サービス付き高齢者向け住宅経営の5つの間違い
戦略がズレているブッ壊れ事業計画
老人ホームの経営がずっと赤字続きで、どうにかならないか?と、相談をいただくことがよくあります。
多くの介護施設は、多少なりとも利益が出ているものです。
しかし、その中で赤字ということは、そもそもの戦略(顧客設定や、集客方法、売上の立て方など)がズレているケースが多い。
特にサービス付き高齢者向け住宅や、住宅型有料老人ホームは他の介護事業を比較してやや複雑なため、戦略を間違えると何をやってもうまく行かなくなります。
よく見かけるサ高住の間違い
まずは、よくあるサ高住経営の失敗例からお伝えします。
① 相場よりも家賃が高い
② 施設の生活支援サービスとして、介助サービスを行っている
③ 夜間に訪問介護サービスを提供できていない
④ 自費サービスの料金が高い
⑤ サービス計画がケアマネ任せになっている
細かな失敗は沢山ありますが、経営上の大きな失敗は上記の5つです。
具体的な課題とその対策をそれぞれ解説します。
① 相場よりも家賃が高い
家賃の決め方はいくつかありますが、結局のところ相場より高い介護施設は入居がなかなか進みません。
自分が家を借りるときのことを考えると分かりやすいかと思います。1万円も家賃が高いと、気に入った物件であっても躊躇するはずです。
通常の住宅の場合は、最寄り駅までの距離や、物件の広さ、間取りなど選択するときの要素が沢山あるので、多少相場よりも高くても契約される可能性はあります。
しかし、高齢者住宅の場合は、ほとんど一緒です。基本的には、部屋が18㎡または13㎡程度。共有の食堂とお風呂がついている。
高齢者住宅も細かい違いはありますが、ほとんどの場合は住んだ経験のない方が選ぶために、その違いは認識されません。
結局、家賃で選ばれてしまいます。
だから、相場よりも高い施設は入居率が悪いのです。
② 施設の生活支援サービスとして、介助サービスを行っている
結論としては、訪問介護で提供できる種類のサービスは、なるべき保険を使ってサービス提供した方が良いということです。
保険を使わない場合、料金は法人側で決定できます。
料金が高すぎる場合、利用者の負担が大きくなるため、他の老人ホームへ転居してしまいます。
逆に、料金が安すぎる場合、売上とコスト(人件費)が合わなくなり、赤字の要因となります。
介護保険は、売上10割、利用者支払額がその1割という特徴があります。そのため、どのような料金設定にしても介護保険の金額設定にはかないません。
だから、訪問介護で提供できる種類のサービスは、なるべき保険を使ってサービス提供した方が良いのです。
実際に施設経営をしている方からすると、当然のように聞こえるかもしれませんが、コンサルタントから見ると取りこぼしが意外と沢山あります。
利用者からしても、保険適用できるのに自費請求されたら、たまったものではありませんので、そこはシビアに見直しをしていただくと良いです。
③ 夜間に訪問介護サービスを提供できていない
日中は訪問介護によって、サービスを提供する。けれど、夜間は訪問介護のサービス提供時間外になっていて、サービスは介護施設として提供しているというケースがよくあります。
これも②と同様です。
夜間に有資格者をしっかりと配置して、夜間も訪問介護としてサービスを提供することが、施設経営において絶対条件です。
④ 自費サービスの料金が高い
①の家賃のところでも、記述しましたが、相場よりも高い料金設定は基本的にNGです。
これは、食費や生活支援費、光熱費なども同様です。
この部分で相場より高く設定すると、結局集客で躓くため、入居率が上がらず売上の低下を招きます。
⑤ サービス計画がケアマネ任せになっている
多くの介護施設は、実際にこの失敗に陥っています。
サービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームの場合、基本的には在宅扱いのため、ケアマネジャーがケアプランを作成し、それに基づいて介護を提供します。
ケアマネジャーに任せるというのは、確かに当然の流れではあります。
しかし、ケアマネジャーも完璧に利用者のことを把握しているわけではありません。
在宅の場合は、同居している家族の方が利用者の状況を把握できているでしょう。
それと同様に、施設の場合は、毎日顔を合わせている職員の方が利用者の状況を良く把握できているはずです。
そうすると、排せつ介助や起床介助を、本来は何時に提供するのが望ましいかということを、施設の職員の方がよくわかっているのです。
それにもかかわらず、ケアプランの作成をケアマネジャーに任せているのは、利用者のためにはなりません。
利用者ファーストで考えて、施設側からケアマネジャーに対して、サービスについて提案することが求められます。
「施設だから何でもやってくれる」と考えているケアマネジャーも中にはいます。そのようなケアマネジャーは介護単位を節約する傾向にあります。
このあおりを受けて本来もらえるはずの介護報酬がもらえないという悪影響を受けている施設も少なくありません。
あくまでも利用者ファーストであることを意識して、介護側からサービスをケアマネジャーに提案することで、そのような報酬の取りこぼしが無くなります。
是非、自分たちでプランを組み立てることにチャレンジしてください。
最後に
戦略がズレていると、いくら頑張っても成果が出ません。
売れない商品を、必死で営業マンが販売しようとしても、結果が出ないのと一緒です。
施設経営に苦労している法人は、やり方を見直す前に、そもそもの戦略の見直しから行っていただけると良いかと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?