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介護現場、業務を割り振る難しさ〜仕事に思いやりをのせて〜 

介護現場に入ってから今まで、入浴介助に携わる機会が多くあります。

チェア浴、寝台浴、リフト浴、大浴場、個浴、様々な入浴方法を経験することができました。

入浴の順番にこだわりがある方、入浴が面倒だと行きたがらない方、こだわりがあって洋服を10枚以上も着こんでしまう方や、洗う手順が細かくある方、様々なご利用者さんと関わることができたのも楽しかったです。

どの介護施設に行っても感じるのは、入浴のスケジュールが良いテンポで回せている現場は、他の業務も割とスムーズに遂行できているような印象があります。

午前中はバタバタするから、午後が良いというご利用者はそのように対応。いつでも良いよという方で、処置がある方はナースが来やすい時間帯に。入浴後にお食事まで少し休みたいという方は、入浴を開始して早めの時間に、、など臨機応変にスケジュールを組みながら、それに柔軟に対応する意識がある現場は、ご利用者にも職員にもストレスが少なく行えていた印象でした。

また、ご利用者に伺って、入浴中にシーツ交換をさせてもらい、戻ってきたらすぐ休める環境づくりなどに努めていました。

入浴担当と、フロア担当の意識が切り離されることなく、一体となって業務に取り組めていたように感じます。

また、入浴までに着替えを準備してくれたり、事前にトイレのお声かけやバイタル測定を行ってくれたり。入浴から帰ってきたご利用者に飲み物を提供してくれたり。

みんなが業務に思いやりの気持ちをのせながら動けていたことで、ご利用者にも負担が少なく行えていたように感じます。


しかし、入浴業務がなかなか良いテンポで回せない現場では、だいたいが固定職員が担当している印象です。

このような現場は、入浴業務を行う職員の出勤に合わせて入浴スケジュールが組まれます。そのため、担当に当たらない職員の意識からは切り離されてしまい、独立?孤立?しているケアになってしまうと感じます。
入浴介助も、ケアの一つなのに、固定職員がやるものという意識になってしまうのです。

この固定職員が入浴を回すケースは、

①その現場に長くいるスタッフで、入浴介助が大変だからやりたくないという人だと、暗黙の雰囲気で担当をふらない事がある。

②勤務形態により優越がついてしまう雰囲気がある。
これは夜勤や遅番などフルタイムに入れる職員の意見が通りやすくなってしまう雰囲気です。

③リスク面や、職員の入れ替えなどで、入浴担当を割り振れない職員がいる状況。

様々な理由がありますが、だいたいはこれらの理由で業務に偏りが出る現場が多かったです。

入浴業務も、フロア業務も、大変さに優越はないと思います。固定職員が行うことで、入浴介助の現状を他職員と共有できず、とても孤立したケアになってしまいます。

たくさんの介護者が関われる施設介護の良さは、こういう点に出ると感じました。

ケアの在り方について、複数の職員と共有し考察できる。ケアに偏りが出ないようにチームで行うことで、介護者の負担を分配し、冷静なケアに努めることができると感じました。

1人のご利用者が週2回入るという目先の数字に縛られてしまい、忙しくなるとただ2回こなせばいいという雰囲気になる時もあります。それを勤務事情を考えながらも、ご利用者の立場に思いを巡らせながら、遂行できるように考えていく難しさもあります。

パワーを要する入浴業務ですが、ご利用者みんなが笑顔になるお風呂の時間。
リラックスして、普段できない話をしてくれる場でもあります。

ケアひとつひとつを、大事にできるフロアを目指すためには、介護現場ではなかなか難しい力量管理の課題が浮き彫りになります。

みんなが繋いでいく時間、ケアのリレーが、ご利用者にとって居心地の良い時間の流れ方になるように。
そして、職員が感じる大変さもやりがいに繋げられるように。

そのために、ケアの在り方を考え続けていきたいと感じます。

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