見出し画像

母斑症のまとめ

母斑症とは神経堤細胞の発生異常(異常増殖)由来の腫瘍性疾患である。多くは常染色体優勢(AD)遺伝である。(例外はLouis-Bar症候群:AR遺伝、Bloch-Sulzberger症候群:XD遺伝、Sturge-Weber症候群:非遺伝性、神経皮膚黒色症:非遺伝性)
発生異常のため、神経堤由来の身体のさまざまな部位で症状が出ることが多い。

神経堤由来の身体組織や細胞としては、

・メラニン細胞
・末梢神経(感覚神経節、交感神経および消化管の神経細胞)
・シュワン細胞、神経膠細胞、
・副腎髄質細胞
・脳神経節の神経細胞
・顔面と前脳の血管平滑筋

などがある。母斑症の病変は全身のさまざまな臓器にわたり、病態を把握するのが難しいが、発生学と絡めると「なぜ顔面の血管腫と神経腫瘍、褐色細胞腫が?」のような疑問になんとなく納得がつくかもしれない。

神経線維腫症

cafe-au lait斑が有名。1型と2型がある。

神経線維腫症1型(von Reckinghausen病)
多発する末梢神経の線維腫、虹彩過誤腫、視神経膠腫が特徴。

神経線維腫症2型
両側の聴神経鞘腫脳神経・脊髄神経の神経鞘腫、若年性の白内障が特徴。

結節性硬化症

身体のいろいろなところに過誤腫ができる。過誤腫とは、組織の正常細胞が異常増殖する現象で、腫瘍と奇形の中間といわれることが多いらしい(腫瘍的に増殖している奇形?)

結節性硬化症はWest症候群(点頭てんかん)を合併することが多い。
点頭とはうなずきのことで、West症候群はスパズム発作・脳波ヒプスアリスミア・発達遅延の三徴のうち二つ以上を満たすものとされている。

Sterge-Weber症候群

脳軟膜血管腫による痙攣発作、顔の毛細血管奇形による赤い痣、眼圧上昇による緑内障を特徴とする。非遺伝性。

von-Hippel Lindau病

脳・網膜の血管腫を特徴とする。ほか顔面の血管腫、副腎褐色細胞腫腎嚢胞や腎がん、内耳リンパ嚢胞性腺腫などを生じることがある。

Peutz-Jeghers症候群

胃以下の過誤腫性ポリポーシス口唇・口腔・指尖部の色素斑を特徴とする。

Louis-Bar症候群(ルイ-バー症候群、毛細血管拡張性運動失調症)

顔面・眼球結膜の毛細血管拡張、小脳萎縮が特徴。AR遺伝

色素失調症(Bloch-Sultzberger症候群)

炎症期、疣状苔癬期、色素定着期の皮膚症状病期がある。中枢神経症状、眼症状も。XD遺伝

神経皮膚黒色症

巨大色素性母斑メラノーマ、脳実質・軟膜のメラノーマ、水頭症。非遺伝性

まとめ

本当にこんなにたくさん覚える必要があるのだろうか?Peutz-Jeghersまでは覚えておいた方がいいと思うが、Louis-BarとBloch-Sultzbergerと神経皮膚黒色症については国試レベルなのか疑問である。多くはAD遺伝であることを覚えておこう。
(本記事は僕個人の勉強のための記事であり、当事者やご家族への情報提供をはかるものではございません。間違いや追加がありましたらぜひ教えてください。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?