柊木快維

愛媛大学俳句研究会・短歌会代表。

柊木快維

愛媛大学俳句研究会・短歌会代表。

最近の記事

The Melancholy without Haruhi Suzumiya(短歌23首)

昨年12月につくった個人ネットプリントを加筆修正したものです。  ◇ The Melancholy without Haruhi Suzumiya  柊木快維 神さまのチラシを配るおじさんの額を伝う汗のきらめき 老いた光の《生まれたときの光景をみたことがある》的解像度 歯が肌をつらぬくときの:病院の匂いの:甘く静かな記憶 難病はたちまちきみを魅力的に変えた 桜の舌が裂かれる 薔薇園で接吻している僕たちはTikTokを見たことがない 十代を思い出すとき脳内に流れ

    • 【試論】緻密に設計された欠陥―『ポリフォニック・剥落』を読んで―

       ツマモヨコさんと仲内ひよりさんが発行したZINE『ポリフォニック・剥落』を読んだので、その感想を簡単ながら書きたいと思う。正直なところ、かなり衝撃を受けたというか刺激を受けたというか、デザインや短歌の完成度の高さに終始圧倒されながら読み終わった。 1.仲内ひよりさん:〈口語感覚と短歌定型のジレンマ〉  仲内さんの歌にはリフレインが多くて、これは口語短歌的な特性ではないかと思う。「埋もれる」と「生まれる」が似ているという感覚は、完全に言葉を文字ではなく音で捉えているからこ

      • 【書評】産声と歌声—『Immoral Baby₋Pink Trap』によせて―

        ※本稿は、音羽さんの1st歌集『Immoral Baby₋Pink Trap』に対する書評であり、とくに注記がない場合はすべて、この歌集からの引用です。 1.序文:あくまで不道徳な自分語り  中学2-3年生のときの担任の先生は、道徳の授業に力を入れる人だった。自分で用意した豊富な資料やテキストを活用しながら展開されるその授業で、僕たちは〈道徳〉について旺盛に議論させられた。僕はその先生と個人的に折り合いが悪かったけれど、その授業に対する熱意・愛情は受け取っていたから、比較

        • 好きな短歌3首についてvol.1

          この記事では、好きな短歌3首を紹介しつつ、それぞれについて少しずつ自分の解釈や考えを書いてみたいと思います。 これは別に自分のなかのベスト3!というわけでもなくて、最近妙に気になっていたり、気付いたら真似してしまうような歌を集めています。 批評とか歌評にはぜんぜん満たない、感想・鑑賞なのでお手柔らかにお願いします。 僕はもともと青松輝さんの短歌が大好きで、彼をきっかけに短歌を始めたタチです。んで、最近は歌集『4』に所収されていないこういった歌がとても気になってます。 この歌

        The Melancholy without Haruhi Suzumiya(短歌23首)

          創作という呪い―ルックバック論―

          去年の学生祭用に書いた藤本タツキの読み切り漫画「ルックバック」の論考が出てきたので、ほとんどそのまま掲載しようと思います。 ところどころ拙い文章ですが、結構面白いことを書いてると思います。 これからちょくちょくnoteでも、Twitterじゃ収まらない短歌鑑賞とか俳句論を書こうと思ってるので、ぜひフォローなどしてくれたらうれしいです。 ♢ ヒトは何故創作をするのか。それは「ココロはどこにあるか」という質問と同じで、全くもって本質に迫っていない問いだ。「ココロとは何か」を問

          創作という呪い―ルックバック論―