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介護タクシー介護報酬遷移

タイトル画像は「2024年介護タクシーが含まれる訪問介護がマイナス改定になったため、がっかりした」という気持ちを表しています。
時々更新しております。
前回の記事で「 介護タクシー急な依頼」についてお話しいたしました。

今回は「 介護タクシー介護報酬遷移」についてお話しいたします。


3年に1度の介護報酬改定

介護保険は報酬制度です。
介護サービスを提供することで介護報酬を事業所が受け取り、それが介護員の給与にも反映されます。
介護職員処遇改善加算も浸透してきましたが、更なる簡素化を希望します。
2024年は3年に1度の介護報酬改定年度。
4月から介護タクシーに限らず、介護報酬改定が実行されます。
言わせてもらえば、計画等の書類提出を促すのならもっと早く提出様式を提示すべきです。

介護タクシーおさらい

介護タクシーは介護保険タクシーとも呼ばれますが、車両は普通車でも車椅子専用車でも介護保険の対象となります。
介護タクシーの制度上の名称は通院等乗降介助です。

当事業所で15年以上前に使用していた車椅子専用車輛。
利用者の他に同乗者は1名(助手席)のみ可能でした。

介護報酬改定

上記を踏まえて、介護タクシー(=通院等乗降介助)の介護報酬について解説します。
3年に1回の大改定の他に、消費税率変更時の介護報酬改定、介護職員処遇改善加算等各種加算が変更となる際も介護報酬改定となります。
介護タクシーは実績への対価報酬制度です。
他の介護サービスと比較してどれほどの報酬額なのでしょうか。

介護報酬とは?

介護保険制度では医療と同様に報酬という言葉が使われています。
報酬を辞書で調べると「労働や仕事、骨折りなどに対する謝礼の金銭や物品。お礼」となっています。

保険報酬の変遷

結論 介護報酬には波がある。
厚労省が定期的に各サービスの利益等を調査し、有識者の意見を伺い、調査内容を参照して必要なサービス内容、新たなサービスなどを決定しますが、夜間対応訪問など新しいサービスに対して手を挙げる事業所がほとんど無かったなど、現場に即さない改定も多々あると感じています。

2015年の報酬改定では、ほとんどの介護サービスの報酬が下がりましたが、介護タクシー(=通院等乗降介助)も例外とはならず下がりました。
1,010円→970円

2018年の報酬改定では、10円アップの980円となりました。
970円→980円
1割負担の方は自己負担が1円増えるということです。

今後、報酬はさらに下がることも予想され、事業としては成り立ちづらい、厳しい運営が強いられそうです。
全国的にも撤退する事業所が多くなっています。

2003年頃から現在2024年までの介護報酬単位数
97→98→99まではよかったのに…97っていったい?
期待していた100は? 訪問介護事業所廃止増加が懸念されます。

上記をまとめます。
2015年3月まで通院等乗降介助の報酬は1,000円~1,010円でした。
ところが2015年4月からの報酬は970円。
かなりのマイナス改定、一気に40円も下がったことになります。

今後の改定ではプラス改定になることは無いだろうと思っていましたが、以外にも2018年4月からは980円と10円のプラス改定となりました。
個人的には10円の改定なら、改定しないほうが事務的負担が少ないと思っています。
ちなみに2018年はデイサービス、生活援助などはマイナス、訪問看護など医療連携関係サービスはプラスとなり、事業所にとっては悲喜こもごもの内容となっています。

2024年度改定後の主な訪問系のサービスとの報酬比較

介護タクシー(=通院等乗降介助)の報酬は他の介護保険サービスと比較すると、どの程度のものなのでしょうか。
以下は2024年度4月からの基本的な時間設定です。

  • 訪問介護

    1. 身体介護 20分以上30分未満 244単位

    2. 生活援助 20分以上45分未満 179単位

    3. 通院等乗降介助  1回 97単位

  • 訪問リハビリ 20分未満 308単位

  • 訪問看護 20分以上30分未満 471単位

  • 訪問入浴 1回 1,266単位

単位数の10倍が介護報酬となります。
物価などを考慮して、地域により異なります。
1単位の単価は8項目に細分化されており、東京23区は1級地、その他と比べて20%増しの報酬が獲得できます。
下記のサイトが分かりやすいです。

訪問看護は高めの報酬設定
訪問看護は、定期的に看護師がバイタルチェックはもちろん、注射や点滴、医療相談などの看護業務、清拭や排泄介助などを行います。
正看護師または准看護師の資格が必須なため、かなり高めの設定となっています。訪問看護事業所でリハビリや入浴介助を行うことは珍しいことではありません。

訪問リハビリも高めの報酬設定
訪問リハビリは、理学療法士(PT・歩行や起き上がりなど基本動作の機能回復を主に担当)、作業療法士(OT・食事や入浴など日常生活動作の機能回復を主に担当)、言語聴覚士(ST・言葉や発語の機能回復を主に担当)などがリハビリの指導を行います。
PT、OT、STは国家資格であり、取得までの道のりが大変ということもあり、訪問看護同様高めの設定となっています。
通所リハビリと比較すると利用者は少ないです。

訪問入浴も高めの報酬
訪問入浴利用時は看護師が必ずいなければなりません。
複数人で入浴介助にあたるということもあり、なかなかの高めの設定となっています。
通所サービスに通うことができない寝たきりの方が利用するケースが多くなっています。

訪問介護では身体介護が高めの報酬
訪問介護では身体介護(入浴介助や排泄介助など身体に関わる介助)が2,440円と比較的高い報酬となっていますが、清掃・調理・洗濯などの生活援助は45分まで1,790円とかなり低くなっています。
更にどんなに長くサービスしても2,200円という事業所にとっては辛い報酬と言わざるを得ません。

通院等乗降介助の報酬は?

さて肝心の介護タクシー(=通院等乗降介助・訪問介護に含まれる)ですが、他の訪問サービスと比較するとかなり低めの設定となっています。
時間の設定はなく、5分でも20分でも970円です。
主な介助内容が車椅子移乗や車椅子移動、手引きなど一部介助と比較的軽介助で、平均10分程度の介助時間であるからだと思われます。
再度1,000円になることを期待します。

今回は「介護報酬改定遷移」についてお話しいたしました。

次回は「介護タクシーサービス提供責任者」についてお話しいたします。

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