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あんな選手がフィールドに立つと、必然的にボールは彼に吸引されます。ほらもう、あっという間に選手に浸透しましたね。義経選手がボールを持ったら、自分はスペースを見つけて走り込んでいけばいいだけ。エスペリオン全員が前を向きました2

「ジジとまた逢えるのは、嬉しい事だ。彼には、プロとして大きな尊敬の念を抱いているし、友人としても大きな愛情を感じている。」

 「アンチェロッティ?誰を応援するべきか分からない時は、アンチェロッティを応援してほしい。厳しい世界において、自然と称賛を勝ち取った人物だ。他の人が持っていない何かを持っているのだと思う。」


 18/19シーズン、当時ナポリ指揮官であったアンチェロッティが、前日会見でパリでチャンピオンズデビューを飾るブッフォンに送った賛辞と、これに応える形でブッフォンが贈り返した賛辞です。




 「お楽しみは、これからだ。」

 02/03チャンピオンズ、ベスト8試合前に流れたWOWOWのこのシーンが、私は忘れられません。

 1998フランスワールドカップ・オランダVSアルゼンチン、19/20チャンピオンズ・パリVSアタランタ『ハイキュー』鴎台VS烏野等、その大会の好ゲームはベスト8で行われる事が多いです。


 23/24シーズンのチャンピオンズも、ベスト8が行われました。

 私は、チャンピオンズやワールドカップ・EUROにおいて、試合以上に、試合前に選手同士がコミュニケーションを取る場面やアンセムや国家を選手がどのように歌うのか、若しくは向き合うのかを観る事が大好きです。


 

 結論から言うと、今年は「物足りない」という感想です。

 試合前、否、試合中も含めその笑顔で相手選手までも包み込むようなジジやラモスはもう居らず、アンセムが流れる中世界中からの視線よりも存在感のあるたった1人の男・ロナウドの姿もなく、アンセムが流れてもいつもと何ら変わる事のないフットボール史上最高の選手の姿もありませんでした。

 国家においても、ジジ・キエッリーニ・ボヌッチが隣の選手の肩を強く持ち身体を大きく揺らしながら大声で歌うイタリア国歌も、過去のものとなってしまいました。

 寂しさのあまり、メッシ・ネイマール・ラモス・ヴェラッティ等がいる昨シーズンのパリのアンセムだけを観てしまいました。


 自分が守る立場であれば、エムバぺ・デンべレは最も対峙したくない選手ではあるものの「夢の舞台」や「人生」という観点からは、物足りません。


 

 フットボールが進化し、退屈な試合はなくなったものの、特別興奮する試合もなくなってしまいました。

 

 マドリーVSシティの試合においても、最も興奮する光景は選手同士ではなく、アンチェロッティとペップがハグをする場面でした。

 ハーランドが、必死に守備するシーンを観ていると、私はどこかガッカリしてしまいます。

 その守備がチームを鼓舞する為のものであれば「王」の仕事ですが、1人の選手に与えられた役割であるのなら、それは「王」のやる仕事ではありません。



 今年のチャンピオンズで興奮したのは、何故かバイエルンに所属していたダイア―が、エミレーツでボールを持つ度にブーイングをされていたシーン位です。

 余談ですが、スパーズ時代パフォーマンスの不調から物に当たっていたデリ・アリに対し「お前は、いつもそうだ。」と唯一指摘をする等、私はダイア―を人として好きですが、選手としては特別優れていないと評価しています。

 個人の能力であれば、確実にキム・ミンジェやウパメカノに劣るダイア―ですが、両選手の故障・不調等も相まって、バイエルンに移籍出来、何故か試合に出場している所が、いかにもダイア―らしく、彼を10年以上観ている私としては、つい笑ってしまいます。




 フットボールの醍醐味とは、どれだけ屈辱的な敗北をしても、どれだけ痛烈な批判をされても、どれだけの裏切りにあっても、その数日後には何食わぬ顔でピッチに現れ、そのプレイで、そして、その存在感で、世界中を黙らせる男達の生き様を観る事であると、私は思っています。


 そこには、フットボール以上の「人生」が詰まっています。

 それには「夢の舞台」に足る男達の存在が欠かせません。


 

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