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幻獣『狡』のぬいぐるみを作る

Twitter上で行われたイベント「とにかく見てくれ展 春の90分勝負」に参加させていただいた時に作った子です。
幻獣「狡」は十二国記に出てくる中国の幻獣です。十二国記はそれはもう幻獣の宝庫なのですが、麒麟の使令の殆どが凶獣(現れると火事が起きるとか、災厄があるとか)なので怖くて作れず…。騎獣は割と瑞獣か、ただ可愛いだけなので安心して作れます。
ということで、狡です。
現れると豊作になるそうです。縁起がいい。姿は「豹柄で牛の角が生えた犬」と、割と装飾部分が少なく簡単に作れそうなのでトライしました。

材料

・フェイクファー(白豹柄)
・レーヨンシール10mm(白)
・10mmクリスタルアイ(ブルーパール)
・15mmぬいぐるみ用鼻(スエード)
・フェルト(グレー、ツノ用)
・6mmクリスタルアイ(ツノ取り付け用)
・手芸綿
・手縫い用糸

○それ以外に有ると便利○
ほつれ止め液
目打ち
毛刈り用ハサミ
コロコロ

糸に関しては人型ぬいより縫う距離が長いのと複雑なので、ミシン糸より手縫い糸がオススメです。これの前に3体ほど不精してミシン糸で縫い上げたのですが、長めに取るとミシン糸は手縫い用糸よりこんがらがる率が高かった気がします。

型紙とカット

型紙は「ルンルン手芸」さんのダルメシアンをお借りしました。

ルンルン手芸さんは犬だけでなんと9種類!型紙があり、他にもネコ数種、ヒョウやシカなど多種多様の型紙が公開されています。しかも改造可と明言いただいているのも嬉しいです。とても有難い。いつかは黒麒麟とかも作りたいです。

ということで、まずは型紙を121%でA4用紙に印刷、型紙にそって布を切り出します。ファーは起毛部分を避けて地布のみ裁断するようにハサミの開閉を小さくすると、あまり毛がちらからずカットすることができます。

ほつれ止め処理済み

本当は本番の布を切る前に一度試作を作ってみるのがベストだと思います。とくに試作せずダイレクトにいった私は、この後耳とツノを付けるのに苦労させられることになります…。

縫製

さて、縫製です。作り方はルンルン手芸さんで紹介された通りに半返し縫いで縫っていきます。

背中側を全て豹柄にするとしつこい感じがしたので、足先だけお腹側と同じレーヨンシールを切り出し、先に豹柄部分と縫い合わせました。
また後日ぬいぐるみに使う布について語りたいと思いますが、簡単に言いますと足先などにレーヨンシールは使わない方がいいです。シルエットを出すための毛刈りが必須になります。

縫い途中で表に返すとこんな感じ。

ファーが痛むので確認は最小限がいいです

返し口と鼻先とお尻周りを残し、他の部分を作り方通りに縫い合わせます。鼻先を縫わない理由は15ミリのハナを仕込むためです。

↑こういうのを仕込みます。10ミリ弱残しておけば余裕で入ると思います。
お尻周りを残すのは、大まかに縫い終えてから尻尾の位置を決めるためです。実は尻尾を型紙から予想して適当な場所につけてしまい、ほぼ終わったところでバランスが悪いのに気付いて縫い直したので…。

おおむね縫い合わせ完了です。布が厚いので綿ナシで自立しました。この状態ですでに可愛い…。
尻尾は全部縫ってから裏返すのはこの生地の厚さでは無理と判断。先から真ん中あたりまでを中表で縫い、表に返してまつり縫いで仕上げました。コの字縫いでなくても縫い目は毛で見えません(というか、このてのファーはコの字縫いは極めて難しい)。綿の入る余地はなかったので、綿も入れませんでした。

目、鼻、ツノを付ける

鼻は予め開けてあった穴に差し込み、内側からワッシャーで止めます。ワッシャーは付けると外せなくなるので、一応表からバランスを確認してからが良いと思います。

次にツノを作って付けます。
紙などでツノを描いて頭に当て、丁度良い感じが掴めたらフェルトを2枚重ねて切り出し、湾曲している長い辺の方を縫います。この時先端の縫い代を少しカットしておくとキチンと尖った角が出たかもしれません。

一辺を縫ったところで表に返し、縫い代を内側に押し込みながらコの字縫いで閉じていきます。やはりこのサイズでこの細さのフェルトを裏返すのは難しいと思い、この方法を取りました。

