です。 2008年3月に中国チベット自治区のラサで暴力を伴う悲劇(注5参照)があってから今年で10年になる。2008年の騒乱とその解釈をめぐっては、日本国にも含めて、あまりに政治的な言説が飛び交った。カルデンさんもインタビューの中で述べているように、当時は日本でもそれなりに盛りあが

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          原民喜の俳句作品 ―死と愛と孤独そして被爆体験4(梶谷忠大)

          〇貞恵の死と帰郷そして〈原子爆弾〉  昭和二十年一月、民喜は結婚の翌年の昭和九年に妻貞恵と移 り住んだ千葉市登戸町の家をたたんで、故郷広島で家業を継い でいた長兄信嗣を頼って疎開した。そして、八月六日、原爆に 被災した。自宅は爆心地から一キロ余りのところに在った。惨 状の市内に二日過ごした後、すぐ上の兄守夫とともに広島郊外 の八幡村に移った。  ここで俳句作品を見る前に、「原爆被災時のノート」と「夏 の花」のほんの一部をみておきたい。    原爆被災ノート 八月六日八時半頃

          原民喜の俳句作品 ―死と愛と孤独そして被爆体験4(梶谷忠大)

          原民喜の俳句作品 ―死と愛と孤独そして被爆体験 3(梶谷忠大)

          〇俳句作品(承前) 昭和十六年には、〈拾遺十四句〉と〈新作〉と記された句があ る。そのいくつかを示す。    〈拾遺十四句〉より   林檎の皮愛しと見つつ陽炎や   涙より優しく光るこの濠は   ひとりでに戸のあく宵や春の雨 春の句であるが、二句目には季語がない。   土手の地蔵に灯つきたり霙かな 「霙」は冬。寂び寂びとした一景の抒情詩である。   水ぬるみ童子が石を飛ばすなり 太平洋戦争へ突入したこと、闘病中の妻のことなどを考える なら、この一景もまた深い時間をよぎる。

          原民喜の俳句作品 ―死と愛と孤独そして被爆体験 3(梶谷忠大)

          原民喜の俳句作品 ―死と愛と孤独そして被爆体験2 (梶谷忠大)

          〇俳句作品  原民喜が慶応義塾大学予科に入学した大正十三年の年譜のお わりに「この頃蕪村を出発点として俳句をはじめる」とあるが、 その作品はわからない。  全集の年譜には、昭和十年の秋、宇田零雨の主宰する俳誌「 草茎」に参加して俳句の発表をはじめ、以後数年つづける、と ある。全集収録の「杞憂句抄」その一には、昭和十年から昭和 十六年までの作品百三十句と拾遺十四句そして新作八句が収録 されている。その二には、年代の記されてないもの五句、昭和 十七年から昭和二十年までの八十八句、

          原民喜の俳句作品 ―死と愛と孤独そして被爆体験2 (梶谷忠大)

          原民喜の俳句作品 ―死と愛と孤独そして被爆体験 1(梶谷忠大)

          〇はじめに  原民喜には多くの短篇やエッセイまた童話や小説、さらに詩 集などがあるが、何よりも広島原爆を羅災した体験を記した小 説「夏の花」によって知られている。  今回私の書架に暫く眠っていた『原民喜全集』を手にして、 第三巻に収録されている「杞憂句抄」その一、その二、および 〈原子爆弾〉の句(あわせて二百十七句)を見出して胸がとき めいた。  それらの俳句作品をたどりながら、民喜の内包する死と愛と 孤独そして被爆体験の現実に触れてみたいと思う。 句をとり上げる前に先ず『原

          原民喜の俳句作品 ―死と愛と孤独そして被爆体験 1(梶谷忠大)