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たくさんの人と手をつなぐことは、とても悲しいことだから

僕は立ち続ける
つなぎあうこともなく
流れあうこともなく
きらめく恒星のように
立ち続けることは苦しいから
立ち続けることは楽しいから
朝日のような夕日をつれて
ぼくは ひとり
ひとりでは耐えられないから
ひとりでは何もできないから
ひとりであることを認めあうことは
たくさんの人と手をつなぐことだから
たくさんの人と手をつなぐことは
とても悲しいことだから
朝日のような夕日をつれて
冬空の流星のように
ぼくは ひとり

鴻上尚史の戯曲「朝日のような夕日をつれて」から。5人の男が上のセリフを群唱するシーンからはじまるらしい。舞台を見たことはないけれど、ネットで上のセリフを見つけた時、なんて美しい詩なんだろうと思った。

ひとりでは耐えられないし何もできないから、たくさんの人と手をつなごうとする。それなのに、手をつなげばつなぐほど、自分がひとりであることがわかる。希望いっぱいの朝日をつれていたつもりなのに、一日の終わりを告げる夕日をつれている。それでも私たちは立ち続ける。そして、人と手をつなぎ続ける。

「人として生きるということ」が凝縮されている気がして、この文章を読むたびに胸がシンとします。



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