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【処遇改善加算】コロナ禍の今、介護職の給料はあがったのか?

数年前より度々、介護職の賃上げについて、ニュースになっていることがあります。では実際にここ数年、介護職の給与はあがったのでしょうか。この記事では処遇改善加算から、コロナ禍の今、介護職の給与についての変化をまとめています。

福祉・介護職員の処遇改善・処遇改善加算とは

介護職の給与に関わる国の対策として、『処遇改善加算』とよばれる制度が存在します。
まず、処遇改善加算がどのようなものかをまとめます。正式には『介護職員処遇改善加算』という名称です。一般に介護職と言えば、精神的にも身体的にも大きな負担がかかる仕事である、というイメージをお持ちの方も少なくないはず。その一方で、介護職の給与は低い傾向にあるとも聞いたことがあると思います。パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」(*1)によると、近い将来医療福祉の分野で不足する人材は187万人との結果に。介護職の処遇や労働環境に対し、決してプラスばかりではないイメージがあるようですから、介護職の人材不足を避けるために、介護職員処遇改善加算が設立されました。その目的としては、介護職として働きやすく、仕事にやりがいをもつことができるようにするもの。具体的には介護職の給与がアップするという制度です。今後に向けて、介護職者を増やすという目的だけではありません。現在介護職に就いている方々が、定着し仕事を続けていけるよう、環境作りを整えることも目的とした制度でもあります。

どんな人が対象となる制度?注意すべき点は?

ご自身が対象となる制度か、と疑問に思う方も多いはず。次に、介護職員処遇改善加算が、どのような方が対象となる制度であるか見ていきます。
当制度の対象は介護職の方ほぼ全てです。「介護職に従事する介護職員」(*2-①,2-➁)と厚労省の提示に明記されています。
また、パート社員や派遣社員、契約社員の職員でも、雇用形態を問わず対象となります。また注意をするべき次のような点があります。

  • 介護業務を兼業していない管理者、看護師、ケアマネージャー、事務スタッフは支給対象から除外される(*2-①,2-➁)

  • パート社員の場合、加算をうけることで扶養を外れてしまうケースが存在する

  • 対象にあてはまっていても、経営側の判断により支給されないことや、支給額に差が出ることがある

  • 介護職員処遇改善加算について、管理者から何らかの手段で職員に周知されているか

就業規則等に介護職員処遇改善加算について記載があり、介護職員処遇改善加算の項目で給与明細に記載されているか。
現在9割程度の事業所が介護処遇改善加算を取得していると言われています。とはいっても、介護処遇改善加算を取得していない事業所も存在しています。
介護処遇改善加算を受けるためには、国に要件を満たした状態で、事業所ごとに申請をする必要があります。
個人での申請はできません。また、処遇改善加算のために取得したお金に関して、事業所が、職員支給以外の他の目的に使うことはできません。
支給以外に使用した場合、違法行為となります。国より、介護職員処遇加算を受けている事業所は、実績の報告書を提出する義務が存在します。

どのくらいの給与アップが期待できるの?

では、実際に介護職の給与アップはどのくらい期待できるのでしょうか。ここで、介護職員処遇改善加算を取得するための要件について押さえておきます。加算取得に際し、要件をいくつ満たしているかにより、次の加算Ⅰ〜加算Ⅴの5つに区分されることになっています。(*2-➁)

(*3)厚生労働省「介護職員処遇改善加算」のご案内https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000199136.pdf)を加工して作成

要件を全て満たす加算Ⅰに該当する場合、介護職員一人当たり、月額3万7千円相当の加算を事業所は、受け取ることができます。また最低でも月額1万2千円相当の加算が受け取れることになります。

各加算の区分に分けられるキャリアパス要件と職場環境等要件については、次の通りです。(*2-➁)
・キャリアパス要件
Ⅰ.職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
Ⅱ.資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
Ⅲ.経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること

・職場環境等要件
賃金改善以外の処遇改善(職場環境の改善など)の取組を実施すること

介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅴいずれかを取得している事業所において勤務している常勤職員は、平成31年から令和2年の2年間の間に平均給与額について、15,730円の増額が見られています。(*4) 

最後に注意すべき点としては、介護職員処遇改善加算として事業所に入った加算分全てが、全職員の給与に、そのまま反映されるわけではないということです。支給の方法や、手当給付の時期、介護職員各個人の金額は事業所により差異があります。

まとめ

処遇改善加算とは、超高齢者社会である日本において、介護職員を確保するために職場環境を整え、給与アップを目的とし設置された制度です。対象は全介護職員で、雇用形態も問われないことがポイントで、介護業務を兼業していない管理者、看護師等は該当しません。介護職員処遇加算を取得している事業者にもよりますが、ここ数年でも平均的な給与額があがっていることがわかります。将来的にも、必要性が約束されていると言われる介護職。国も処遇改善加算のような制度を導入し、今後さらに魅力的な仕事になっていくことが期待されます。あなたも一緒に働きませんか?

参考サイト
(*1)パーソル総合研究所・中央大学パーソルhttps://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/roudou2030/
(*2-①)厚生労働省:介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに 事務処理手順及び様式例の提示について 
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000199135.pdf
(*2-➁)厚生労働省:「介護職員処遇改善加算」のご案内
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000199136.pdf
(*3)厚生労働省「介護職員処遇改善加算」のご案内https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000199136.pdf)を加工して作成
(*4)厚生労働省 令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/20/dl/r02gaiyou.pdf



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