見出し画像

信号反応

PDFはコチラ↓

器具

ビーカー×2、薬包紙、電子てんびん、2ml ピペット、丸底フラスコ
ゴム栓、薬さじ×3(丸底フラスコ→ペットボトルでもOK)

薬品

ビーカーA(メイン) : 蒸留水 200ml、水酸化ナトリウム 2.0g、グルコース 6.0g
ビーカーB(溶けにくいので頑張る) : 蒸留水 100ml、インジゴカルミン(略称IC) 1.0g

実験の手順

1 ビーカーBの蒸留水に、ICを溶かす。

2 ビーカーAの蒸留水に、上記の薬品を溶かし、全て丸底フラスコに移し替える。

3 ビーカーBの溶液をピペットで0.8mlとり、丸底フラスコに入れ,栓をする。

4 振ったり放置したりして、色の変化を観察する。

原理説明

この反応は酸化還元反応である。
酸化は、ある物質から電子を奪うこと、還元は、ある物質に電子を与えることで、両者は逆の関係。

最初、IC溶液は青色だったが、水酸化ナトリウム溶液によって溶液が塩基性になっているので、緑色になった。

次に、グルコースから生じたグルコシドイオンG-がICを還元させたことによって、緑色から赤色、そして黄色へと変化した。

その後、丸底フラスコを振って黄色→赤色→緑色と変わったが、これはフラスコ中の酸素によってICが酸化されたことによるもの。

振るのを止めると、緑色から赤色、黄色になったが、これはG-が再び還元させたことによる。

・この反応は、還元剤となるG-が持続するまで続く。
・全てのG-がグルコン酸イオンGO-になった時点で終了する。
・見方によっては、ICは(珍しい)有機触媒として働いているともとれる。

ICは一晩放置しておくと橙色に変化し、1月ほど放置しておくと赤褐色に変化する。これは、塩基性条件下で、ICが分解して生じたアミン(アントラニル酸誘導体=ベンゼン環にカルボキシ基、アミノ基、スルホ基がそれぞれ1,2,5の位置についたもの)と、還元剤のグルコースとが、メイラード反応を起こすかららしい。

また数ヶ月経過すると、ICは酸素ラジカルによって退色する。

・インジコはアイの葉からとれる天然色素であるが、水に溶けにくいため、スルホ基-SO3Hを導入して溶けやすくしたのがインジコカルミン(略称IC)である。
・ICは酸化還元の指示薬、青色2号、ジーンズなどの染色や内視鏡検査にも用いられる。
・最近は有機溶媒としても注目されているという。

詳しくは以下のリンクをご覧ください。


参考

小畠りか・大場茂「インジコカルミン水溶液中の信号反応および分解退色」

木村朋恵 他「インジコカルミンを用いる酸化還元反応と化学教材への応用」


高2 山口


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?