ここで綿を詰めて、ある程度成形します。下から1センチ弱のところまで綿を詰めたら頭に取り付ける用に買った6mmのクリスタルアイを入れ、巾着のように口を閉じます。

頭の良きところに目打ちで穴を開け、出来上がったツノをさして、裏側からワッシャーを付けておしまいです。
これで頭に取り付ければ簡単で、綺麗で、しっかり付けられると思ったのですが…。実際はツノから出ているプラスチックの柄の部分が小さく、ラジオペンチを持ち出して、かなりの力技で付けました。次ツノを付ける時は仕込むのは9ピンの方がいいかなぁと思ってます。
↓言葉では分かりにくかったので絵で描いててみました。分かりやすくなった‥ですかね…。

ツノの作り方

次は耳です。耳は外側と内側に使う布を普通に中表で縫い合わせて作りました。布の厚みで思ったより小さく仕上がるので、理想よりひと回り大きく型紙を作ると良いと思います。

表に返したら返し口もまつり縫いで縫ってしまいます。
頭への付け方はやはり良きところに配置し、まつり縫いで縫い付けていきます。縫い目は巻き込んだファーの毛を針などで引き出せば見えなくなります。

次に目です。ココ!と思ったところに目打ちで穴を開け、クリスタルアイを挿します。この穴ですが、割と大きく開けないとクリスタルアイの柄が入らなくて、目打ちでグリグリと大きめな穴を作りました。これは使ったファーの地布が“織”なので、穴を開けてもすぐ閉じてしまうからです。もし使う布の地布が“ニット“の編んだモノだと目打ちで大きく穴を開けてしまうと損傷が大きくなっててしまうかもしれないので、布の種類や状態をよく見てやる必要があります。

綿を入れと毛刈り

パーツが付いたところで綿を入れていきます。今回使ったのはハマナカさんの「オーガニックわたわた」です。ポリエステル綿よりしっとりなふわふわ加減が好きでよく使います。
まずはよく綿をほぐして、足先など細いところから詰めていきます。詰める量はお好みですが、体や手足はふんわりだと“くたくたぬいぐるみ”感が出て可愛いです。顔はしっかり形を出すためになるべくパンパンに入れます。
納得できる形になったら返し口をまつり縫いします。目立たない場所ですし、巻き込んだ毛を針などで引き出して整えれば縫い目は見えなくなります。


形がしっかりしたところで毛刈りをします。主に毛刈りが必要なのは目の周り、鼻の周り、耳の先、足の先などです。ボサボサして気になるところを切っていきます。

使ったのは通販で4本セットで買ったトリミング用のハサミです。ぬいぐるみの毛刈りをするのに工作鋏は向いていないので、1体以上ぬいぐるみを作るなら買っておいて損はないと思います。かく言う私も最初2体までは糸切り鋏でちょいちょい毛を刈ってました。でも糸切り鋏は切れ味が良すぎて切りすぎてしまうので、やっぱりそれ専用のモノが有るといいです。

完成と反省

できました!
制作期間は私史上最短の8日間です。ハンドメイドイベント参加という形で作ったのが功を奏した感じでしょうか。出来も我ながらニヤニヤするくらい可愛いです。

ですが反省点はたくさんあります。まず、犬に見えない問題。犬より猫寄りの姿をしています。何が問題なのかと考えた結果、耳の位置が顔の横についている、というのが一番の原因かと。
別のぬいぐるみを作る前に今回と同じ型紙で試作素体を作りました。

同じ型紙とは思えない。まごうことなき犬、です。
ほぼ同じアングルで今回作った狡です。

まずファーの毛の分ふっくらしたフォルムになります。もう一度同じ毛足のファーで作るなら顔の長さの延長が必要そうです。
そして耳。
ツノを付ける都合上天頂部ではなく、やや横に付いてます。コレを上に移動させると少しは犬味が増すのでは?と言うのが下の青い線です。

ここで難しいのが赤い線の縫い目です。頭の中心は別布なので、そこに縫い目ができます。ぬいぐるみの中で弱い部分です。そこから少しツノを付ける場所をずらした結果、こういうフォルムに仕上がりました。試作をすれば本番の布を傷めず事前に試行錯誤できるので、やっぱり試作大事だなー、としみじみ実感しました。

以上、初のぬいぐるみ制作投稿でしたが、思ったより長くなってしまいました。これでもスムーズに出来たぬいぐるみだったので、短くまとめられた方だと言うのが怖いです。次回は何分割かしたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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