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税務署とOB税理士の癒着は絶対に無くならない理由を解説します

皆さんこんにちは。
私は主にブログで元国税として国税のあまりにも時代錯誤な職場環境や人事が知られたくないであろう仕事内容の一部をこっそりと紹介しています。興味がある方はプロフィールからブログに飛んでくださいね。

今回はブログに書けない国税記事第1弾ということで国税組織の闇ともいえる「税務署とOB税理士の癒着問題」について解説します。一人でも多くの方に考えてもらいたい問題でもあるので本記事は無料で公開しています。

国税OBとは?

国税で働くメリットとして勤務年数次第で「税理士資格の付与」があげられます。

10年又は15年以上税務署に勤務した国税従事者は、税法に属する科目が免除されます。
23年又は28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、会計学に属する科目が免除されます。

税理士の資格取得 - 日本税理士会連合会 (nichizeiren.or.jp)

大卒で「国税専門官採用試験」に合格した場合の人でいうと10~15年で税法3科目免除、23年勤務で会計学2科目の免除を受けることができ晴れて税理士になることができます。

この制度を利用し税務署を退職した後に税理士として働いている者を「国税OB」と呼んでいます。

国税OBの役割

国税OBの役割と言っても普通の税理士とは何ら変わりません。納税者に適正な金額を納税するようにアドバイスなり申告書作成なりをして報酬をもらうというものです。これに加えて国税OBの場合税務調査立ち合いや税務署からのお尋ねなんかに関しては知識がある分優位に立てるのではないかと思います。

国税OBと税務職員の癒着とは

ここからが本題ですがしばしば税務職員と国税OBとの間で「癒着」が問題となることがあります。
調査着手前あるいは調査中に納税者の知らないところで調査の落としどころについて事前に取り決めをするといったものです。

これは税務署の現場レベルでも今もあります。

実際に目にした事例

私は法定監査を担当する部署に当時おりました。
そこで部門のとある職員が社長に監査の連絡と日程調整をしたところ後日そこの関与税理士が署に「挨拶」に来ました。

この関与税理士というのは当時の部門の長でもある「特別国税調査官」とかつて一緒に仕事をしたことのあるというほど親しい仲であり、また事前通知をした職員の税務大学校時代の教育官でもありました。

そこで面接室の一室で昔話をしつつ、法定監査についての「打合せ」をこっそりと3人でしていました。

後日この事案の調査経過記録書を読んだところ、
「関与税理士は資料の管理方法、活用方法についてこと細かに質問をしてきたものの、最終的に理解を示し代表取締役からも同様に資料提供への理解を得た」
とさも税理士とやりあった挙句取引資料の提供の協力を得た、なんて書いてありました。

これはハッキリ言ってプロレスです。事前に取引資料の狙いや、当日のやり取りなんかはある程度段取りを決めていたんだと思います。もちろん私は面接室での密会には同席していませんからあくまで推測ですが。

OB税理士のほうも関与先を守るなんてのは建前で、後輩に花を持たせてやりたいために、最終的には国税の取引資料の提供を飲んでいますし国税に協力してしまっているわけです。本当に顧客のことを思っていれば「法定調書は提出義務があるもののそれ以外の取引資料の提供は任意だから受けるか断るかは社長次第ですよ」なんて言えばいいだけですから。本当に関与先のことを考えていたらきちんと真実を言うのが筋だと思います。

こんな茶番の後に「社長、あとで立ち合い料の請求書送っておきますからね」とか言って請求するんでしょうか。どちらの味方なんでしょうかね。

なぜ癒着はなくならないのか

国税職員にはかなりハードな「守秘義務」が課されます。仕事内容を職員以外の人間にうっかり話してしまったら情報漏洩につながり場合によっては新聞沙汰です。
それゆえに仕事の話で盛り上があがるときは国税職員同士で飲み会を開くし、内部での「結束」は強くなる傾向にあります。未だに「飲み会」が重要視されている理由はそのためです。
また、国税は守秘義務以外にも仕事内容上、他の職種の人間と交流することはほぼありません。なので身内同士で固まる傾向があります。

外部から遮断された職場故に内部では結束が強くなり、職場を去った後でも根強い先輩後輩関係が続いています。この国税OBと税務署の癒着問題は内部の先輩後輩関係が続いているが故に断ち切るのが難しいと言えます。

癒着を防止する法律はあるものの・・・

癒着を防止する法律はあります。そのためあまり派手にOBと現職が接待を受けるなんてのはあまり見かけないかもしれません。ですが水面下では今も癒着は続いていると確信しています。要は国税OBとの癒着を取り締まったところでうまーくそれをかいくぐって、馴れ合いを続けているということです。前述したように署内で打合せなんて第三者の目なんか届きませんから何を話そうが自由です。

癒着は税理士、国税双方にメリットがある

癒着がなくなるのは難しいと思います。上記で述べた事例のようにOB税理士としては事前に情報を得ることで立ち合いを有利に進められますし、国税側としても税理士からの協力を受けることで国税に有利な結果を得ることができます。お互いメリットがあるわけですからなかなか根深い問題だと思いますよ。

国税は調査(法定監査)に行く際に当然関与税理士が誰かチェックします。調査がやりやすい"先生"とやりづらい"先生"に分かれます。国税OBの存在は職員にとってありがたい存在でもあります。

悪質な事例も・・・

OB税理士からの接待を受け、見返りに情報提供をして処分を受けた調査官というのも過去には報道されています。

現役時代にお世話になった統括官なり税大の教授のようなポジションの方から話を持ち掛けられたらやっぱり断りづらいのかもしれませんね。

OB税理士と国税の癒着がなくならない理由まとめ

以上がOB税理士と国税の癒着がなくならない理由です。

国税OBをつけると税務調査回避に役に立つ!来てもOB税理士に立ち会ってもらえば国税は課税できない!という隠れメリットもありましたが、中には国税にちょっとは協力してやろうなんて考えの税理士もいます。

税理士選びの参考にしていただければ幸いです。







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